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【星景ポートレートの撮り方②】こんな写真撮れるの!? 重要なのはライティングの配置

星空と人物を一枚の写真に収める星景(星空)ポートレートは、幻想的な写真撮影が可能ではありますが、少しテクニックが必要です。星空と人物を一枚の写真の中で、両方ともきれいに写し出すためには、“長時間露光で星”を、“フラッシュの光で人物”を撮影します。その撮影方法についてご紹介いたします。

 

  1. 星空? 人物? どちらを基準に撮影するの?
  2. こんな写真撮れるの!? 重要なのはライティングの配置
  3. 光の演出で印象に残る華麗な一枚を撮ろう
  4. 様々なライティングでオリジナリティあふれる一枚を撮ろう

 

 

背景の星景がきれいに撮れるかを実写し人物やフラッシュの位置を決める

まずはフラッシュを扱う前に、背景の星景写真がきれいに撮れるか、実際に試写して確認しましょう。星景がしっかり撮れたら、人物が立てる場所を確保して構図を決めます。撮影は、街明かりや月明かりの少ない場所がベスト。条件がそろったら、フラッシュを人物に向けてワイヤレスで発光します。フラッシュを使用する場合、背景のホワイトバランスが青く写るように設定(3600Kの場合)したときは、オレンジ色のフィルターをフラッシュに装着すると肌の色が青白くなりません。

 

基本テクニック

できるだけ暗い場所を選んで撮影しフラッシュ使用時は周囲の人にも注意

星景を撮るときと同じく、丈夫な三脚を使う。レリーズはあってもなくても問題ない。人物の背景はなるべく暗く、光害がない場所を選択する。どうしても街明かりなどが入ってしまう場合は、人物が動かないよう指示し、適したポージングを行う。それでもぶれてしまうならISO感度を上げ、シャッタースピードを速めるのも一つの方法だ。フラッシュを使用する際は、周りでほかのカメラマンが天体撮影を行っていないかを確認しよう。

 

暗い場所ほど撮影しやすくライティングの効果も高まる
人物がぶれるのを防げるほか、暗い場所ならライティングも行いやすく、効果が出やすい。ただ、暗い場所といっても、ホタル生息地でホタルの光を背景にフラッシュ撮影を行うのは厳禁。生態系に悪影響を及ぼしてしまう。

 

ライティングの配置は非常に重要。人の顔をはっきり写す場合は4時か8時方向から。 奥から1灯入れることにより人物の輪郭が浮き出る。

 

調光をせずにフラッシュを当ててしまうと人物が白とびする原因になる。 明るさを調 整 する際はカメラ側で行ってはならない。

 

 


調光は頻繁に行うため、リモート機能付きで手元で調整できるものが便利。2灯以上の場合は、被写体の奥側のものから順に調整するとライティングプランの組み立てが行いやすい。

20ミリ相当 マニュアル露出(F2 30秒) ISO2000 WB:3400K

 

 

応用テクニック

夜景を生かした星景ポートレート撮影にも挑戦してみよう

撮影に慣れてきたら、星だけでなく夜景を綺麗に入れて撮ることにチャレンジしてみよう。方法は星を撮るのと同じで夜景を白飛びさせない程度に撮る。この際F2.8などで撮ると明るい光が膨張して建物の形がなくなってしまう。撮影する際はF3.5など少し絞って撮影するのがポイントだ。ちなみにF2.8のレンズをF3.5に絞るのと、もともとF3.5のレンズとでは光源の形が変わるので、光源をぼやっとさせたくないなら、大口径レンズを使う。

 

フラッシュ1灯の場合は人物の奥から光を当ててシルエットにする

フラッシュ1灯で撮影する場合は、人物の奥から光を当てて、人物をシルエットにすると効果的だ。この場合のポイントは、地面が真っ白に白とびしないよう光量を抑え、フラッシュの発光面を上に向けるといい。

 

両サイドからクロスライティングを行っているため、二人の人物の表情がはっきりと撮れる。記録的要素を高めたいのであれば、表情も写るようにフラッシュを増やすことも重要だ。

300ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/320秒) ISO640 WB:3600K

 

ふたりの影がお互いの顔にかからないように、フラッシュの位置を微調整する。高さは当てる側の人物の肩よりも上の位置から狙って撮影する。

 


ニッシンDi700A

 


ニッシン リモートコマンダーAir1

 

リモート機能付きのフラッシュはカメラメーカー純正のほか、ニッシンのようなサードパーティー製にも優れた製品がある。3灯程度(左の製品では最大4灯に対応)のフラッシュをリモートコントロールすれば、星景ポートレートに十分対応できる。

 

 

星景ポートレートの撮影では、まず背景となる星景がきれいに撮影できる状態にセッティング。続いて人物に対するライティングの位置を決めて行きます。ある程度の失敗と調整の繰り返しは必要ですが「こんな写真撮れるんだ!!」という感動の1枚を目指して挑戦してみてください。

 

 

写真・解説/関 一也