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イルコの“色彩”にこだわる写真術② 写真の印象をアップさせる「色彩調和」とは?

「色彩調和」で色のルールを理解して写真の印象をアップ!

写真のイメージは、「色」がとても重要です。そこで、私、イルコ・アレクサンダロフが色彩検定協会の協力により、写真と色彩の関係について考えていきます。

第2回のテーマは「色彩調和」です。「色彩調和」で色のルールを理解して写真の印象をアップさせましょう。

イルコの色彩にこだわる写真術2

イルコの“色彩”にこだわる写真術

  1. 写真の印象を左右する「色彩心理」とは?
  2. 写真の印象をアップさせる「色彩調和」とは?
  3. ポートレートに効果的な衣装やメイクは?
  4. 色彩を理解すると写真にどう役立つ?
  5. 自然光を生かしたポートレートの撮り方は?
  6. ストロボ+カラーフィルターで写真の表現力がアップする!
  7. 写真をドラマチックに仕上げる色の調整方法は?
  8. 季節感を表現するには肌の色も重要!
  9. 写真を正確な発色で楽しむには?
  10. モニターとプリントで色が違うのはなぜ?

配色で写真のイメージに差をつけよう

ポートレートでは被写体となるモデルをいかに印象付けるかが、特に重要となります。そのためには写真のイメージに影響を与える「色」を積極的に利用するのが一番効果的だと私、イルコは考えます。色の組み合わせを「配色」といいますが、組み合わせることで単色とはまた別のイメージを生み出すことができます。

配色の基本的な考え方となるのが「統一と変化」です。「統一」は、色相やトーンに共通性を持たせた配色のこと。類似した色調によりまとまりを感じる作品になります。「変化」は逆に、色相やトーンに対照的な色を使った配色のこと。モデルと背景に補色を使ったり、明度や彩度の差を大きくしたりすることで、被写体をダイナミックに目立たせることが可能になります。

基本的には変化を利用して印象を強調することが多いですが、統一の写真が揃うとバリエーションが豊かになります。皆さんも、いつもより配色に気を使って撮影してみませんか? 新しい世界が見えてきます。

被写体を強調するなら「変化」をつけよう!

■変化

共通性のない変化の大きな色の組み合わせなら、派手で力強い印象を与えることができます。 少しくすんだ赤い花にビビッドな青や青緑のドレスが、色相・トーンともに対比を生んでいます。

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■統一

同系色を組み合わせた配色で構成すると、絵にまとまりが出ます。オレンジ色の背景に、色相・トーンともに近い黄色の衣装を選び、統一感を出しながらわずかな色の変化で印象的になりました。

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色相環とトーン

赤、青、緑などの色みの変化を連続して見える輪にしたのが「色相環」。ある色に対して色相環上で向かい合う位置にある色を「補色」といい、もっとも色相の離れた色となります。

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同じような明度や彩度の色は共通した印象になります。明度 (明るい←→暗い)、彩度 (濃い←→薄い) の領域をまとめたものをトーン (色調) といいます。有彩色は12種、無彩色は5種に分類されています。

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モデルを目立たせるには、対照的な色で対比関係を作るのが基本。わずかに夕日の名残が残る日没の空を背景に、赤いドレスのモデルを配置しました。

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アクセントカラーで写真にワンポイント

同系色の組み合わせは変化の少ない単調な写真になりがち。そんなときは、ほかと対照的な色のモノを画面に小さく加えることで、配色に変化を与えたり、特定部分を目立たせることができます。こうした小さな面積で写真全体を引き締めてくれる色を「アクセントカラー」といいます。

アクセントカラーは背景の色との「差」が大切。背景が無彩色や低彩度であれば高彩度色を、背景の明度が低い場合は高明度色を選ぶと効果抜群です。

写真内で目立てばいいので、ほかと差があれば無彩色でもOK

雪景色に白系の着物だけでは背景に埋もれてしまいますが、赤い傘でアクセントを入れることでモデルを引き立たせることができました。

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写真のイメージを高度にコントロール

写真のイメージをより高度にコントロールしたいときに有効なのが「配色イメージ」。ロマンチックなイメージ、カジュアルなイメージなど、それぞれのイメージに対応する色の組みあわせには典型的な配色ルールがあり、ある範囲の色相やトーンを組み合わせると、そのイメージを持つ配色を作ることができます。

たとえば下の作例「ロマンチック」の場合、色相は赤紫〜赤みの黄の範囲、トーンはペールトーン、ライトトーンといった低彩度で明るい色を使うとイメージを表現しやすくなります。もちろん、選択範囲はあくまで目安なので、自分が表現したいイメージに近づけるためにアレンジを加えてもまったく問題ありません。

配色イメージ

■ロマンチック

明るい暖色系の色を組み合わせると、かわいらしさを感じさせる配色となり、ロマンチックなイメージになります。 特にピンクはかわいらしさがアップ。

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■ダイナミック

色相が対照的で、高彩度な色の組み合わせは、大胆でダイナミックなイメージを感じさせます。後ろに青系を配置することでモデルの存在をより強調。

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■モダン

高彩度の青系の色を組み合わせ、明度にコントラストをつけると、現代的な配色となり、モダンな印象を与えることができます。

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ほかの配色イメージもぜひ調べてみよう。写真のヒントになります!

 

イルコの後輩写真家・Rinaty 色彩検定合格への道

Rinatyは、イルコのポートレート撮影テクニックに強い影響を受けた、イルコの後輩写真家。セルフポートレートの裏側を描いたSNSで話題になり、NHKにも出演。2021年から本格的に写真家の道を進んでいます。6月の色彩検定で3級を、さらに11月には2級にチャレンジする予定。その体験を次回から毎月レポートしてくれることになりました。お楽しみに!

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6月の検定に向けて、ただいま猛勉強中!

季節ごとの写真投稿キャンペーン「日常に色彩を」開催中!

色彩検定協会Instagram公式アカウントでは、日常を彩る「色」に関する写真を募集中。夏の色彩を集めるサマーキャンペーンは2022年8月31日まで。

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■色彩検定協会とは?

イルコの色彩にこだわる写真術1

色彩検定協会は、年2回の色彩検定を実施している公益社団法人です。

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