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自然光を生かしたポートレートの撮り方は? イルコの“色彩”にこだわる写真術⑤

常に変化する「自然光」を生かして写真を印象的に表現しよう!

写真のイメージづくりには「色」がとても重要。色彩検定協会の協力により、写真と色彩の関係について考えていくこの連載。今月と来月の2か月にわたり、写真にとって大切な「光」について考えます。今回は「自然光」についてです。

イルコの色彩にこだわる写真術5
イルコ・アレクサンダロフ

イルコの“色彩”にこだわる写真術

  1. 写真の印象を左右する「色彩心理」とは?
  2. 写真の印象をアップさせる「色彩調和」とは?
  3. ポートレートに効果的な衣装やメイクは?
  4. 色彩を理解すると写真にどう役立つ?
  5. 自然光を生かしたポートレートの撮り方は?
  6. ストロボ+カラーフィルターで写真の表現力がアップする!
  7. 写真をドラマチックに仕上げる色の調整方法は?
  8. 季節感を表現するには肌の色も重要!
  9. 写真を正確な発色で楽しむには?
  10. モニターとプリントで色が違うのはなぜ?

太陽が作る偉大な照明が「自然光」

私たちは光によって物の色や形を捉えることができます。その光は大きく「自然光」と「人工光」に分けられます。自然光とは太陽の光のことで、真昼の太陽光は昼光とも呼ばれます。対して人工光はLEDや電球による光になります。私、イルコ・アレクサンダロフはストロボを使った撮影がメインですが、本当にきれいな光線状態だったり、柔らかい光だったりと、状態のいい自然光があるときは積極的に利用しています。

朝や夕方の時間帯の暖かい光やマジックアワーの青など自然光を生かして撮るときは、カメラのホワイトバランスは「太陽光 (晴天)」を基本に撮影するのがオススメ。人間の目にはわからなくても、実際には時間や環境で変化する光の色を写真に忠実に反映してくれることで、それが写真の面白みにつながります。

自然光の代表、マジックアワー

マジックアワーの時間帯、木々の間からのわずかな自然の光がまるでスポットライトのようにモデルを照らしてくれました。あとからホワイトバランスを少し調整して顔色が正しくなるよう調整しました。

イルコの色彩にこだわる写真術5

晴天下は色は偏らないが強い影が出る

日中の青空は色に偏りはありませんが、コントラストが高くて影が強く出ることがあります。そんなときは広角側でワイドな写真にして顔に寄りすぎないようにします。

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暖かさを感じさせてくれる夕方の光

わずかに夕方を感じる時間帯。モデルが暖かい色調の自然光に包まれていました。顔が白トビしないように露出のバランスに最大限の注意を払っています。

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曇った日の夕方は青くクールな色味に

少し曇った日の夕方の時間帯なら、あまり極端になりすぎない青みがかった色調になりやすい。都会的でクールな雰囲気を演出できます。

イルコの色彩にこだわる写真術5

その場の光線を生かすことで印象を高める!

自然光はどんな状態で地上に降り注いでいるかも重要です。光がどこから差しているのかを意識して、その場の光をうまく生かしたいですね。

私は、背景が暗めで被写体にだけ光が当たるような場所をよく探します。暗めの背景だと被写体がどこにいるかわかりやすく、構図を作りやすくなります。何より被写体にだけ光が当たるわけですから、それだけでかなりドラマチックな作品になります。こうした場合は写真の色の情報を少なくすると、観賞する人の視線はより被写体のほうにだけ向かいます。色の少ない背景を選ぶだけでも同様の効果を得ることができると思います。

また、ビルとビルの細い隙間から差す光もオススメです。その光の方向に顔を向けてもらえば、ストロボに近い柔らかくてきれいな光でモデルを照らすことができます。

モデルだけを引き立たせる自然のスポットライト

吊り橋の中央にだけ太陽の光が差していた、まさに絶好のチャンス。モデルを劇的に引き立てることができました。

イルコの色彩にこだわる写真術5

ホワイトバランスで写真の色の印象を強調

自然光を生かした撮影は、いつでも自分のイメージどおりになるわけではありません。晴天のニュートラルな状況などで、さらにドラマチックで印象的に撮影したいときには、ホワイトバランスの調整が有効。夕方をより赤くしたり、夜景を青く強調したりと、色味を強調することで、写真の印象をより強くすることができます。

デジタルカメラなら撮影した画像をすぐに液晶モニターで見られるので、確認しながらホワイトバランスを決めてもよいでしょう。また、私は撮影時におおよその色調を決定し、あとからモデルの顔や肌の色が最もきれいになるよう微調整することが多いです。

代表的な自然光の色温度

光の色を数値で表したものが「色温度」。このように移り変わる太陽光の色温度を元に、電球などの照明の色やカメラのホワイトバランスが設定されています。

イルコの色彩にこだわる写真術5

少しオーバーなくらいに赤みをプラス!

日が落ちる寸前の光を受けて、高原のススキが輝いていました。夕焼けの感じを強調してよりドラマチックにするために、ホワイトバランスを調整して赤みをプラスしました。

イルコの色彩にこだわる写真術5

 

次回は「人工光」について考えます。お楽しみに!

イルコの後輩写真家・Rinaty 色彩検定合格への道

イルコの色彩にこだわる写真術5
Rinaty

色彩検定2級は、内容もやはり3級より難しい?

無事に色彩検定3級に合格しましたが、2級の検定は11月13日。そろそろ本格的に勉強を始めないといけません。2級の公式テキストをざっくり読み通したところ、1つ1つの項目がレベルアップした内容になっているようです。気を引き締めて2級の内容に取り組みたいと思います。皆さんも一緒に秋の検定にチャレンジしてみませんか!

イルコの色彩にこだわる写真術5
3級の合格証書です。ピンク色のカードは色彩コーディネーター3級の資格証で同時にいただけました。

冬期検定は2022年11月13日 (日) に開催。申込期間は10月11日 (火) までです!

季節ごとの写真投稿キャンペーン「日常に色彩を」開催中!

色彩検定協会Instagram公式アカウントでは、日常を彩る「色」に関する写真を募集中。秋の色彩を集めるオータムキャンペーンは2022年11月30日まで!

イルコの色彩にこだわる写真術5

■色彩検定協会とは?

イルコの色彩にこだわる写真術1

色彩検定協会は、年2回の色彩検定を実施している公益社団法人です。

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