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【滝の撮り方⑤】それぞれの滝の表情を最大限に引き出す“俺流”の切り取り方!

【潜流瀑】潜流瀑の周囲の岩は苔が多くそれを生かす!

滝の種類のなかでは最も繊細な表情を見せてくれるのが潜流瀑だ。その流れを表現するにはスローシ ャッターが向いている。潜流瀑の周りの岩には苔がついていることが多いので、苔を生かしながら撮影すると、よりいっそうみずみずしく仕上げることができる。

 

(秋田県にかほ市)

正統派撮影

清冽な水が勢いよく流れる元滝は、遊歩道の終点にある。滝の正面には少し広めのスペースがあり、そこから狙うと滝と苔を組み合わせた正統派の写真が撮れる。光があると滝と苔の露出差が大きくなるので、撮影は曇りの日がよい。

こんな写真になりがち!
・曇天で順光気味に写すと平面的に写りがち
・幅の広い滝なので横位置で写してしまいがち

順光では画面が平面的になるので自分が動いて立体的に見える位置を探る

滝は動かないので、光線状態を変えるには自分が動くしかない。“俺” 的を狙うのであれば、動いて立体的に見える位置を探すのがベター。ここでは、右側に移動すると滝に立体感が出て、さらに苔の緑もより鮮やかになった。そこで主役を苔に変更し、苔がきれいな岩をメインに、不要な部分が写らないように縦位置で撮影。正統派とは違った印象深い作品に仕上がった。

120ミリ相当 絞り優先オート(F14   3秒) -0.7補正 ISO50

 

白糸の滝(静岡県富士宮市)

正統派撮影

富士山の伏流水が流れる白糸の滝。画面左側の滝は水量が多く、右側には細い流れが白糸のように幾筋も連なっている。また、深い緑色をした滝壺も神秘的。これらを1つの画面に収めることが正統派の切り取り方だ。

こんな写真になりがち!
・観光写真のようになってしまいがち
・横位置で全景を写してしまいがち

観光客が記念撮影している場所から撮るとガイドブック的写真になるので位置を変える

観光写真から脱却するには、構図のひと工夫が必要だ。観光客でにぎわっていた正統派写真のポイントから下流に目を向けると、黄色い花が鮮やかに咲いていた。その花と滝が画面に収まる位置に移動し、花と左の滝を対角線上に配置する。動きと季節が感じられる独自の絵柄となった。

55ミリ相当 絞り優先オート(F13 1/4秒) ISO100 WB:太陽光

 

横に広い滝を横位置で撮るのは一般的なので、縦位置にするだけで“俺”的要素が生まれる

横に広い滝を横位置で撮るのは普通だが、そんな場面であえて縦位置に挑戦してみると、自然と“俺”的な写真になる。右写真と同じ位置から、黄色い花をなるべく多く取り入れるために、左側の滝を思い切 って省く。さらに左下に大きな岩を配して画面を引き締める。正統派写真よりも季節感が出た。

45ミリ相当 絞り優先オート(F14 1/4秒) -1補正   ISO100 WB:太陽光

 

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