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星空撮影には2つある。星を「点像」として見せるか「軌跡」として捉えるか【なつぞら撮影攻略③星空】

今年の夏は、写真撮影も朝ドラも「なつぞら」がアツい! 昼も夜も、晴れでも雨でも、フォトジェニックな夏の空は、PLやNDなどのフィルターワークと露光(露出)テクニックで写真が昇華する。今回は、連載形式で入道雲、星空、この4つの「なつぞら」撮影攻略のカギに迫る。今回は「星空」の撮影テクニックを紹介!

星空を撮影する方法は1つではない

地球の自転により、星は天空を動いているように見える。このことを生かした星空撮影には、大きく分けて二つの方法がある。短い露光時間で星を点像として見せる方法と、長時間露光で軌跡として捉える方法だ。星が点像なら目で見たときの印象に近いので臨場感を出しやすい。軌跡は北極星近くでは円を描き、北極星から離れて天の赤道に近づくほど直線になっていく。

北天の空を広角レンズを用いて数時間の露光で撮影すれば、北極星を中心にぐるっと円を描く姿を捉えられる。さらに昨今は、高感度による数十秒露光で連続撮影した写真を比較明合成する方法もある。低感度で長時間露光した一枚撮り写真よりも、星が明るく写って華やかに星空を描ける。

点像や軌跡となる星空撮影では、通常の撮影以上にブレが目立つ。三脚とレリーズを使うのはもちろんだが、ミラーアップも欠かせない。電子先幕シャッターを使って、シャッター振動によるブレも防ぎたい。レンズ前を厚紙などで開閉してシャッター代わりにすれば、ブレ対策としては確実だ。

また、湿度が高いと夜露が発生しやすく、10分程度でレンズが曇ってしまうこともある。そんなときはレンズヒーターを使おう。

30秒程度の短時間露光なら雲が切れるタイミングを狙って撮影することも可能だが、雲が湧きやすい日は露光時間が数分を超える軌跡を生かした撮影は困難だ。雲量の予報を確認できるGPVやSCWといった天気予報サイトを活用しよう。

星空を点像で捉えるときのポイント

露光を30秒以内にするためISO感度アップと大口径レンズの使用はマスト!

電子先幕シャッターを使ってシャッター幕走行による微少ブレを防ぐ

ソフトフィルターやPhotoshopのぼかし機能を使うと、明るい星がにじんで目立つ

作例:点像で捉えた明るい星をにじませて強調

夏の夜明け前、北天を横切る天の川を魚眼レンズで撮影した。ISO6400 まで感度を上げ、F2.8、30秒露光で撮影することで、天の川を含む星々をほぼ点像で捉えることができた。さらにここでは、Photoshopの「ぼかし(レンズ)」機能を使って、明るい星をにじませて目立たせている。

ニコンD5 シグマ15mm F2.8 EX DIAGONAL FISHEYE マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO6400 WB:5000K 沖縄県国頭村

星の軌跡を撮るときのポイント

雲の量が少ない晴天の日を狙う

湿度が高い日は夜露対策としてレンズヒーターを使う

比較明合成機能ならより華やかに星空を捉えられる

作例:地上のシルエットを生かして20分露光

夏は夜中12時ごろに天の川が天頂部を横切るように見える。ヒカゲヘゴのシルエットを入れ、見上げるようにして天の川を撮影した。雲ひとつない晴天の日を選び、20分間の長時間露光で星の軌跡を捉えた。

ニコンD810 シグマ15mm F2.8 EX DIAGONAL FISHEYE マニュアル露出 F2.8  20分 ISO200 WB:5000K 沖縄県国頭村