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2019/3/14 21:45

あなたは、なぜお辞儀をするのか説明できますか?――『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』

外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』は、小笠原流礼法宗家をつとめる小笠原継承斉の最新作です。

 

彼女はこれまでも、『誰も教えてくれない 男の礼儀作法』、『見てまなぶ 日本人のふるまい』など、数々の著作を発表してきました。今回はとくに外国の人々に向けて、どうやって「日本のこころ」を伝えたらいいのかについて、焦点を絞って書かれています。

 

魅力的な宗家・小笠原継承斉

日本へやって来る海外からの観光客は増える一方ですし、東京五輪の開催も控えています。これから先、外国の人たちに日本の習慣や礼儀について尋ねられたとき、心強いガイドブックとなるでしょう。

 

私は年に二回ほど小笠原さんにお会いする機会があります。そして、その度に思うのです。なんと魅力的な人だろうと。

 

私は子どものころからおおざっぱな性格です。祖母や母は私の日常を見てあきれかえり、いつも「お行儀が悪い」と渋い顔をしていました。そんな私にとって、礼儀作法の宗家である小笠原さんは、本来は苦手な人物であるはずでした。

 

初めてお会いするときは、「三浦さん、お箸の持ち方が間違ってますわ」と、注意されたらどうしようと、戦々恐々としていました。ですから、私はただひたすら「失礼がないように」と念じながらお会いしました。

 

ところが、彼女の態度はたおやかでまったく圧迫感がないのです。それでいながら周囲への気配りは完璧です。私は驚き、心底、感心しました。宗家というものは、自然体で礼儀作法を守り、周囲を照らしてくれるもののようです。

 

 

礼法は人を罰するものではない

考えてみると、礼法とは人を助けてくれるものであって、罰するものではないはずです。日本という国は長い時の流れのなかで、習慣や礼儀を大切に守り続けてきました。
体にしみこんでいるはずの礼法に従って行動すれば、自然と正しい作法につながるはずなのです。

 

それなのに、私は「叱られたらどうしよう」「恥をかいたらどうしよう」とばかり思っていました。自分に自信がないのでどう振る舞ったらいいのかわからず、ことさらに体を縮こまらせていたような気がします。

 

祖母や母は日本人としての礼儀を伝えようと努力してくれていました。それなのに、「うるさいな~~。いいでしょ、どんな風に食べたって。お箸だって、好きに持つの」などと反抗ばかりしていました。恥ずかしいことです。

 

 

外国人にも伝えたい日本の礼儀

不思議なことに、これまで私は西洋風のマナーについては、素直に学び従ってきました。外国の作法を教えてもらうことに抵抗を感じなかったからです。

 

フォークやナイフの取り扱い方を習得しなければ、大好きな洋食を食べるのがままならないと思ったからです。ましてや、私の周囲は親切な外国人が多く「こうやるのよ」「肉ならワインは赤と決まったわけではないわ」と懇切丁寧に教えてくれました。祖母も母も西洋式のマナーを教えるときは、なぜか優しかったのです。

 

 

日本の作法を説明できない私

外国の友達に親切にしてもらったというのに、私が日本の作法を彼らに教えることができたかというと、残念ながら答えは「ノー」です。

 

とくに、「なぜ、こういう振る舞いをするのか」と、聞かれると、絶句してしまいます。仕方がないので、私はいつも「いわく言い難し」とか「英語では説明できないの」と言い逃ればかりしていました。

 

それでも、追求の手をゆるめない友人もいました。そんなときは「意味なんてあるのかな。今までそんなこと、考えたこともなかった。今度、会うときまでに調べとく」と、答えてきました。その度に彼らは笑って許してくれたのですが、日本人として面目ないなと思ってはいました。

 

 

答えを知りたい質問の数々

『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』には、私がよくわからないままにほっぽらかしにしていた質問への解答が鮮やかに示されています。ここではとりあえず2つ、紹介しましょう。

 

どうして日本人は、室内で靴を脱ぐのか。

私も何度も聞かれました。その度に、「知らない。脱ぐことになってるから。ルールだから」と、答えてきました。けれども、『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』にはこうあります。

 

家の内と外は、明確に清浄と不浄(穢れ)とに分けられていることを、十分に理解することができれば、靴を外す理由は、自ずとわかっていただけるのではないでしょうか

(『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』より抜粋)

 

日本人はなぜお辞儀をするのか

お辞儀というあいさつに戸惑う外国人は多いようです。私も外国に行くと、握手をします。その方がスムーズに事が運ぶからです。けれども、お辞儀の意味については、わかっていませんでした。

 

自分の急所である頭を、相手の前に下げる訳ですから、お辞儀も、相手に敵意を抱いていないこと、相手を信頼していることの証のひとつなのです。自分の命が狙われるなどと思う状況で、お辞儀を行うはずはないということです。

(『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』より抜粋)

 

他にも神社仏閣でのふるまいや、和食の作法について、数多くの疑問に答えてくれる本になっています。

 

 

礼法の極意

普段、私たちはお辞儀やお箸を使うなどの所作を何気なくやっています。少なくとも、私は深く考えず、ただいつもそうやっているから、行動してきました。

 

けれども、そのひとつひとつに意味があることを『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』は教えてくれます。小笠原継承斉の紡ぐ言葉が、まるで礼法の授業のように心にしみてくるのです。

 

その意味で、この本は外国人に向けたものでありながら、結局は日本人の心に添うものだといえそうです。外国の方のためにも、自分のためにも役に立つ本です。できれば、英語版も出版されるといいのにと、願っています。

 

 

【書籍紹介】

外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法

著者:小笠原継承斉
発行:光文社

本書では、小笠原流礼法の宗家が、日本の文化やしきたり、日本人が大切にしている習慣や振る舞いについて、その真の意味から説き起こしながら解説。日本人自身が文化や作法について学びなおし、自信と誇りをもって「日本のこころ」を伝えられるようになることを目指す。

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