ドキュメンタリー写真家に聞いた! 色彩について学ぶことで自分の伝えたいイメージが表現しやすくなる
写真のイメージづくりには「色」がとても重要です。色彩検定協会の協力により、写真と色彩の関係について考えていくこの連載。今回は、色彩検定2級を持つドキュメンタリー写真家の小野悠介さんに、色彩検定が実際の撮影にどのように役立っているのか聞きました。
ナビゲーター : イルコ・アレクサンダロフ |
今回の講師 : 小野悠介 |
イルコの“色彩”にこだわる写真術
小野悠介さんは『CAPA』6月号の「ドキュメンタリー写真家のメッセージ」にも登場した注目の若手ドキュメンタリー写真家。学生時代に地方創生の分野に関わったことをきっかけに、写真で地域に貢献していきたいという思いを持ち、国内の離島や里山を訪れ取材を重ね、日本の未来の可能性を撮り続けています。
光や色について知識として学べて写真との共通点が多い
色彩検定を取ったのは、実は写真を始める前。インテリア雑貨店でのアルバイト時代に、自分に自信をつけるために何か資格が欲しくて取得したんです。その後写真に興味を持ち、写真専門学校に入って学び始めたのですが、光や色について基礎的な分野での共通点がとても多く、理解しやすかったです。
何より色彩について “感覚” ではなく理論的に “知識” として身につけることができたことが最大の利点でした。写真を仕事にするようになってからも、ドキュメンタリー写真では色などを極端に変えたりすることはありませんが、色彩の知識があることにより、作品づくりにおける表現力や、仕事での理解・提案力の向上につながっていると感じています。
ホワイトバランスで心理効果を高める
色や光の持つイメージを理論的に理解しておくことが大切。雨の寂しい感じを出したい場合は寒色寄りに、夕日の温かみを感じさせたい場合は暖色寄りにするなど、撮影時に意図的にホワイトバランスを操作することにより、自分の心情を写真に強く反映させることができるようになりました。
写真の補正がしやすく、自分の作風を打ち出せるようになった
光の性質、色相環や配色ルールなどを頭に入れておくことで、写真を自分が表現したい雰囲気に近づけたり、写真の中の被写体を引き立たせたりといった、写真の補正について悩むことなく行なうことができるようになったと思います。初めて画像編集ソフトを触ったときも、わりと素直に調整を行なうことができたのも色彩の知識があったからでしょう。
個人的にはいかにもデジタルな写真は好きではなく、落ち着いたイメージにするため、少し彩度を抑えたり、色相で青を緑にやや寄せたりと細かく微調整しています。また、そうしたプリセットを作っておき写真に当てはめることも多いです。それが自分の写真の色というか作風になっていると思います。写真を見てくださった方がよく「優しい感じの写真ですね」と言ってくれるのがとても嬉しいです。
イルコの近状報告
最近は常に色にこだわった撮影を心がけています
私イルコも色彩について学んでいくうちに、今までは無意識だったり、感覚的にやっていたことが、色彩心理や色彩調和として理論化されていることがわかり、最近は撮影時にはより色に対して意識的、積極的に考え、行動するようになりました。さて、ここ2回の連載では、ほかの写真家がどう色に対して向き合ってきたかを見てきましたが、次回から再びイルコが色と色彩の関わりについて考えていきます。ご期待ください!
イルコの後輩写真家・Rinaty 色彩検定合格への道
色彩検定3級に無事合格しました!
6月に行なわれた色彩検定3級に無事合格しました。検定の結果は試験のおよそ1か月後に、色彩検定協会のWebサイトの合格発表ページから確認でき、その後合格者には合格証書・資格証が届きます。こうしてこの連載で経過を報告していたので、内心ドキドキでしたが、まずはひと安心です。やはり目標があると勉強に集中でき、内容の理解も深まりました。続いて2級に挑戦するため、すでに勉強を始めています。皆さんも一緒に検定にチャレンジしてみませんか!
合格への近道は “過去問” チェック
公式テキストと並んで役立ったのが過去の問題集。実際の問題に触れることで、より内容の理解が深まります。
冬期検定は2022年11月13日 (日) に開催。申込期間は8月8日 (月) ~10月11日 (火) です!
季節ごとの写真投稿キャンペーン「日常に色彩を」開催中!
色彩検定協会Instagram公式アカウントでは、日常を彩る「色」に関する写真を募集中。夏の色彩を集めるサマーキャンペーンは2022年8月31日まで。9月からはオータムキャンペーンがスタート!
色彩検定協会とは?
色彩検定協会は、年2回の色彩検定を実施している公益社団法人です。