最近、Twitterで「#あたりまえポエム」というハッシュタグが注目されています。この「あたりまえポエム」というのは、ごく普通のことを、いかにも意味がありそうな、叙情的な感じで言うというもの。試しにTwitterで検索してみると、さまざまな人があたりまえポエムをつぶやいています。
これが結構おもしろいんですよ。すべて「そりゃそうだ」と思わず言ってしまうようなものばかりです。
当たり前のことをそれっぽく言うのが「あたりまえポエム」
『あたりまえポエム 君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ』(氏田雄介・著/カズキヒロ・写真/講談社・刊)は、著者が書き下ろしたあたりまえポエムを、美しい写真とともに収録した書籍。たとえば、こんな感じです。
君と電話をすると、
決まって君の声がした。朝までずっと話したこともあったね。
何てことない会話だけど、どうしてかな。
君の声を聴くと、鼓膜が震えたんだよ。(『あたりまえポエム 君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ』より引用)
なんかセンチメンタルな感じになっていますが、よく読んでみると当たり前のことしか言ってませんね。これが「あたりまえポエム」なのです。
眼鏡をかけると、
かすんだ世界がクリアに見えた。やっぱり僕は、君に会いたい。
「あきらめたら、そこでギブアップだよ」
君の大好きな言葉を、ふと思い出す。(『あたりまえポエム 君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ』より引用)
「当たり前やんけ!」と、東京出身の僕が思わず関西弁でツッコミたくなります。全編こんな「あたりまえポエム」で綴られているのが本書なのです。
「あたりまえポエム」の作り方
巻末には、「あたりまえポエムをつくってみよう」というコラムがあります。作り方としては、
1.ポエムっぽいフレーズを思い浮かべよう
2.「あたりまえ」に言い換えよう
3.主観的なフレーズで装飾しよう(『あたりまえポエム 君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ』より引用)
という感じ。たとえば「翼を広げて」なんてフレーズを思いついたらそこから「翼は閉じていない」と言い換えます。そこに「君が〜」とか「〜な気がする」といったそれっぽい主観的なフレーズを入れてポエムっぽくしあげるわけです。すると、こんな感じに。
さあ翔び立とう
広げた翼は
決して閉じていないから(『あたりまえポエム 君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ』より引用)
すげえ! ちゃんと「あたりまえポエム」になっていますね。僕もひとつ作ってみました。
君が楽しそうに話しているとき、
いつも君の声が聞こえる。
でも僕が耳を塞ぐと、
君の声は聞こえなくなるんだ。
どうでしょう? みなさんも暇なときに「あたりまえポエム」を作ってみてはいかがでしょうか。結構おもしろいですよ。
【書籍紹介】
あたりまえポエム 君の前で息を止めると呼吸ができなくなってしまうよ
著者: 氏田 雄介、カズキ ヒロ
発行:講談社
あたりまえのことを、ラブソングの歌詞のような文体で美しい写真とともに綴る「あたりまえポエム」。『めざましテレビ』他、各種メディアで話題沸騰のこの人気企画をついに書籍化! 書籍版では書き下ろしポエムを多数収録し、一編の小説としても楽しめる仕掛けになっています。 ページをめくるたびに、1ページずつ進んでいく。このドキドキ感を、あたりまえポエムで味わってみませんか?