最近は、伝達ツールが発展したおかげで、いつでもどこでも誰とでも繋がり、そしていろんなツールを使って対話できる時代になりました。
時代も代わり、働き方改革により年功序列も薄まっている昨今ですから、もう「正しい敬語」なんていらない! と思っている方も多いかもしれません。しかしながら、この日本には敬語を使うシーンはたくさん存在しているんですよね。
自分が意図しない場面で「あの人の言葉遣いはちょっとね……」なんて言われて自分が損しないように、最低ラインの敬語は身につけておきたいもの。
そこで、今回は『敬語「そのまま使える」ハンドブック』(鹿島しのぶ・著/三笠書房・刊)より間違いやすい敬語をご紹介していきたいと思います。
ビジネスシーンでは、「明日(あした)」とは言わない?
知ってました?
私は社会人10年ほどやっていますが、「明日」は「あした」であって、それ以外の言い方があるとはとは知りませんでした(恥)。
ビジネスでは、「明日」は「みょうにち」、「昨日」→「さくじつ」、「去年」→「昨年」とするのが決まりごと。
(『敬語「そのまま使える」ハンドブック』より引用)
なななんと、決まりごと!
ちなみに、明後日(あさって)は何て言うかご存知でしょうか? 正解は「みょうごにち」です。確かに聞いたことあるな……。また今日(きょう)は「ほんじつ」、おとといは「いっさくじつ」と言われます。いつもの感じで「あした、お願いしますー!」なんて言いがちですが、上司やクライアントへ敬語を使う場合は、「みょうにちはよろしくお願いいたします」をサラッと言えるようになりたいですね。
実は間違えている? 正しい敬語を身につけよう。
では早速、間違って使われている敬語を書籍より抜粋して、ご紹介しましょう。
誤解されたことに対して「とんでもございません」
→ 「とんでもないことでございます」
上司がどこにいるか尋ねられて「石川課長は会議室にいます」
→「石川は会議室におります」
取引先からお酒をすすめられて「もう結構です」
→「もう限界のようです。お気持ちだけいただきます」
メールを確認したことを伝えるために「メールを拝見させていただきました」
→「メールを拝見いたしました」
うーん、難しい!(笑)
タイトルにもあった「とんでもございません」がNGな理由ですが、「とんでもない」の「ない」を「ございません」とするのが誤りなんですって。「とんでもありません」はOKとのことなので、使いやすい方を使うように気をつけましょう。
『敬語「そのまま使える」ハンドブック』には、付録に「頻出敬語変換表」がついているので、敬語そして謙譲語の言い換えもすぐにできちゃいます。
例えば、「言う」という基本の言葉も、
尊敬:おっしゃる
謙遜:申す
と、ひと目でわかるので「あれ〜どっちだっけ?!」と悩むこともなくなりそう。では、実際に敬語を最も使うであろう冠婚葬祭、特に結婚式での敬語について、間違いやすいものをご紹介しましょう。
ジューンブライド目前! 結婚式で使いたい正しい敬語
あなたの部下の結婚式に参加し、上司として挨拶をする際に。また、友人代表として挨拶をする際、最初に言うフレーズは「いま、ご紹介いただきました、●●です」ですよね。一見、何がダメなの? と思いがちですが、正解はこちら!
ただいまご紹介にあずかりました池田でございます。
ポイント解説:「ご紹介にあずかる」は冠婚葬祭での決まった表現で、「ご紹介いただいた」よりも丁寧な言い方となる。
(『敬語「そのまま使える」ハンドブック』より引用)
定型の言い方に沿うというのが無難というわけですね。
では、もし乾杯の挨拶を頼まれたなら……! 絶対に言うのが「では、乾杯へと移らせていただきます」ですよね。でもこれも間違い! 一体どこがNGなのでしょうか?
では、乾杯へと進めさせていただきます。
ポイント解説:「移る」は移り気などを連想させる忌み言葉であるため、「進む」とするのが無難。
(『敬語「そのまま使える」ハンドブック』より引用)
なるほど。「忌み言葉」は知らない人も多いと思うので、こういう挨拶は一応紙に書いておいて、チェックするのが良いかもしれませんね。
また結婚式では、新郎新婦へのお祝いの言葉はもちろんですが、出席者の方に向けてもご挨拶する場面もあると思います。そんな出席者に向けてご挨拶する際によく聞くのが「ご出席いただきました皆さん」ですが、実はこれ間違いなんだとか! 正解はどう言うのが良いのでしょうか?
ご臨席を賜りました皆様
ポイント解説:「臨席」とは、その席に臨むことで、出席することを意味する。あらたまった席では使える表現だ。
(『敬語「そのまま使える」ハンドブック』より引用)
『敬語「そのまま使える」ハンドブック』には、他にもこれってどうなの? という表現が細かく掲載されているので、冠婚葬祭がある方は確認しておくと安心できるでしょう。サラッと確認しておくだけでも、効果があると思いますよ!
最近では、コミュニケーションの多様化によってどんどん敬語を使うシチュエーションが減ってきていますが、いざという時に使えるように身につけておくのも大切だと思います。 それぞれのシチュエーションに合わせてあなたらしい言葉を使えるよう、敬語を味方につけましょう。
【書籍紹介】
敬語「そのまま使える」ハンドブック
著者:鹿島しのぶ
発行:三笠書房
「敬語」には、決まりきった基本の「形」があります。その「形」をそのまま覚えてしまうことが、上達への近道です。豊富な実例でわかる「良い敬語」と「悪い敬語」-この1冊で、あなたの「会話力」「コミュニケーション力」が上がります。