立ち食いそば店の食べ歩きが趣味で、立ち食いそばムックも執筆したことがあるライター、平島憲一郎さんが気になるお店をレポートするコーナー。今回は、とことんこだわりぬいた麺に定評のある東京・秋葉原の「あきば」を紹介します。
風味もコシも群を抜いたそばはつゆとの相性も抜群!
立ち食い激戦区の秋葉原にあって「あきば」は、そばへのこだわりがトップクラスだ。麺には常陸の上質のそば粉を使用。これを機械でこねたあと、ミシュランひとつ星店で修行後に手打ちそばの店を経営していたご主人が、手ごねで仕上げる。これにより生地の間に空気が入って「ミルフィーユ」状態になり、味わいが増すのだ。
そんな手間をかけたそばは、色白でやや太め。角がしっかり立った麺をひと口食べると清涼なそばの香りが広がり、また驚くほどのコシがある。
人気メニューの「冷やかけあきばそば」は、きゅうり、揚げ玉、わかめ、温玉などをトッピング。キリッと辛口のつゆはだしの風味が豊潤で、しかも雑味がない。また、国産とオーストラリア産のハイブリッド小麦をラーメン用に自家製麺した「冷やし中華」は、麺のモチモチ感と小麦の香りが圧巻だ。聞けば元々「冷やし中華をうどん用の粉で作ってみたらどうなるだろう」という実験精神で作ってみた一品なのだという。
オープンして数年。地元のビジネスマンのほか、遠方から訪れるそば好きも多い。店主は一見頑固そうだが、話を聞くとなんとも気さく。「あきば」は、ガラス張りの明るい店内で、気取らずに絶品そばが味わえる貴重な店である。