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2018/3/12 11:00

「回転寿司」ならぬ「回転ピザ」が誕生! イタリアのピッツェリア業界に新旋風を巻き起こす「GIRO PIZZA」

イタリアといえば、やはりピッツァ! 本場のピッツァは使われている素材が新鮮で、注文を受けてから薪を使った窯で焼いてくれるのでシンプルでも味が生きています。そしてイタリアのピッツェリアでは老若男女構わず、直径30~40cmはあるピッツァをナイフとフォークを使いながら、自分が頼んだものを一人で丸ごとたいらげているのが普通で、1枚のピッツァをみんなでシェアするというのはあまり見たことがありません。しかし、イタリアでは最近ちょっとした変化が起きつつあるようです。

 

「GIRO PIZZA 」は直訳すると「回転ピッツァ」

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通常のように、客がメニューを見て注文するスタイルではなく、ウエイトレスが焼きたてのピッツァを片手に、そのピッツァ名を叫びながらテーブルを回って来ます。食べたい場合は、手を上げて1ピースから食べることができ、種類も豊富なので一度に色々な種類のピッツァを味わうことができます。しかも料金は一律10ユーロで食べ放題なので、お客様は色々なメニューに挑戦できます。

 

ラインナップは驚くほど豊富です。ベーシックなマルゲリータはもちろん、高級食材でもある水牛のモッツァレラチーズを使った贅沢なものもあれば、ペペロンチーノや辛いサラミがびっしり詰まった真っ赤な激辛ピッツァ、マシュマロやチョコレート、フルーツ、生クリームなどがのった甘いデザートピッツァもあります。

 

また、玉ねぎと蜂蜜、ジャムとアーティチョーク、フィノッキオ(フェンネルの根の部分)と生ハムとレモンといった、味の想像もつかないような取り合わせのピッツァや、子どもたちに人気の高い、ゆで玉子とフライドポテトとソーセージといった欲張りな組み合わせもあります。さらに、イタリアには各地方のご当地チーズというものがあり、チーズだけでも種類がたくさんあるので、5種類のチーズピッツァなど、とても味わい深くイタリアらしいものもあります。

 

こういう色々なメニューが予告もなく現れるので、レストラン全体がまるで大試食会のようです。「次は何が出てくるのかな」とワクワクしながら待つのも楽しいですし、「えっ!?」と思うメニューでも、食べてみると意外と美味しく病みつきになってしまうものもあるので、臆せず試してみる価値は十分あります。

 

しかも、食べ放題ということで食べ盛りの若者や働く人たちのランチとしても人気があります。その一方、レストランから醸し出される楽しい雰囲気がイベントを盛り上げるちょっとしたアクセントにもなるので、誕生日会や打ち上げ、年末年始のパーティーシーズンには持ってこいです。ピッツァだけでなく、パーティーを盛り上げてくれる花火風ロウソクがついたケーキも予約可能。

 

さらに、専用スタッフが常駐している大型遊具が備えられたキッズコーナーも併設してあり、ファミリーにはうれしい限りです。小さな子どもは食事の途中で飽きたり、ぐずり始めたりするので、親はゆっくり食事を楽しめないことが多いのですが、このキッズコーナーがあれば、大人たちも安心してゆっくりと食事を楽しむことができます。このようなサービスを提供することで家族連れやグループの来客数を増やし、着々と売り上げを伸ばしています。

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客をあっと言わせるようなバリエーション豊富なメニューや、生地を空中で伸ばすデモンストレーションなど、このレストランでは作り手が楽しみながら仕事をしている様子がよく分かります。お客様と働き手が賑やかな空間をともにし、それが売り上げになる。これこそレストラン活性化の1つの好事例と言えるでしょう。

 

このGIRO PIZZAでは平日のランチ以外は飲み物代が別料金になりますが、メニューは一律10ユーロで食べ放題です。普通のイタリアのピッツェリアでは、1枚の価格が平均6~10ユーロくらいであることを考えると、ここはかなりのお得感があります。それに、ピッツァの種類は常時20~30種類あり、新しいメニューも次々と増えているので、常に客の好奇心を引きつけてやみません。ハロウィーンやカーニバルのときは、客も店側も仮装をしたり、色々なサプライズを準備したりするなど、季節ごとに異なるエンターテイメント要素もあるので、「とにかく楽しい」「またみんなで行きたい」という気持ちにさせられます。

 

以前は、お客様がお店に滞在する平均時間は45分といったところでしたが、このGIRO PIZZAメニューにしてから、それが2時間30分に増え、ピッツァ以外の注文が入るようになったり、団体客が圧倒的に増えたりしたそうです。大人も子どもも大満足できるピッツェリアの登場で、イタリアの停滞気味のレストラン業界の風向きが変わり始めています。