2018年6月から電子書籍で刊行され、話題を集めている「もう一度見たい! あのころの学研」シリーズ。現在のラインナップの柱となっているのは、学年誌「科学と学習」で連載されていた学習まんがの作品群、そして「ひみつシリーズ」だ。
この「ひみつシリーズ」は、まんがと図解イラストを使って小学生の関心のあるテーマをわかりやすく解説することを目指し、1972年から刊行が始まった学習まんがシリーズだ。
創刊当初は、「まんがで理科に強くなれる」というキャッチコピーとともに、『コロ助の科学質問箱』など4冊が同時刊行。これが当時の小学生に好評を博した。シリーズを通じての、きらっと光る赤い箔の背表紙と★模様の装丁が記憶にある人も多いのではないだろうか。
シリーズはその後も続々と制作され、ジャンルは理系だけでなく文系にも広がり、1991年までに全70タイトルが刊行。さらに1992年からは、白い表紙に赤い箔のタイトル文字に装丁を変えた「新訂版」としてリニューアル。旧版、新訂版と合わせて全76タイトルとなった(ただし、旧版の一部タイトルは新訂版には含まれず、姿を消している。また、内容が改訂されているものもある)。
ちなみに、めちゃめちゃマニアックな話だが、「ひみつシリーズ」のカバーをはずすと、多くの人はオレンジ色の表紙の思い出があるかもしれない。しかし、創刊から1〜2年、1974年くらいまでは、青い表紙だった。
なぜ変更されたのかは、学研社内でも調査したがはっきりさせることはできなかった。恐らく、青地だと発色が悪かったとか、そういうことかと思われるが……。
それはさておき、2019年1月現在、「もう一度見たい! あのころの学研」シリーズから復刻されているのは、『できるできないのひみつ』ほか学習まんがの巨匠・内山安二先生の4冊、ひみつシリーズでおもに文系ジャンルを中心に執筆された飯塚よし照先生の『漢字のひみつ』、竹本みつる先生執筆による『まんが百人一首事典』、そして1月31日に配信されたばかりの、今橋さとし先生の『忍術・手品のひみつ』の7ラインナップ。
しかし、前述のとおりシリーズは全76タイトルあり、まだまだ一部の復刊でしかない。そこで、当時の読者にはその記憶を呼び戻していただく(?)意味で、いくつか代表的な「ひみつシリーズ」の作品を振り返ってみよう。
『電気のひみつ』(1981年発行)
伝説のトキワ荘出身の漫画家で、「ひみつシリーズ」やその姉妹作「伝記シリーズ」などで数多くの学習まんがを執筆された、よこたとくお先生の作品。ヒカル博士、フトシ君とエミちゃんが不思議な電気のひみつをさぐる!
『恐竜のひみつ』(1972年発行)
「ひみつシリーズ」創刊時の4ラインナップの1冊で、川崎てつお先生の作品。研究の進歩によって、学説がどんどん変わっていく恐竜を扱っているため、復刻は難しいか!? 現在、羽毛をまとい体と尾を水平姿勢にした形が一般的なティラノサウルスが、直立している姿勢が当時を感じさせてくれるのだが。
『有毒動物のひみつ』(1985年発行)
今でも小学生たちに大人気の定番、キングコブラやヤドクガエルなどの有毒生物の生態を扱った作品。ちょっとコマを細かく割りすぎ(?)だが、有毒生物の特徴を伝えたい熱意を感じる1冊。
『みえる・みえないのひみつ』(1986年発行)
タイトルこそ統一感あれど、小さすぎて見えない、速すぎて見えない、透明で見えないなど、「見える見えない」ことを切り口にさまざまな内容をまとめた作品。作者の沢田ユキオ先生は児童漫画で現在も活躍中!
『からだのひみつ』(1972年発行)
「ひみつシリーズ」創刊時の4ラインナップの1冊で、シリーズのなかでナンバー1のヒットを続けたロングセラー。その内容は、トラウマになる描写多し。作者の藤木輝美先生は、シリーズ当初からシリーズ後期、そして「ひみつシリーズ」の後継となる「新ひみつシリーズ」にも著作がある唯一の漫画家。
『NHKクイズ面白ゼミナール うそほんと』(1984年発行)
鈴木健二さんが司会をした、当時のNHKのクイズ番組『クイズ面白ゼミナール』から、テーマを選んで内山安二先生の漫画で再構成した、いわゆるタイアップもの。「あのころの学研」シリーズでも、権利関係などを考慮すると刊行・配信は難しいか!? というわけで、「ひみつシリーズ」コレクターなら、古書店などで見かけたら、まずはおさえておきたい!?
…などなど、読者から印象に残っていると言われる作品から、え? そんなのあったの? と言われそうな作品など、「ひみつシリーズ」はまだまだある。もちろん、「あのころの学研」シリーズでも、出来る限り多くの復刊・配信を目指しているとの事なので、乞うご期待ください!
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もう一度見たい!あのころの学研シリーズ購入ページ
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文=こざきゆう