本格レシピや新たなアイデアがメニューを盛り立てる
ただここは街中華。定番となるのは、おトクな定食スタイルの「ワンプレート中華」だ。まずはこちらから紹介したい。チンジャオロース、海老チリ、唐揚げがおかずとして盛り付けられ、シュウマイ、小鉢、デザートまで付くボリューム満点の内容になっている。
3品のなかで、特に原田さんがこだわるのは海老チリ。このメニューに関しては日本人向けと本格的の2種類があり、「ワンプレート中華」には前者が採用される。特徴は、食べやすい味付けだ。ベースのケチャップのほか、隠し味にオレンジジュースと紹興酒を加えてフルーティな甘酸っぱさを演出する。またチンジャオロースにはオイスターソース、唐揚げには特製スパイスによる調味料と、一切の抜かりはない。
そして海老チリは、原田さんが学んだ本格的なタイプも。こちらはひと周り大きいサイズの海老を使用し、注文ごとに卵白などをまぶして揚げ、スピーディにソースと絡める。豆板醤でコク深い辛味を、刻んだねぎや生姜で風味を演出するのもポイントだ。
多彩な一品料理のなかには、裏メニューも存在する。今回とっておきをお願いしたところ、宴会コースや弁当で好評だという一皿を作ってくれることに。それは肉団子と野菜が満載の、色鮮やかなものだった。
この「タンツーワンズ」は、鶏ムネと豚のミートボールに片栗粉をまぶして揚げ、パプリカ、たけのこ、にんじん、ブロッコリー、玉ねぎとともに炒めて甘酢餡を絡めたもの。エッジが強くなりすぎないようにあえて黒酢ではなく米酢を使っているが、それでも十分に芳しい香りが漂ってくる。
最後に、この地になぜ街中華が多いのかをたずねてみた。だが、詳しい理由はわからないとのこと。しかも、原田さんが学生のころまでは数える程度しかなかったそうだ。ただかつての「三河屋」がそうだったように、家賃が安価だったため店を構えるケースが多かったのではないかとのこと。その一方で入れ替わりも激しかったというから、周辺の老舗はやはり名店ということだろう。
取材後、「もうすぐ夜の営業になればせがれが来るよ」と原田さん。そう、ここは四代目がしっかりと後を継いでいるのだ。しかも彼は「ヒルトン東京ベイ」や麻生十番の名店「桂亭」を経た名手。実は「ワンプレート中華」も「桂亭」のアイデアを取り入れたもので、2016年にスタートするや否や大ヒットに。古いけど新しい、そんな魅力がたくさん詰まった「三河屋」。これからも堀切菖蒲園を代表する街中華として、地域をリードしていくに違いない!
撮影/我妻慶一
【SHOP DATA】
三河屋
住所:東京都葛飾区堀切4-57-15
アクセス:京成本線「堀切菖蒲園駅」徒歩1分
営業時間:11:30~14:00(L.O.)、17:00~21: 00(L.O.)
定休日:木曜