機材レポート

ニコンの小型軽量F2.8超広角ズームを実写チェック! NIKKOR Z 17-28mm f/2.8

伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年1月号 Other Shots

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック
ニコン Z 9 + NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S (奥)、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 (手前)

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。2023年1月号の「レンズパラダイス」Other Shotsでは、開放F値をそれぞれF2.8、F4.5としつつ、小型軽量化によって携行性を高めた「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」と「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」の描写性能をチェックしてみた。

前編では、「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」の描写を実写作例で見ていこう。

目次

  1. NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック
  2. NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S 実写チェック

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック

スペック
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ75×101mm [重さ] 約450g [レンズ構成] 11群13枚 [最短撮影距離] 0.19m (ワイド時) [最大撮影倍率] 0.19倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ67mm

参考価格 165,000円 (税込)

全般的に安定した描写が得られる

ライトアップされた東京駅と黄葉した樹木を手持ち撮影。ワイド端とはいえ、樹木と建物までの距離が離れているので、被写界深度を確保する目的でF4まで絞って撮影。レンズには手ブレ補正機能は搭載されていないので、「Z 9」のボディ内手ブレ補正頼みだが、1/6秒で手ブレせずに撮影できた。ごく周辺で解像が少し低下するが、像の流れやパープルフリンジなどはなく、全般的に安定した描写が得られている。

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック
ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F4 1/6秒 +0.7補正 ISO1600 WB : オート1 17mm域
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ビルの窓枠にパープルフリンジも浮かない高い描写性能

東京駅丸の内側の広場にある像を絞り開放で撮影。特にライトアップはされておらず、街灯やビルの灯りなどの地灯りのみだが、開放F2.8と明るいので、ボディ内手ブレ補正機能を併用すれば手持ちでもブレずに撮影できる。よく見ると残照の空に星も写っていて、ビルの窓枠にパープルフリンジも浮いていない。S-Lineではないが、なかなかの描写性能だ。

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ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F2.8 1/5秒 +0.3補正 ISO1600 WB : オート1 17mm域
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絞りを絞ると画面周辺部までビシッと解像する

新宿御苑のラクウショウ。訪れた時間帯が悪く、ラクウショウの根が密集している場所は日陰。光が当たっているこの場所はほぼ逆光だったが、ゴーストやフレアはほとんど出ず、クリアでヌケの良い描写だ。ピント位置は手前のラクウショウで、F7.1まで絞っているので周辺手前もビシッと解像している。遠景は被写界深度外で、木漏れ日の中央に暗い微ボケが現れているので、もう少し絞ったほうがよかったかも。

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック
ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F7.1 1/60秒 +0.3補正 ISO100 WB : 自然光オート 17mm域
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絞り開放でも周辺部まで安定した解像

東京駅丸の内南口のドームをワイド端で狙おうとするが、17mmだと画角が狭く縦位置にして撮影。それでもまだ画角が狭く、こうしたシーンを狙うなら「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」のほうが適している。外の光が差し込む窓枠にわずかにパープルフリンジが出ているものの、F2.8開放でも周辺まで安定した解像。非S-Lineとは思えないほどの開放描写だ。

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ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F2.8 1/20秒 +0.3補正 ISO280 WB : オート1 17mm域
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テレ端の撮影ではピント面で高い解像が得られる

手向山 (ヤマモミジ) の落葉をテレ端で1段だけ絞って撮影。28mmの広角とはいえ、フルサイズのピクセル等倍だと被写界深度は浅く、ピントがビシッと合うのはごく狭い範囲。しかし、微ボケ部分もそれほどうるさい描写にはならず、周辺部の解像低下もそさほど気にならない。

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック
ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F4 1/500秒 ISO100 WB : 晴天 28mm域
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微ボケもスムーズにぼけていく

広角レンズでも開放F2.8で近景を撮影すると、被写界深度はそれなりに浅く、遠景をフワッとぼかすことができる。この日は風がそこそこ強く、垂れ下がった樹の葉っぱが揺れていたが、葉っぱをAF-Cで追従させつつブレないように高速シャッターで撮影した。ピント面は適度なシャープさで必要以上にエッジ立っていないので、微ボケもスムーズにぼけている。

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ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F2.8 1/2500秒 ISO100 WB : 晴天 28mm域
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光条を伸ばすにはF16まで絞りたいところ

新宿御苑の手向山 (ヤマモミジ) を樹の内側から撮影。普段は14mmよりも広角で狙うお気に入りの光景だが、最近の超広角ズームとしてはワイド端が狭めの「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」でもなんとか絵にすることができた。枝の隙間に太陽を配しF11まで絞って光条を伸ばしてみたが、もう少し絞ったほうが光条は鋭くなる。ただ小絞りボケで解像感は徐々に低下してくるので、そのあたりのバランスが悩みどころだ。

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ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F11 1/50秒 +0.7補正 ISO100 WB : 晴天 18mm域
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最短撮影距離19cmなので、近寄って背景を大きくぼかせる

絞りをF2.8開放にして、手向山 (ヤマモミジ) の葉っぱを寄りで撮影。前のカットと同じ場所、同じ焦点距離で撮影しているが、まったく違った表現を引き出せる。最短撮影距離はワイド端で19cmなので、超広角で思いっきり被写体に近寄って背景を大きくぼかすことができる。

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ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F2.8 1/500秒 +0.7補正 ISO100 WB : 晴天 18mm域
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ボケの中央が暗くなり周辺で三角形に欠ける

東京・丸の内仲通りのメタリックなオブジェをパチリ。階調が滑らかなためか、液体金属のようなヌメヌメ感がよく出ている。背景の光点ボケに輪線が出ているが、非球面レンズの影響というよりも、レンズの収差が少ないためLED電球のガラスの干渉縞がクッキリ出ている感じ。ただ、ボケの中央が暗くなるのと、周辺のボケが三角に欠けているのはレンズが原因だろう。

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ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F2.8 1/30秒 +1.0補正 ISO110 WB : オート1 28mm域
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携行性に優れ感度を上げずに済むので、スナップ撮影に最適

「Marunouchi Bright Christmas 2022」のメイン会場となる丸ビル1階マルキューブのクリスマスツリー。F2.8ズームとしては小型軽量なので、街ブラしながらのスナップ撮影には最適。光量がそれほど多くないシーンも感度を上げずにキレイに写すことができる。ツリーの飾り付けを見ると、さすが4571万画素ならではの高精細描写で、スマホとは明らかに異なる上質な描写だ。

NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 実写チェック
ニコン Z 9 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 絞り優先オート F2.8 1/8秒 ISO200 WB : 晴天 28mm域
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※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。

後編では「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」の描写力をチェックします。