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プロカメラマンに“実際にやった写真の上達方法”を教えてもらった!【村上悠太カメラマンの巻】

プロカメラマンは如何にして写真がうまくなったのだろうか……。カメラ写真好きには、そんな疑問がたまに頭に浮かぶことがある。そこで、6名のカメラマンにストレートに「どうやって写真がうまくなったのですか?」と聞いてみた。その六者六様の答えを、今回は余すところなくご紹介しよう。即実践可能なものから、過去の経験で自然と身に付いたことまで、リアル上達法になっている。
これまで以上のスキルやテクニックを身につけ、イメージ通りの描写撮影ができるようになる、6人のプロカメラマンのリアル上達方法をご紹介する。

 

 

村上悠太カメラマンの写真上達方法

上達方法01
カメラ任せにしないでマニュアル露出で撮る

上達方法02
ポジやモノクロなどのフィルムを使う

上達方法03
その被写体に興味のない人に写真を見てもらう

 

上達方法01:カメラ任せにしないでマニュアル露出で撮る

真の基本である露出ワークは、マニュアル露出(Mモード)を使うことで身についた。例えば、晴天時でこの条件であれば1/1000秒、F8というように、常に具体的な数値を目にすることで、数値を強く意識するようになる。これを繰り返し行っていると、ふいに訪れたシャッターチャンスでも状況を見ただけで自分好みの露出値をある程度設定できるようになり、チャンスに強くなった。
デジタルカメラでは1/3段の露出誤差などすぐ修正できるが、ポジフィルムではその差が失敗と成功の分かれ道だったので、露出計だけに頼らない自分だけのコツを習得できた。これはデジタルでの撮影でも活用できるし、今でも特殊な撮影の際にポジを用いることがあるので、この感覚を大事にしている。

 

朝霧の集落を往く列車を狙ったカット。列車がフレームインする瞬間に太陽が出て露出が上がるという状況だったが、その変化を予測して、太陽が出た後の露出値をあらかじめセット。過度にオーバーになるのを防ぐことができた。

 

上達方法02:ポジやモノクロなどのフィルムを使う

また、画像処理時にもアナログプロセスでの経験が生きている。デジタルになって以来、画像の作り込みが自由になったが、違和感を覚える仕上がりを目にすることも多い。特にシャドー部を起こしすぎた失敗例をよく見かける。学生時代、暗室でモノクロプリントを自分の手で焼き、著名写真家の美しい階調のプリントを繰り返し見ていたが、このとき学んだ階調感覚がカラープリントを主にしている今でも非常に役立っている。

 

シャッターを切った瞬間に全てが決まってしまうポジフィルムでの露出ワークは、デジタル時代の今も生きている。構図や露出を現場で必死に悩むことによって、どこをどのように見せたいのかを見返すことができ、仕上がりがよくなる。

 

学生時代にモノクロフィルムで撮影した鉄道写真。特にシャドー部の見せ方について、こだわって勉強した。ポイントとしては「描写を見せつつも黒を締める」こと。カラーでもシャドーをむやみにつぶさない画像処理を心掛けている。

 

上達方法03:その被写体に興味のない人に写真を見てもらう

そして、鉄道写真家である私だが、鉄道に興味のない人に写真を見てもらい、感想を聞くようにしている。鉄道好きがわかる写真ばかりでは、写真家としての広がりが乏しいと思うからだ。興味のない人にも“いい!”と感じられる写真を目指している。カメラを手にして以来、写真を撮ることが仕事になった今でも「写真がうまくなりたい」という思いが尽きることはない。

 

 

プロカメラマンが、プロになりえた技術向上術をマネすることから、写真撮影の上達への道が始まります。気になる上達法から、一つ一つ、試してみると新たな驚きの発見があるかもしれませんね!

 

Profile

村上悠太 むらかみ ゆうた

1987年鉄道発祥の地新橋生まれでJRと同い年の鉄道写真家。日本大学芸術学部写真学科卒業。「ひとと鉄道、そして生活」をテーマに、カメラ誌、鉄道誌やセミナー等で作品を発表。また東京都営交通の公式撮影も手がける。高校時代には毎夏、北海道上川郡東川町で開催される写真甲子園に出場。写真だけでなくEOSMOVIEによる動画作品も制作し、「てつ動画」シリーズとしてYouTubeとキヤノンオフィシャルWEBで発表。2016年に鉄道写真+動画展「てつ動展」、2017年に写真展「つなぐ旅」を開催。日本鉄道写真作家協会事務局長、キヤノンEOS学園講師。