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自己啓発
2018/9/17 8:00

頭が良いのに出世できない人の特徴。知的な人が陥りやすい4つの罠 ──『ハマトンの知的生活のすすめ』

渡部昇一さんが著した『知的生活の方法』は有名なロングセラーです。渡部昇一さんの知的生活に影響を与えた『The Intellectual Life』という本を知っていますか?

 

ハマトンの知的生活のすすめ』(P.G.ハマトン ・著、三輪裕範 ・編訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン・刊)は、原典のエッセンスをまとめて、わかりやすく超訳したものです。紹介します。

 

 

健康は最高の投資である

重要な知的労働を成し遂げるためには、長年にわたって健康を維持しなければならない。だからこそ、知的生活者にとっては、健康を維持するために払う犠牲は最高の投資なのである。

(『ハマトンの知的生活のすすめ』から引用)

 

現代の知的生活=頭脳労働にとってコンピューターは必須です。仕事に追われるあまり、長いあいだパソコンのモニタ画面に向かうことによって、眼精疲労・肩こり・腰痛を積み重ねてしまえば、やがて健康を損ないます。

 

ハマトンは「机に向かいづめからくる悪影響」を防ぐために、なによりも肉体の健康を守ることをもっとも優先すべきであると述べています。作業するときのチェアー、気軽に通えるフィットネスジム、快眠するためのベッドにはこだわるべきです。

 

ぶっちゃけて言えば、長生きをしたもの勝ちです。たとえ天才に生まれなかったとしても、長寿の努力家であることを心がけましょう。

 

 

知的な人ほど好奇心に溺れる

自分の持てる力を浪費するのは愚かなことだ。(中略)十年もそんな生活をしていれば、意志の力はほとんどなくなり、心に秘めていた情熱もなくなってしまうものだ。

(『ハマトンの知的生活のすすめ』から引用)

 

「いろいろなことを知りたい」という興味や好奇心は、知性の証明です。しかしながら、知識を得るために労力を費やしすぎると、せっかくの知性を活かすためのエネルギーが足りなくなります。

 

ハマトンは、「知的な人ほど、知的な勉強によって浪費しやすい」と述べています。好奇心の罠です。取り組むべき学習や仕事を取捨選択することを心がけましょう。

 

読書=知的生活というイメージがあります。でも、本をたくさん読んだからといって賢くなれるわけではありません。

積読という幻想

私の友人の一人は読書について途方もない幻想を抱き、何千冊もの本を集めて読もうとしたが、結局その一部しか読めないうちに亡くなってしまった。このように、人は読書について大いなる幻想を抱きがちである。

(『ハマトンの知的生活のすすめ』から引用)

 

難解な文学書や学術書を買うのは快感です。所有しているだけで賢くなった気分になれるからです。計画性のない人は、理解できもしない本を買い続けて、知的訓練を先送りして、読みあぐねているうちに亡くなります。

 

ハマトンは、「読書は計画性がなければできない」と述べています。たしかに、読書好きならば「名作文学と言われているものを読破したい」と思うものです。たとえば、プルースト『失われた時を求めて』は岩波文庫版で全14巻もありますが、まともに完走できる確率はきわめて低いです。計画性を発揮するならば、とりあえず『失われた時を求めて ─まんがで読破─ 』を読み終えましょう。

 

 

貧しさは知的生活を妨げる

かろうじて毎日暮らしていける程度の経済力しかないと、遠大な研究計画も実現することができないばかりでなく、ときには健康を害したり、人間性に悪影響が出たりして人生を破壊してしまうことがある。

(『ハマトンの知的生活のすすめ』から引用)

 

貧すれば鈍する。衣食足りて礼節を知る。腹が減っては戦はできぬ。先人たちは「貧しさの弊害」をよく知っていました。

 

ハマトンは、「貧しさは知的生活を妨げる」と述べています。なぜなら、家計が貧しすぎると「心身の健康」を損なうからです。先述した「健康は最高の投資である」という考え方にも通じます。知的生活を全うしたければ、お金儲けを嫌うべきではありません。

 

本書『ハマトンの知的生活のすすめ』を読み終えたら、原典の日本語訳である『知的生活』(渡部 昇一・訳/講談社・刊)にも手を伸ばすことをオススメします。お試しください。

 

 

【書籍紹介】

ハマトンの知的生活のすすめ

著者:P.G.ハマトン
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書は英国の著述家であり美術雑誌の編集者であったP・G・ハマトンが1873年に刊行した知的生活論、自己啓発論の世界的名著である『知的生活』から現代人に必要な部分を精選して編訳したものです。

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