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イルコの“色彩”にこだわる写真術① 写真の印象を左右する「色彩心理」とは?

「色彩心理」を利用して写真イメージを上手にコントロールしよう!

写真のイメージは、「色」がとても重要です。そこで、色彩検定協会の協力により、10回にわたり写真と色彩の関係について考えていきます。ナビゲーターは私、イルコ・アレクサンダロフ。「光」の次は「色彩の魔術師」を目指します!

第1回は「色彩心理」について。「色彩心理」を利用して写真イメージを上手にコントロールしましょう。

イルコの色彩にこだわる写真術1

イルコの“色彩”にこだわる写真術

  1. 写真の印象を左右する「色彩心理」とは?
  2. 写真の印象をアップさせる「色彩調和」とは?
  3. ポートレートに効果的な衣装やメイクは?
  4. 色彩を理解すると写真にどう役立つ?
  5. 自然光を生かしたポートレートの撮り方は?
  6. ストロボ+カラーフィルターで写真の表現力がアップする!
  7. 写真をドラマチックに仕上げる色の調整方法は?
  8. 季節感を表現するには肌の色も重要!
  9. 写真を正確な発色で楽しむには?
  10. モニターとプリントで色が違うのはなぜ?

「色」は写真のイメージに強い影響を与える

皆さんは、写真を撮るときに色についてどのくらい意識していますか? 私、イルコはとても重要だと考えています。なぜなら色は写真のイメージにとても強い影響を与えているから。効果的に色を利用することで、写真のイメージを何倍にも高めることができるのです。そのためには色の理論をよく理解しておくことが重要。

例えば「色彩心理」。特定の色を見ると、人はさまざまな感情やイメージを思い浮かべます。赤い色なら「暖かい」「情熱的」「派手」、青なら「寒い」「静か」といったイメージが浮かぶと思います。これらは「色の連想」と呼ばれ、それぞれの色が持つイメージを写真に反映できれば、見る人によりエモーショナルな感情を与えることができます。

写真を撮るときに、色の仕上がりイメージは大切にしたいもの。多少の個人差や文化、社会などで異なることもありますが、多くは直感的に理解できると思うので、それぞれの色のイメージを簡単に把握しておくとイイです。

撮るときはテーマとなる色をイメージしておこう!

■赤のイメージ

赤からは、「情熱的」「熱い」「派手」「興奮」などがイメージされます。ヒガンバナの赤で、燃え上がるような情熱的なイメージに!

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■青のイメージ

青なら「クール」「静か」「悲しい」「知的」など。青く写った雨により、冷たさやクールさを強調しています。

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■白のイメージ

白は「純粋」「神聖」「清潔」などのイメージ。まさにブライダルフォトそのものの色ですネ。

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■オレンジのイメージ

オレンジなら「暖かい」「陽気」「楽しい」などが連想されます。夕日の暖かさが感じられる1枚。

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■ほかの色のイメージ

茶色なら「落ち着いた」「渋い」「大人っぽい」「地味」など。

なら「暗い」「重い」「シック」「高級」など。

なら「さわやか」「若々しい」「平和」「安全」など。

ピンクなら「女性的」「柔らかい」「甘い」「可愛い」など。

色が与える心理効果はほかにも多い

現実の世界や写真は、1色だけで構成されていることはほとんどありません。色と色が隣り合っていたり、被写体となるモデルが特定の色を背景に立っていたりします。普段はあまり意識しませんが、その色だけで見たときとは異なる見え方をしています。

私はポートレートを撮るとき、モデルの衣装には特に気を遣います。青や緑の背景に補色関係となる鮮やかな赤いドレスを着てもらえれば、対比が生まれてモデルがめっちゃ目立ちます。対比効果は写真では特に重要です。

衣装を選ぶときは、「膨張色・収縮色」も意識したいもの。膨張色の白や黄色の服は大きく見え、収縮色の黒や紺の服はスッキリ見えたりします。また、明るい色ほど柔らかく見える「色の硬軟度」や、黒は白より重そうに感じる「色の軽重感」、赤、橙、黄色などは近くに、青や紫などは遠くにあるように感じる「進出色と後退色」などの効果もあります。こうした色の与える心理効果は、覚えておくと写真表現の世界を広げてくれます。

色の対比でモデルを目立せよう!

■青空に赤い衣装が映える

この日はものすごくキレイな青空で、赤い衣装がコントラストとなってよく映えました。もっとも対比効果の高い組み合わせです。

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■紅葉に緑の衣装で重厚に

深い赤の紅葉にグリーンの衣装がよく目立つだろうと考えました。予想どおりに鮮やかですが重厚なイメージに仕上がりに。

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色の三属性「色相・明度・彩度」

Adobe Photoshopなど画像編集ソフトでよく見かける「色相・明度・彩度」は、色の三属性と呼ばれ、色を理解するために重要な要素。「色相」はたくさんの色を、赤み、黄み、緑み、青みといった色味の性質ごとにグループ分けしたもの。「明度」は明るい色、暗い色といった色の明るさ。「彩度」は色の鮮やかさを表します。この3要素を組み合わせることで、その色の状態を理解できます。これらは撮影時よりも画像編集やレタッチのときに意識することが多いですが、色の知識として覚えておくと役に立ちます。

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イルコの色彩にこだわる写真術1
フォトショップなど画像編集ソフトでよく使われる「色相・彩度」はここから来ていて、それぞれの属性を理解することが上手な画像編集にもつながります。

彩度を調整してカラフルに

モデルの前に赤いLEDライト、背景に青いLEDを仕込んでカラフルさを演出。私は「彩度」をよく使いますが、写真を鮮やかにするだけでなく、鮮やかさを抑えることも意外と多いです。

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「色」が写真のイメージにどれだけ大きな影響を与えているか、わかったかな? 次回は「色彩調和」について楽しく考えます。期待してネ!

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季節ごとの写真投稿キャンペーン「日常に色彩を」開催中!

色彩検定協会Instagram公式アカウントでは、日常を彩る「色」に関する写真を募集中。春の色彩を集めるスプリングキャンペーンは2022年5月31日まで。

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■色彩検定協会とは?

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色彩検定協会は、年2回の色彩検定を実施している公益社団法人です。

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