仕事の合間にほっと一息、疲れた身体をリフレッシュする飲み物「コーヒー」。最近ではコンビニで本格的なコーヒーが販売されたり、街中にオシャレなコーヒーが増えたりして、より身近な存在になってきました。
そんなコーヒーをもっと深く楽しみたい、という“コーヒー趣味”な人にピッタリな講座があります。コーヒーの老舗、キーコーヒーが東京・新橋で開催している「コーヒーセミナー」です。今回、筆者は、コーヒーをより深く楽しみたい人向けに用意された2つの講座を体験してきました。その模様をレポートします。
イタリア流の飲み方が学べる「illy」のコーヒー大学
本記事では、コーヒーブランド「illy」とキーコーヒーのコラボで開催されるコーヒー講座「UNIVERSITÀ del CAFFÈ(イリーコーヒー大学)」を紹介しましょう。
イリーコーヒー大学は、全世界28か国で展開されているコーヒー講座。赤いロゴで知られるイタリアのilly Caffè社が、コーヒーの知識や楽しみ方を伝授するために設立した講座です。illy社の商品は日本ではキーコーヒーが取り扱っており、コーヒー大学もキーコーヒーが運営しています。
今回は、新設された「Slow Preparation Workshop」という講座を一足早く体験しました。「Slow Preparation」は、「ゆっくりとした抽出方法」を意味する言葉です。ゆっくりではない、つまり「早い抽出方法」とは、エスプレッソのことです。「エスプレッソ」はイタリア語では「早い」を意味する単語で、特急列車も「エスプレッソ」と表現するのだとか。
そして、「ゆっくりとした抽出方法」というのは、「エスプレッソ以外」の抽出方法を指します。この講座では、ペーパードリップ、フレンチプレス、サイフォン、モカという4つの抽出方法を体験し、味の違いを試すことができます。
4つの抽出方法を体験してみました
〈ペーパードリップ編〉
日本でもっともポピュラーなのは、おそらくペーパードリップでしょう。円筒型の器具に紙を敷き、粗めに引いた粉にお湯を注ぎます。ゆっくりとお湯を注ぎ、180秒というやや長めの時間でお湯を落としきります。ペーパードリップは、豆本来の特徴が出やすい抽出方法。試飲では、スッキリした味わいのなかに、甘みやコクが感じられました。
〈フレンチプレス編〉
フレンチプレスは、コーヒーをお湯に浸す「浸透法」と呼ばれる抽出方法の代表的なもの。その名の通り、フランスで発明された手法です。専用のポットでお湯に浸した後、上から“プレス”して、豆ガラを除いて飲みます。豆が持つ油分なども含まれるのが浸透法の特徴。すっきり感は薄いものの、しっかりとしたコクがあり、なめらかな舌触りでした。
〈サイフォン編〉
見た目にも華やかなサイフォン。喫茶店で抽出器具を見たことがある人も多いでしょう。化学実験のフラスコのようになっている部分に水を入れ、ランプやヒーターで加熱すると、沸騰した湯気が吸い上げられていきます。コーヒーの粉が浸ってから火を止めると、圧力がなくなり下のフラスコにコーヒー液がたまります。
見た目から楽しめるサイフォンですが、コーヒーをお湯に浸す時間が短いことから、コーヒーの香りが強く、さっぱりとした味になります。コーヒーの苦みが苦手という人もこれなら飲みやすいかもしれません。
〈モカ編〉
そして4つ目はイタリアで生まれたモカ。イタリアではお店で楽しむエスプレッソが親しまれていましたが、モカはそれに近い味を家庭で手軽に再現する抽出方法。イタリア人のコーヒーの飲み方を変えたほど、爆発的に普及したそうです。講師のステファノさんによると、イタリアには一家に一台、モカを入れるための器具「モカポット」があるのだとか。
モカの器具は上中下の3つのブロックに分けられます。下のブロックにお湯を入れて、ガスレンジで加熱。沸騰するとお湯が吸い上げられて登っていきます。その過程でコーヒーの粉がつめられた、中央のブロックを通過し、上のブロックに貯まります。モカで入れたコーヒーは、エスプレッソほどではないもの、やはり日本人にはかなり濃いめに感じる味。熱いうちにごくごく飲むのが良さそうです。
豆の違いも教えてくれます
イリーコーヒー大学の「Slow Preparation Workshop」では、豆の産地による味の違いを知ることもできます。イリーのコーヒーは9つの産地をブレンドして作られますが、この体験では「シングルオリジン」と呼ばれる、産地別にパッケージされたコーヒー豆を使用。
コーヒーは、作られる土地の風土によって味が変わる作物です。たとえば乾燥した高地で作られる中南米のコーヒーと、湿気が多い東南アジアで作られるコーヒーでは、味に違いがあります。そして、その土地の水や土壌によっても味が変わります。実は、産地それぞれで個性的な顔を持つ、面白い飲み物なのです。
今回は「味の評価チャート」をつける体験に挑戦しました。エチオピア、グァテマラ、ブラジルという3か国で作られたコーヒーの試飲し、コーヒーの味を確かめつつ、甘みや苦みといった特徴を確かめていきます。
最初の一口は苦みが強いように感じても、何口か飲んでいくうちに、酸味や甘みも感じられて、第一印象でチェックした表現が本当に正しいのか疑問に思えてきます。コーヒーが実に複雑な顔を持つ飲み物だということに、改めて気付かされました。
イリーコーヒー大学「Slow Preparation Workshop」は、東京・新橋のキーコーヒー本社セミナールームにて、3か月に1回開催されます。初回は2019年2月22日の10時~。体験料はお土産付きで4320円(税込)。
申込はキーコーヒーのウェブサイトにて、1月11日より受付スタート。コーヒー好きの方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。次回は、コーヒーの世界をディープに学びたい人向けに、キーコーヒーが単独で開催している応用編のセミナーを紹介していきます。