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プロカメラマンに“実際にやった写真の上達方法”を教えてもらった!【吉住志穂カメラマンの巻】

プロカメラマンは如何にして写真がうまくなったのだろうか……。カメラ写真好きには、そんな疑問がたまに頭に浮かぶことがある。なので、6名のカメラマンにストレートに「どうやって写真がうまくなったのですか?」と聞いてみた。その六者六様の答えを、今回は余すところなくご紹介しよう。即実践可能なものから、過去の経験で自然と身に付いたことまで、リアル上達法になっている。
これまで以上のスキルやテクニックを身につけ、イメージ通りの描写撮影ができるようになる、6人のプロカメラマンのリアル上達方法をご紹介いたします。

 

 

吉住志穂カメラマンの写真上達方法

上達方法01
1つの被写体をとことん追求して撮る

上達方法02
ライブビューを使って客観的に画面を見る

上達方法03
自分が普段しない撮り方を強制的に行う

 

写真を始めたころは撮影テクニックを覚えるごとに上手くなり、上達のスピードが早く、写真を撮ることが楽しくて仕方がなかった。しかし、苦労したのはある程度、写真が撮れるようになってから。その苦労しているときに私が行った、さらなる上達の方法が、上にあげた3つである。

 

上達方法01:1つの被写体をとことん追求して撮る

まず行ったのが、気に入った花を見つけたら、その花を時間をかけて、とことん追求して撮影すること。しっかり狙いを定めて撮ったつもりでも、1カットだけでは、後から見返すとベストカットとはいえないこともあったからだ。光線状態、縦横やアングル、焦点距離や背景整理などを変えながら何枚も撮影することで、その条件に合ったベストカットが生まれると気がついた。

 

 

 

黄色いセンダイハギと青空を組み合わせたいと思い、焦点距離やアングルなどを変えながら100カット以上撮影した。そして、広角で見上げるアングルで狙ったこの写真にたどり着いた。

上達方法02:ライブビューを使って客観的に画面を見る

さらに、その際にライブビュー画面を見ながら整えていくと完成度が上がる。ライブビュー画面は一歩引いて画面全体を客観視することができるので、これが邪魔だなとか、ボケが少ないなどと自分の写真を講評するように、冷静なフレーミングができるのだ。

 

私の作品は明るめの露出が多い。ライブビュー画面で仕上がりを確認しながら、白とびギリギリの明るさまで上げることもある。ふんわりと優しいイメージに仕上がる。

 

上達方法03:自分が普段しない撮り方を強制的に行う

そして、今までやってこなかった撮り方にもどんどん挑戦してみた。私の撮影テーマは「花のこころ」。それはすなわち、自分自身の心でもある。初めはきれいに、明るくを意識して花を撮っていたのだが、自分にもいろいろな側面があるのと同様に花にも違った側面もあると思い、強制的に普段しない撮り方を実践し始めたのだ。その結果、暗い印象や力強い表現なども作品に加わり、幅の広い花写真が撮れるようになった。試行錯誤中はもちろん失敗がつきものだが、成功したときにはさらなる高みへ登ることができると実感している。

 

強制的に暗めの露出でも撮るようにし始めたら、最近ではよく使うテクニックになった。暗くするといっても、ただ露出をアンダーにするのではなく、この写真のように明暗差のあるところで使うとメリハリが出る。

 

 

プロカメラマンが、プロになりえた技術向上術をマネすることから、写真撮影の上達への道が始まります。気になる上達法から、一つ一つ、試してみると新たな驚きの発見があるかもしれませんね!

 

Profile

吉住志穂 よしずみしほ
1979年、東京生まれ。2001年、日本写真芸術専門学校を卒業。写真家の竹内敏信氏に師事し、2005年に独立。自然の「こころ」をテーマに、花のクローズアップ作品を撮影している。写真誌での執筆や撮影講座の講師も務める。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。写真展「Heartful Flowers」「Ants」「Yin&Yang」「花時間」など。