冬は街にイルミネーションやライトアップされた被写体があふれ、カメラを向けたくなる季節。しかし、せっかくキラキラした世界観を撮影をしても、仕上がりが見た目通りにならなかったり、思い通りの色にならなかったりと、悔しい思いをされる方も多いのではないでしょうか。
基本編ではイルミネーションやライトアップをキレイに撮るためのカメラ設定や撮影機材について紹介しましたが、実践編では、被写体ごとの細かな撮り方や注意点を解説します。
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(1)】ツリー&オブジェは「前ボケ」でふんわり仕上げ
冬の街を彩るクリスマスツリーやイルミネーションオブジェは、いざ撮影すると単に光る粒々が写っているだけになり、つまらない写真になることも少なくありません。目で見たように華やかに表現するカギは「ボケ」、特に「前ボケ」にあります。被写体とは別のイルミネーションをレンズ前に近づけて、それ越しにツリーやオブジェを狙いましょう。その際、絞りは開放付近で望遠レンズを使うと、大きな前ボケが得られやすいです。被写体がボケで隠れてしまったり、邪魔にならないようにし、あくまでも主題を目立たせましょう。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/274292/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(2)】光り輝く華やかさは「多重露出機能」を使って演出!
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完成!
「多重露出機能」でシャープな画像とピンボケ画像を重ねても、前ボケに似たキラキラ感を演出できます。多重露出モードはカメラによっていくつかありますが、画面の明るい部分のみを重ね合わせる「比較明合成」がおすすめ。1カット目は、ツリーをはっきりと描写するのが目的、2カット目は同じ構図で、わざとピンボケにして撮影しています。1カット目と2カット目がカメラ内で合成され、光り輝くツリー写真に! 意外と撮影は簡単なので挑戦してみてください。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/274323/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(3)】光のカーテンで画面を埋め尽くそう!
<bofore>
<after>
壁一面に彩られた光のカーテンは、見た目も鮮やかでとてもきれいです。しかし、ただそれだけを撮っても、画面に光の粒々が広がっているだけで、平面的でつまらないものに。光のカーテンを撮る際は、手前を横切る人物などをアクセントとして入れて、画面に立体感とカーテンのきらびやかさを際立たせるのがコツ。
また、せっかく壁一面のカーテンでも画面に暗い部分が入ってくると、華やかさは半減してしまいます(bofore)。望遠レンズを使って部分的に切り取るなど、画面いっぱいにイルミネーションを捉えましょう(after)。
加えて、上の写真ではソフトフィルターを使って点光源をにじませることで光を増幅し、ふんわり感を演出しています。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/274673/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(4)】広角レンズで躍動感のある構図を狙おう!
光の絨毯は広角レンズを使い、絨毯の割合を多くフレーミングする
光の絨毯はカメラを構える高さとレンズの画角、絨毯の割合、それに脇役として添える被写体が重要になってきます。低めのポジションから広角域で、広くフレーミングして狙うのが基本。
ここでは光の絨毯の奥行きと広がりを強調するため、28mm相当の広角レンズを使い、三脚を低い位置に設置。画面の7割を絨毯で占めて印象を強くし、奥には光る舞台を小さく入れて構図のアクセントにしています。
光のアーチは「広角レンズ」+「ローアングル」+「アーチ端から」狙って奥行きを出す
最近よく見かける光のアーチは、トンネルの奥行きを引き出すことが重要。通行人に気をつけながらアーチの中に入って、広角レンズで見上げるように狙いましょう。アーチの真ん中で撮ってもいいですが、構図に躍動感を与えるなら左右どちらかに寄るのがおすすめ。また、アーチを浮かび上がらせるために、背景が暗い場所を選ぶことも大切です。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/274695/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(5)】遠景のタワーは望遠レンズで大きく引き寄せよう!
<bofore>
<after>
ライトアップされたタワーは暗い空に映えるので、見晴らしがいい場所からなら離れていてもよく見えます。ビルの展望室、山や丘の上の展望台などから狙うのもおすすめで、その際は望遠レンズで引き寄せて撮りましょう。場所にもよりますが、300mm相当以上のレンズがベスト。200mmだと足りないと感じることが多いです。また細長いタワーは、構図的に余白の処理が難しいので、縦位置で画面にできるだけ大きく捉えると無駄なく決まります。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/275471/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(6)】近景のタワーは広角レンズで全体像を取り入れよう!
近くから撮るタワーは見上げる構図になりますが、画角が狭いと全体像が収まりきらず、中途半端な切り取り方になりがち。そんなときは広角レンズを使えば、タワー下部が大きく、先端に向かって小さくなって、遠近感のある全体像が写せます。タワーだけでは単調になってしまうときは、アクセントを加えることがポイント。上の写真では、画面下を少し空けて、通る車の光跡を13秒露光で入れています。こうすることで同色の光が加わりにぎやかになりました。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/275487/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(7)】一年中撮れる建物はアクセントで個性を出す!
近くに道路があるなら光跡を取り入れて、華やかさと動感を引き出す
ライトアップされた建物はそれだけでもきれいですが、もし近くに道路があれば、長秒露光で車の光跡も一緒に入れて撮ってみましょう。光跡はすべての夜の被写体に合うので、万能の脇役。光跡はどのようなものが撮れるか予想がつかないので、撮影⇔再生を繰り返して納得がいくまで粘りましょう。
水面の映り込みを生かすなら無風状態のときに狙う
<微風>
<無風>
各地の城もライトアップされていることが多く、被写体として魅力的。もしその城に堀が巡らされていたなら、そこに水鏡として映り込む姿も一緒に撮ってみましょう。ただし水鏡に風は禁物。わずかな風でも水面がざわついて、映り込んだ姿が乱れてしまいます。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/275616/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(8)】ノスタルジックな建物と高層ビルのマッチングはどう撮る?
<50mm相当>
<100mm相当>
望遠レンズは手前と奥の被写体の遠近感を圧縮して写し出す効果があり、主役と脇役を絡めた構図作りに便利です。上の例では最初は近くから広い構図で狙いましたが、空が入るので撮影場所を後ろに移動。そして100mm相当のレンズで東京駅のドーム部分をアップで切り取り、新旧の建物だけの対比で見せています。建物は全体像を撮るのもよいですが、アップも重要な表現手段です。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/275661/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(9)】ブリッジは水面の反射で光を増幅!
水面を入れるとライトアップが反射して光が増幅する
<bofore>
<after>
橋だけを撮るのもいいですが、水面の様子にも注目しましょう。そこにはたいてい、上のライトアップされた橋が反射しているもの。それを構図に取り入れると光が倍になり、より華やかな写真になります。また、風がなければきれいな水鏡が生まれ、上下シンメトリーの写真も狙えます。
横長の被写体なので基本は横位置。でも縦位置でも狙える
橋は横に長いので、横位置が基本の構図。しかし、縦位置で撮る場合もあります。それは縦画面に空いた上下の空間のどちらかに、橋以外の脇役を入れるようなケース。背景の夜景や行き交う船の光跡など、周囲を見渡して最適な脇役が見つかれば、縦位置でも狙ってみましょう。上の写真では橋をメインに、背景のビルと往来のある船を一緒に取り入れられると考え、縦位置で狙っています無駄な空間はなく、主題の橋も目立っています。
海面は波打つので、長秒露光で海面をフラットに捉える
<10秒>
<1/20秒>
波がある水面は、露光時間によってさまざまな表情で撮れます。長秒露光なら絹のような滑らかな感じに(例:「10秒」の写真)、手持ち撮影などで短いシャッター速度なら、波の形状がそのまま写りやすいです(例:「1/20秒」の写真)。ライトアップの光が増幅しやすいのは、長秒露光で捉えたフラットな水面。水鏡とは違った美しさがあります。
詳しくはこちら → https://getnavi.jp/capa/special/275685/
【イルミネーション&ライトアップ撮影の実践(10)】光輝く並木道は遠近感がカギ!
広角レンズで狙うと遠近感が容易に引き出せる
広角レンズで並木を少し見上げるようにして撮れば、手前から奥まで遠近感を誇張して撮れます。ここで重要なのは、画面上部にもイルミネーションが入るように撮ること。1本の並木に寄って大きく捉えるとよいでしょう。離れた位置から狙うと、全部が小さく写って印象が弱くなってしまいます。
クロスフィルターでキラメキをプラスする
<bofore>
<after>
イルミネーション撮影で役立つアクセサリーとしてすすめたいのがクロスフィルター。光源から光芒が放射状に伸びて、キラキラ感が増すアイテムです。各メーカーからいろいろ発売されているので、レンズ径に合ったものを試してみよう。上の写真では構図の1/4にだけクロスの効果が表れるタイプを使用。並木全部だとキラキラが多くなり過ぎてうるさいですが、1/4だと上品かつきらびやかに決まります。
画面手前に人物や車などの被写体を入れても奥行きが出せる
どうしても輝く並木を撮ることだけに気を奪われがちですが、脇役を入れることでも遠近感を引き出せます。撮影中に気になる車や人物などを見つけたら、画面手前に大きめに入れてみましょう。こうすることで画面の手前と奥とでメリハリがつき、自然と奥行きが出てきます。