本・書籍
2022/3/7 17:30

「推し活に国境はない!」世界の“推し活”事情を劇団雌猫に聞いてみた!

2022年3月10日に発売される『世界が広がる 推し活英語』(学研プラス・刊)をご存知でしょうか? 発売前からSNSで「これは使える」「これなら勉強する気になる」と話題になり、さまざまなメディアで紹介され、注目を集めています。

 

本書を覗いてみると、「私はデビューの時から彼らを応援している古参ファンです」「無課金で星5を出すのは難しい……」「推しのために今日も働く」など、毎日の推し活に役立つ330の単語と477のフレーズが掲載されており(すごいボリューム!!)、読んでいるだけでもニヤニヤ楽しい。

 

この話題本を監修したのは、平成生まれのオタク女性ユニット・劇団雌猫さん。今回はひらりささん&かんさんのお二人に、ワールドワイドに広がる「推し活」の世界について伺います。

(※取材はオンラインにて行いました)

 

【PROFILE】

●劇団雌猫/ 平成元年生まれのオタク女4人組(もぐもぐ、ひらりさ、かん、ユッケ)。2016年12月にさまざまなジャンルのオタクがお財布事情を告白する同人誌『悪友vol.1 浪費』を刊行し、ネットを中心に話題となった。2017年8月には『浪費図鑑』(小学館)として書籍化。現在はイベントや連載などに活動を広げながら、それぞれの趣味に熱く浪費している。
Twitter:@aku__you
イラスト:kamochic

 

”推し”という言葉の登場により、好きなものを表現しやすくなった

劇団雌猫は4名で活動するオタク女性ユニット。みなさんそれぞれお仕事をしながら、“推し事”にも熱心! ユニット名は『テニスの王子様』のキャラクター・跡部景吾ファンの総称でもある「雌猫」から。

 

お話を伺ったひらりささんは、BLをきっかけにオタクになり、漫画やアニメなど、幅広いジャンルを広く愛でるのが好きな方。関西に実家があるかんさんは宝塚歌劇団が好きで、今は宙組の芹香斗亜さんに夢中とのこと。

 

ここ数年で「オタク」イメージが変わってきているようにも感じますが、劇団雌猫のお二人は最近の「推し活」ブームにどんな印象を持っているのでしょうか?

 

「“推し”という言葉の登場は大きいですよね。昔は、BL好きな女子は隠れないといけないとか、公式に迷惑をかけないとか、ひっそりとオタク活動している人が大半でしたが、ソーシャルメディアと“推し”という言葉の登場により、『好きなものを語り合って、ファン同士繋がり合おう』『布教することが推しのためになる!』という価値観や文化が広がり、 “推し活”に繋がっていったと考えられます」(ひらりささん)

 

「“推し”という言葉は、元々AKB48やハロプロなどのアイドルオタクが使っていたようです(※諸説あり)。AKB48は女性ファンも多く『選抜総選挙』がテレビ放送されるほど話題になって、男女問わず“推し”という言葉が一般的に使われるようになったのではないでしょうか? 最近ではファッション誌でも推し活が取り上げられ、オタク自体が変わったというよりも、社会の認知度や許容範囲が広がったのかも?」(かんさん)

 

“推し”は、人とのコミュニケーションを目的とした言葉だと感じます。自分がものすごく好きなものを伝えたい時には『推してます!』って言うと熱意が伝わりやすい」(ひらりささん)

 

世界に広がる、グローバルな推し文化!

日本国内だけでなく、最近では海外でも“推し”文化は広がっているそう。『世界が広がる 推し活英語』は100人以上のオタクの方々へのアンケートをもとに作られていますが、劇団雌猫のお二人が体験したグローバルな推し活についても伺ってみましょう!

 

かんさんは、中学2年生のころに短期留学したカナダで、初めて経験した外国人のオタクとの交流エピソードを教えてくれました。

 

「留学先で友達になった台湾出身の子が、当時日本ではまだ現在ほどの知名度がなかったMIYAVIさんの大ファンでした。その子は彼のことが好きすぎて、なんとか私から日本の情報や言葉を習得しようとしていたんですけど(笑)。日本に帰国してからも、私が英語、彼女が日本語で手紙を書いてやりとりしていたんですが、次第に疎遠になってしまいました……。ただ、それから何年かして、テレビで活躍するMIYAVIさんを見てめっちゃ感動したんです。『あの子が好きだったMIYAVIじゃん!』って。これが初めて経験した海外のオタクとの交流エピソードですね」(かんさん)

 

現在、イギリスに留学中というひらりささん。現地には、漫画やアニメに関連したソサエティ(社交クラブ)が数多くあることを知ったそうです。

 

「この前、通っている大学院のコースでオタクに関することをプレゼンテーションする機会があったんです。私が好きな『Free!』について、私も好きだと話しかけてくれる中国人の子がいたり、『NARUTO』を読んでいた人がいたり、日本に興味がある人には漫画・アニメ好きが多いと感じました。アイドル好きはそんなにいないかな? でも、同じ寮で仲良くしている子に、日本で買ってきてほしいものを聞いたら、欅坂46のDVDと言われました(笑)」(ひらりささん)

 

いずれも素敵なエピソード……! 日本にいると日本の文化が海外でどのように受け入れられているかを感じにくいですが、イギリスでも日本の作品が愛されているなんて、誇らしく感じますね!

 

外国語での情報収集はできても、自分の言葉で想いを伝えたい人が多数

コロナ禍によって、日本人が海外のイベントに出向くことや、外国の方が日本のイベントを見に来ることが難しくなりました。コロナ禍での推し活には、どんな変化があったのでしょうか?

 

「最近、劇団雌猫の4人で全然会えていないんですよ! グループ名の由来にもなっている『テニミュ』に行ける日が、再び来るといいのですが……。私の好きな宝塚も、コロナの影響で公演が中止になることも。オタクにとってライブや公演はまさにハレの日なので、期待しすぎていざ中止になると、そこに向けて頑張っていた自分の心がぽっきり折れてしまって辛い。このコロナ禍で、だいぶメンタルコントロールができるようになりましたね(笑)」(かんさん)

 

さまざまなイベントが中止になってしまい、かんさんのように悲しい思いをしたオタクも多いはず。しかし、それは海外のオタクにとっても同じこと。日本の作品を愛する海外のオタクたちは、遠く離れた日本の情報をゲットするために、どんな方法をとっているのでしょうか?

 

は公式サイトやYouTubeでの世界配信がしっかり行われているので、違法にアップロードされたものを視聴するよりも、そちらを利用して公式にお金を費やす流れが、世界的にあると感じます。ファン同士の交流もSNS上で気軽にできるので、日本人が海外のアーティストの情報を得ているのと同じように海外のファンも情報収集しているのではないでしょうか」(ひらりささん)

 

同書の編集を担当された澤田未来さんにもお話を伺うと、「推しに対する想いを自分の言葉で伝えたい」と感じた経験が本を作るきっかけになったそうです。

 

外国人の友だちと好きなものを語り合うときに、”I love ~!”などのありきたりの語彙しか使えなかった歯がゆい経験から、本書を企画しました。独りよがりなものづくりにならないよう、たくさんのオタクの方々を取材されてきた劇団雌猫さんに監修を依頼しました。4人がそれぞれ異なるジャンルの推し活を経験していることもあり、多角的な視点でアドバイスをくださって、心強かったです」(編集担当・澤田さん)

 

↑ジャンルを問わず使える単語を掲載

 

運営とのやり取りフレーズまで掲載されている推し活英語

劇団雌猫さんの原体験や、編集担当の澤田さんの想いが詰まった『世界が広がる 推し活英語』。最後に劇団雌猫のお二人から、読者のみなさんにメッセージをいただきました。

 

「これまで私たちは、数多くのオタクの方々とイベントや取材でお会いする機会がありましたが、最近はコロナ禍でその機会も減ってしまっています。コロナ前のようにリアルな場でわいわいできるのは当分先かもしれませんが、本書を通じて間接的にいっしょに盛り上がれたらうれしいです。個人的なおすすめページは『CHAPTER4 運営とのやり取りに使えるフレーズ』。『円盤化希望!』など運営への要望を伝えるフレーズから、『更新ありがとうございます』など運営への感謝を伝えるフレーズまでが載っている本はなかなかないと思うので、実用的な語学書として使ってもらえると思います」(かんさん)

 

「今までの本以上に、幅広い層の方々に手に取っていただけるかな、と感じています。発売前から話題にしていただけて、幸せな気持ちです。ここ2年くらいオタクにとって暗い話題が多かったので、気軽に楽しめるコンテンツとして、いろんな人に手に取ってもらえたらいいなあと思います」(ひらりささん)

 

海外の文化が好きな人、日本国内の文化を海外に発信したい人、いろんな人に使えそうですよね。せっかくなら、他の言語バージョンも欲しいなぁ……(笑)。

 

私も『スター・ウォーズ』でカイロ・レンを演じたアダム・ドライバーが好きで、海外サイトやTwitterのファンアカウントを見ているのですが、先日ついにFacebookのファングループに入ってしまいました。ここでのやりとりはもちろん英語! 読む分には「日本語訳」できますが、「この写真やば! めちゃかっこいい!」とコメントを残すためには、英語が必須です。今度、Facebookグループに最高にかっこいいアダム・ドライバーの写真がアップされたら、『推し活英語』に掲載されている、

 

Omg, wait no, I can’t, it’s too much!(待って、無理しんどい。)

 

と、打ち込んでみようと思います(笑)。

 

↑あまりの推しの魅力に思考が停止する感覚は世界共通!

 

英語の教材としても楽しい読み物としても、活用できること間違いなし。ぜひ、お手に取って楽しんでみてくださいね!

 

【書籍紹介】

世界が広がる 推し活英語

監修:劇団雌猫
刊行:学研プラス

動画やSNSで海外のファンのコメントを目にする、コンサートやファンイベントで海外のファンに会う……あらゆるコンテンツが国境を越えて共有される今、日本にいながら、推し活で世界中の言葉に触れる機会があります。本書はその中でも英語にフォーカスし、かわいいイラストとともに、「推し」「沼」「尊い」などの330語と「待って無理しんどい」「オタク全員好きなやつ」「実質無料」などの477フレーズを紹介しています。海外に推しがいる方はもちろん、推しの魅力を世界に発信したい方、動画やSNSでよく見る英語表現の意味を知りたい方など、いろいろな方に楽しんでもらえる1冊です。

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