ソニー「α7 IV」と「FE 50mm F1.2 GM」にあらためて触る機会ができた。CP+2022がリアル開催されていれば会場で触ることができたのだが、それができなかっただけに、今回は貴重なチャンスだ。
機能だけでなく操作性もブラッシュアップされた「α7 IV」
「α7 IV」はαシリーズのベーシックモデルという位置付けだが、その性能はフラッグシップ譲り。操作系も随所でブラッシュアップが図られている。「α7 III」ではサブダイヤルと露出補正ダイヤルだった後ろの2つのダイヤルが、後ダイヤルRとLになって、モードごとに必要な設定を切り替えることができるようになっている。また、MOVIE (動画) ボタンがファインダー脇からシャッターボタンの後ろに移動。より目立って操作しやすくなっている。
MOVIEボタンが移動したことで、シャッターボタンの後ろに並んでいた2つのカスタムボタンC1とC2の一つは、MOVIEボタンと入れ替わるかたちでシャッター脇に移動した。全体の印象は変わっていないが、操作性は大きく違うものになった。
また、モードダイヤル下部に「静止画 / 動画 / S&Q切り替えダイヤル」を装備。静止画と動画の両方で操作性を追求したハイブリッド機ということで、静止画モードと動画モードでは、専用設定に切り替わるようになっている。
このダイヤルは、誤操作を防ぐために前側のレバー先端部分を押しながらでないと回らないようにロックが装備されている。
よく見ると、シャッターボタンや前ダイヤルに傾斜がつけられていることがわかる。グリップの形状も微妙に変化しており、ホールド感や操作性が良くなっている。
ファインダーは、「α7 III」よりも高精細な約368万ドットの高精細 Quad-VGA OLEDファインダーを採用し、約1.6倍の高解像度を実現する。EVFの光学レンズ群を密閉させる新構造を採用したことでレンズ内側の曇りを防ぎ、防曇性が大幅に向上。また上位モデルの「α1」や「α7S III」と同様に明るさ・色温度の調整が可能で、表示フレームレートも60fpsと120fpsを選択できる。
背面左上のカスタムボタンC3とMENUボタンの配置は変わっていないが、押しやすいようにボタンの形状が変更されている。
背面液晶は、チルト式から新開発の横開きバリアングル式に変更。ハイアングルやローポジションでの撮影に便利なほか、ウエストレベルでの動画撮影、縦位置撮影、自分撮りなど、さまざまな撮影スタイルに対応する。メニュー表示も新たなスタイルに変更されている。
ボディ側面の端子カバーにはヒンジ (蝶番) が付けられ、ドアのように開く。動画撮影時などに使いやすい。防塵・防滴仕様で、しっかりカバーが閉じるので安心だ。
カードスロットは、SDカードとCFexpress Type Aカードに対応したマルチスロットの「SLOT1」と、SDカード用の「SLOT2」を搭載。SDカードは両スロットともUHS-I/IIに対応する。メモリーカードの同時記録、振り分け記録、記録メディア自動切替、コピーなどができる。
バッテリーは「α7 III」と同じリチャージャブルバッテリーパック「NP-FZ100」を使用する。USB PD (Power Delivery) に対応し、本体内充電とUSB給電が可能だ。
大口径ながらコンパクト、静止画にも動画にも対応できる「FE 50mm F1.2 GM」
フルサイズに対応する焦点距離50mmのEマウントレンズは、「FE 50mm F1.2 GM」と「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA」「FE 50mm F1.8」「FE 50mm F2.5 G」の4本が用意されている。その中で「FE 50mm F1.2 GM」は、Gマスターの名を冠したもっとも明るいレンズだ。
外観でもっとも特徴的なのは、11枚羽根の円形絞りをコントロールする絞りリングだ。また、鏡筒側面と上面の2か所にフォーカスホールドボタンを配置。フォーカスホールドボタンは、好みの機能を割り当ててカスタマイズすることができる。
クリックのオン/オフが可能で、鏡筒側面に切り替えスイッチが設けられている。クリックオフにすると、ワンテンポ遅れて絞りがスッと動くのが確認できた。AF駆動にはXDリニアモーターを4基搭載し、駆動音はまったく気にならない。大口径レンズながら高速・高精度なAFを実現している。
もう一つの外観上の特徴は、前玉が凹レンズになっていることだろう。フィルター径はφ72mm。F1.2の大口径レンズのわりに、極端に前玉が大きい印象はない。
後玉はマウント面ギリギリのところにある。センサーの直前までレンズが迫っているということだ。レンズ構成は10群14枚で、超高度非球面XAレンズ3枚を採用して、コンパクトと高画質を両立している。
円筒形のレンズフード「ALC-SH163」はロックを装備し、確実にレンズに装着できる。先端にはショックを吸収するバンパーを装備する。
F2.8とF1.2の描写を比較。「α7 IV」に装着して撮影したが、合焦はスッという感じで素早く確実にピントが合う。F1.2の開放でも合焦部分にはしっかりと芯があり、ボケは滑らか。各色の発色にもコクがあり、すっきりとした描写だ。