カメラ記者クラブが主催し、毎年4月から翌年3月までに発売されたカメラの中から最も優れたカメラを選ぶ「カメラグランプリ」。カメラ記者クラブのメンバー、加盟誌の代表者、外部選考委員など総勢46名の投票により、2022年のカメラグランプリ大賞は「ニコン Z 9」に決定した。
■ニコンのフラッグシップミラーレス「Z 9」が大賞とあなたが選ぶベストカメラ賞をダブル受賞
「ニコン Z 9」は、フラッグシップとしての高い性能に加え、メカニカルシャッターを廃し、シャッター幕があることで起こるシャッターの故障や微細なゴミの発生から解放した点が高く評価された。2位の「キヤノン EOS R3」とは接戦となったものの、頭ひとつ抜け出し、大賞となった。
一般投票によって選ばれる、あなたが選ぶベストカメラ賞も「ニコン Z 9」が受賞。選考委員だけでなく、ユーザーの視点からも高い評価を得たということだ。
カメラグランプリ2022 大賞 得票結果 TOP5
- ニコン Z 9 : 188点
- キヤノン EOS R3 : 136点
- OM SYSTEM OM-1 : 54点
- ソニー α7 IV : 35点
- シグマ fp L : 12点
■レンズ賞は2点差の接戦!「ソニー FE 50mm F1.2 GM」が受賞
レンズ賞は「ソニー FE 50mm F1.2 GM」が受賞した。開放F1.2の明るい大口径でありながら、コンパクトなサイズのレンズになっていることが選考理由の一つ。「キヤノン RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」が肉薄するも一歩及ばなかった。
カメラグランプリ2022 レンズ賞 得票結果 TOP5
■カメラ記者クラブ賞は「キヤノン EOS R3」と「ニコン Z fc」が受賞
カメラ記者クラブのメンバーが先進性・話題性・大衆性の観点で選ぶカメラ記者クラブ賞には、「キヤノン EOS R3」「ニコン Z fc」が選出された。視線入力を製品化した「EOS R3」には技術賞、ミラーレスの性能とニコンの伝統的なデザインを融合させた「Z fc」には企画賞が贈られた。
カメラグランプリ2022 大賞
ニコン Z 9
カメラ性能の高さに加えてメカシャッターを廃した点を評価
有効画素数4571万画素の積層型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED7」の組み合わせにより、追従性の高いライブビュー表示、世界最多9種類の被写体検出、歪みを抑えた電子シャッター撮影などを実現したフラッグシップモデル。メカニカルシャッターを廃したことで、シャッターの動作音と動作耐久を気にする必要がなくなった点も評価された。
カメラグランプリ2022 あなたが選ぶベストカメラ賞
ニコン Z 9
革新的な技術の投入に加え動画性能の高さも注目された
投票の際のコメントでは「完全ブラックアウトフリー、メカシャッターレスが革新的」「プロ向けとして申し分ないスペックを詰め込みながら、センサーの高速読み出しによるメカシャッターレスの実現など、チャレンジングな製品だと評価できる」「4K動画撮影が時間制限なくできる、8K30P撮影が2時間以上撮影可能など、エポックメイキング的な新しい時代のカメラだと感じた」といった声が寄せられた。
カメラグランプリ2022 レンズ賞
ソニー FE 50mm F1.2 GM
大口径の標準レンズながら小型軽量を実現した点が高評価
高解像とボケ味の両立を実現しつつ、開放F1.2の明るさを持つミラーレスカメラ用の大口径レンズとしては小型で、カメラボディのサイズ感にマッチしているという声が集まった。また、AFスピードの速さやMF時の操作感も、こだわりを感じる要素として高く評価された。
カメラグランプリ2022 カメラ記者クラブ賞
【企画賞】ニコン Z fc
性能の追求だけでなくファッション性も取り入れた企画力
若い新規ユーザーの目を引くニコン銀塩一眼レフカメラ風のスタイリングと、すでに性能面で定評あるミラーレスカメラ「Z 50」の基本性能を融合。カタログデザインにもファッション性を取り入れるなど、新規層開拓に向け一貫性のある商品企画を展開。往年の銀塩一眼レフカメラを懐かしむ層も巻き込み、大きな話題となった点も評価された。
【技術賞】キヤノン EOS R3
デジタルカメラのAF機能に視線入力を採用した技術力
ファインダー内の見つめた先にAFフレームを移動させる「視線入力」機能は、現在のデジタルカメラにおいてキヤノン独自のもの。指先で扱うスティック状やタッチパッド状のコントローラーに加え、視線を使ってAFフレームを指定するという新規性が評価された。開発発表時には、銀塩EOSシリーズに搭載されていた「視線入力AF」の復活としても注目された。
カメラグランプリとは?
「カメラグランプリ」は、写真・カメラ媒体が加盟するカメラ記者クラブ (2022年4月現在で7媒体が加盟) が主催し、カメラグランプリ実行委員会の運営のもと、選考委員を組織している。選考委員は、カメラ記者クラブ会員、加盟媒体の編集長もしくは代表者、外部選考委員、特別選考委員、特別会員のTIPA (欧州を中心とした24媒体およびカメラ記者クラブが加盟する写真・映像雑誌の団体) で構成。39回目の開催となる今回は、総勢46名が選考にあたった。
「カメラグランプリ2022」の選考対象は、2021年4月1日~2022年3月31日の1年間に日本国内で新発売された機種。もっとも優れたスチルカメラを選ぶ「大賞」、もっとも優れた交換レンズを選ぶ「レンズ賞」、カメラ記者クラブ会員の合議によって選ぶ「カメラ記者クラブ賞」、一般ユーザーの投票で決定する「あなたが選ぶベストカメラ賞」が設けられている。