Well-Being(以下、ウェルビーイング。身体的・精神的・社会的に良好な状態であること)に配慮したオフィスづくりのソリューション開発に力を入れているパナソニック。同社では、オフィスの健康度を測る国際基準である「WELL認証」を取得するためのコンサルティングなど、オフィス改修プランの提案、施工とその後の保守まで、一気通貫のサポートを展開しています。
働きやすい環境整備のニーズが社会的に高まるなか、パナソニックは2024年11月、オフィスを診断・スコア化してレポートするサービスをアップデート。空間ソリューションの開発・提供を加速させています。本稿では、ウェルビーイングな職場の姿を形にした、同社のライブオフィス「worXlab」と、サービスアップデートの概要についてお届けします。
パナソニックは、国際的に認められたウェルビーイングのトップランナー
WELL認証が掲げる、ウェルビーイングな空間づくりに必要なコンセプトは10あります。その内容は、空気、水、音、光、温度快適性といった環境要因から、コミュニティ、こころといった人の内面にまで及び、これらを満たすオフィスづくりには、ノウハウの蓄積が不可欠です。
パナソニックは、この空間ソリューションの事業を2020年にスタートさせてから、着々とノウハウを蓄積。現在では、WELL認証を策定・運営する国際的な非営利団体「IWBI」公認の、アンケート認定調査機関の資格を取得しています。この公認を取得しているのは全世界でも25社しかなく、国内では同社が唯一。ウェルビーイングの分野における、国内トップランナーといえる存在です。
ウェルビーイングなオフィスを肌で体感できる「worXlab」
「快適なオフィスとはどのようなものか」。その疑問にわかりやすく回答するため、パナソニックではウェルビーイングなオフィスを形にした、ライブオフィス「worXlab」(以下、ワークスラボ)を開設しています。パナソニック汐留ビル16階にあるワークスラボでは、同社の従業員が実際に働いている様子を見学可能。理想のオフィスを体験できる、ショールーム的な存在です。
ワークスラボには、快適なオフィスを形成する様々な機器が設置されています。たとえば、直進的な風を送ることで天井と床面の温度差をなくし、快適な温度環境をつくる「スポット気流」。あるいは、時間にあった音楽や環境音を奏で、聴覚の面からオフィスの心地よさをつくる音響を内蔵した植栽。アイテム類のほかにも、従業員の交流を促すコミュニティスペースや集中ブースといった空間そのもののソリューションも見学できます。
2020年のワークスラボ開設以降、2024年10月時点で累計1900組、8600人もの見学者が訪れているといいます。この場所に来て、働きやすいオフィスの形をイメージしてもらうことが、同社のソリューション提供への第一歩となっています。
改修後のオフィスを3Dで体験。スコアによる定量的な評価も
理想的なオフィスづくり、特に既存のオフィスを改修する場合は、現在のオフィスをどう改修すればいいのか、具体的なプランを練らなければなりません。また、どの程度のコストがかかり、どれだけの効果を見込めるのか? といった、定量的な目安も欲しいところです。
そこでパナソニックでは、既存のオフィスを従業員へのアンケートと環境センシングで分析し、多数の項目に分けてスコア化するサービスを提供しています。このスコアを見れば現在のオフィスの改善点が明確化されますし、どのようなソリューションが必要なのかがわかります。
オフィスの快適度をスコア化するサービスは2023年からスタートしたものですが、2024年11月、これに新たな機能が追加されました。それが、改修後のオフィスを3Dレイアウトで再現し、改修後の様子をビジュアル化するというものです。これにより、改修後のイメージをよりはっきりと把握できるようになりました。
さらに2025年には、改修後のオフィスのレイアウトによって、スコアがどの程度変わるのか、ビフォーアフターを可視化する機能のローンチを予定しています。特定のソリューションを導入することで、どの程度スコアの改善が見込めるのか数値で確認できますし、コストの概算まですぐにわかります。つまり、改修のコストパフォーマンスが数値化されるというわけです。この機能が加われば、改修のプランニングや可否の判断がさらにしやすくなるでしょう。
生産性の向上が社会的な課題となっている現在、従業員のモチベーションを高め、健康を促進し、離職率の低下にも寄与する、快適なオフィスづくりへのニーズは高まっています。ただ、その効果を定量的に測るのは難しいものがありました。今回紹介したサービスのように、具体的な数値やビジュアルで確認できるサービスが登場することで、国内のオフィスの健康化がさらに前進することが期待されます。