本・書籍
2018/10/14 8:00

「おっぱい」は全人類を平和へと導くワードだ。さあ、みんなで「おっぱい」を叫ぼう!――『ちちんぱいぱい』

私たち大人にとって、人前では口に出しづらいワードがいくつかある。たとえば、”おしっこ”や”ウンチ”などの排泄物系がそのひとつ。「トイレ」ではなく「お手洗い」と言い換えるし、間違っても「おしっこしたくなってきた!」などと人前では言わないだろう。百歩譲って「催してきた」という表現をするのが品のある大人というものだ。

 

それが子どもを生むやいなや、恥ずかしげもなく口に出せるようになるのは何故だろうか。

 

赤ちゃんがおむつを濡らしたら「あ、おしっこ出たね。ウンチはどうかな?」と自然に口に出る。子どもに対して「トイレに行こう」とも言うけれど、「おしっこ行こうか」と言っても違和感はない。大人同士で言うと明らかにおかしいが。

 

そして、出産を機に堂々と口にできる最たるワードが「おっぱい」だ。

 

確かに「授乳」とも言うけれど、基本的には「おっぱいの時間だね」「さっきおっぱい飲んだから、ゲップ出そうか」などと、日常的に「おっぱい」という言葉を口にしている。これは何も女性だけではない。パパたちも「〇〇、もうおっぱい飲んだ?」と普通に使っているではないだろうか。恥ずかしいどころか、どこか神聖な、そして懐かしい想いすら胸にこみ上げる。

 

もちろん、子どもたちも「おっぱい」が大好きだ。「おっぱい」という言葉を口にするだけで大はしゃぎなのである。

 

さて、今日ご紹介したいのが、そんな「おっぱい」というワード全開の絵本『ちちんぱいぱい』(ささがわいさむ・作/天明幸子・絵/学研プラス・刊)である。

 

超絶インパクト大な表紙に釘付け!

まず、表紙からインパクト大である。

ふたつのまぁるいおっぱいが、どん! うら若きお嬢さんにとっては、少し気恥ずかしいビジュアルかもしれない。でも、ここまで直球でおっぱいを描いてくれると、潔くて良い。

 

いざ、中身はというと…

「ちちん ぱいぱーい」という呪文を唱えながら、おっぱいを変身させていくというストーリー。

 

たとえば、ちちん ぱいぱーい…

「ぱい! トマトぱい」と言ってトマトに変身!といった具合。

 

続いては、ちちん ぱいぱーい…

「ぱい! アップルパイぱいにレモンパイぱい」。たしかにパイが2つ並ぶと「おっぱい」のようだ。(しかも「パイ(ぱい)」だし!)

 

その後も、次々と「おっぱい」を変身させていく。思いもよらないものに変身するので、読み手としても楽しい。

コミカルな言葉遊びに子どもも大喜び!

『ちちんぱいぱい』の魅力は、カラフルでキュートなイラストだけではない。すっ「ぱい」トマトぱいに、あんこいっ「ぱい」なあんぱんぱい、ソースがちょっとしょっ「ぱい」たこやきぱいなど、ユニークな言葉遊びが散りばめられているのだ。

 

我が家の3歳の娘もこの絵本がいたく気に入ったようで、毎日のように「読んで~!」と持ってくる。そして読み出すと、ニコニコ満面の笑顔で「あんぱんぱい!」「トマトぱい!」と一緒に繰り返すのである。リズミカルな言葉遊びに惹かれている様子だ。

 

さらに、このボタンぱいのページになると…

ニヤッとしながら、必ずSTOPボタンを押す。そして次のページへと急ぐのである。子ども心をくすぐる展開もしっかりと盛り込まれている。

 

 

絵本を胸にあてて「おっぱい だいへんしん」!

この絵本の読み聞かせのポイントとしては、絵本を胸にあてて読むこと。これに尽きる。その動作ひとつで、子どもの受けが格段に良くなる。

 

私もはじめは普通に本を見せながら子どもに読んでいたのだが、胸の前に本をあてて読むようにしてからというもの、タイトルを読み上げただけでニヤニヤわくわくな表情の娘にこちらまで顔がほころぶ。

 

いやいや、そうはいってもどんなテンションで読めばいいのやら…と読み聞かせに慣れていないパパたちには、こちらの動画をおすすめしたい。俳優だけでなく舞台演出や脚本、声優、さらには作詞作曲にワークショップでの講師と、多方面で活躍されている小林顕作さんによる『ちちんぱいぱい』の読み聞かせの様子が収められている。

 

こうして客観的に見ると、絵本のおっぱいがちょうど本物のおっぱいと同じくらいのサイズになっていて、ビジュアルだけでも笑えてくる。そして、「おっぱい」と連呼する大人と子どもたち。部屋中に響く笑い声。なんとも平和である。

 

ただし、おっぱいを卒業したばかり(断乳・卒乳直後)の子どもにだけは、少し様子を見て読み聞かせをしたほうがよさそうだ。だって、こんなにもおっぱいがコミカルでキュートに、そして愛しく描かれているのだから。サヨナラしたばかりのおっぱいが恋しくなってしまうかもしれない。その点だけご承知の上、ミラクルワード「おっぱい」満載の絵本を楽しんでいただきたい。

 

普段シャイなパパも恥ずかしさを捨てて、ぜひ『ちちんぱいぱい』の読み聞かせに挑戦してみてはいかがだろうか。

 

【書籍紹介】

ちちんぱいぱい

著者:ささがわ いさむ (著)、天明 幸子 (イラスト)  
発行:学研プラス

魔法の言葉、『ちちんぷいぷい』ではなくて…『ちちんぱいぱい』で、おっぱいが、おっぱいトマトやおっぱいボタン、おっぱいめがねなどなど、いっぱーい大変身!
でも、そのおっぱいボタンを押したらちょっとしんぱい…。子ども大喜びの言葉あそびもいっぱいな、新しいおっぱい絵本。さあ、本を胸にあてて、おっぱいに魔法をかけよう!

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