12月24日発売のGetNaviの巻頭は「2020年本命ヒットランキング」ということで、筆者もフードカテゴリーからいくつか紹介しています。とはいえ、そこで挙げきれなかったものも。そこでGetNavi webでは別の角度から、5つのキーワードとともに2020年の注目グルメを紹介しきましょう。
その1:コンセプト大衆酒場
大衆酒場のよさといえば、良コスパのつまみと酒を、にぎやかな空間で気軽に楽しめるところ。常連さんが多い古典的な酒場は入りづらい印象もありますが、昨今は若年層が入りやすい洗練された雰囲気と斬新なメニューを提供する、新世代の大衆酒場が増えています。
新世代酒場の代表格は、2015年に1号店を蒲田にオープンした「大衆酒場BEETLE」(前身は2013年の「お値段以上の大衆酒場 大鶴見食堂」)といわれていますが、これからはこうした酒場の雰囲気をもちながら、料理やお酒に特定のコンセプトをもった店も増えていくことが予想されます。
たとえば、麻辣料理の「四川大衆ハオワール」、トガッた樽生クラフトビールを数種提供する「立飲みビールボーイ(居酒屋ビールボーイも)」、カレー居酒屋「トライアングルカレー」、ジビエがある「大衆酒場レインカラー」、和洋中なんでもありの「食堂酒場 エナジーホール」など。また、しゃれたイタリアンながらファサードにのれんを用いるなど、大衆酒場のニュアンスをもったオステリアの「サプライ」も革新的です。
その2:ラグジュアリーエスニック
スパイスカレー、アジア辺境レストラン、ポークビンダルー(ポルトガル料理をベースとした、インド・ゴア地方の郷土カレー)など、エスニック料理がじわじわと盛り上がっている昨今。その流れのなかで、ラグジュアリーなエスニックレストランも増えつつあります。
ラグジュアリーなアッパーレストランは欧米料理が中心でしたが、海外ではエスニックでも多く、それがついに日本にも。シンガポールの人気ランドマーク・マリーナベイサンズの「CÉ LA VI」など、有名店が上陸する動きも見られます。
ほかにも、インド料理ならルーフトップバーを備えた「SPICE LAB TOKYO」と「THE GREY ROOM」、アラビア料理と自家醸造クラフトビールの「カールヴァーン」、ベトナム料理なら「An Di」などが挙げられます。
エスニック料理の魅力といえば、スパイスとハーブによる未体験の味わい。ラグジュアリーな空間や、洗練された技で繰り出される料理のおいしさに、これまでにない感動を楽しめることでしょう。特別な日の食事に、ラグジュアリーエスニックのチョイスを。
その3:欧州クラフトビール&ジェネリッククラフトビール
GetNaviでは「クラフトドリンク」としてコーラやシードルを紹介しましたが、やっぱりビールも外せません。そこでGetNavi webではビールの話を。クラフトビールはトレンド継続中ですが、いっそう進化する形で広がりを見せると思っています。
というのも、まだ日本ではアメリカ産と日本産のクラフトビールが中心。ヨーロッパのクラフトビールにはまだ知られていないブランドが多くあるのです。確かに、ベルギー、ドイツ、イギリスなどは有名ですが、その多くは歴史ある銘柄の話。新進気鋭の欧州クラフトブリュワーの商品には、米国や日本とは一風変わった斬新な味わいのビールがあるのです。
たとえば、京都が拠点の「DIG THE LINE」社はヨーロッパの最先端クラフトビールの輸入をしており、春にはバー併設のショップを京都の新風館にオープンします。
一方、クラフトビールは小規模かつホップを大量に使ったり、長期発酵をさせたりするので価格が高くなりがち。そのためなかなか家庭で消費されにくい側面をもっていますが、ジェネリッククラフトビールといえる商品が発売されているのがもうひとつの深化。今冬、アサヒビールから「クラフトスタイル IPAタイプ」と「クラフトスタイル アンバーラガー」という新ジャンル(第3のビール)が限定発売されています。
ビールでなく新ジャンルなので、販売店によるものの100円程度で買えます。これまで、このカテゴリーはサッポロビールの「ホワイトベルグ」と「麦とホップ」の季節限定フレーバーのみでしたが、他メーカーも発売するようになり、いっそうすそ野が広がるのではと思います。
GetNaviでは、クラフトビールのパイオニアであるブルックリンブルワリーの世界初旗艦店「B」の新オープンを紹介しましたが、超個性的であるヨーロッパのクラフトビールと、お得に楽しめるジェネリッククラフトビールも要チェックです!
その4:フードテック
フードを取り巻く業界は生活と密着しているだけに、とにかく課題が山積みです。大きなところでいえば、人手不足やフードロスの問題。これらを解決する方法として、ITなどの最新技術を駆使した「フードテック」が取り入れられています。
対人手不足について、有名なところでいえば、Uber Eatsやモバイルオーダー&ペイが挙げられます。前者は作り手側にも恩恵をもたらしており、これからは店舗をもたずにデリバリー専用で運営する「ゴーストレストラン」が日本にも絶対に増えてきます。
後者も、すでに導入している店舗がジワ増していますが、スマホ決済が珍しくなくなったいま、加速度的に増えていくでしょう。個人的にトガっていると思うのは、1分10円飲み放題の「でんでん串 高円寺駅前階段急店」です。また、小売店としてはレジなしコンビニとして2020年内のオープンが予定されている「ローソンゴー」に期待大です。
フードロスに関しては最近でもファミマのXmasケーキの予約制、ローソンの見切り販売推奨、イオンの恵方巻予約販売などが報じられましたが、代替肉にも注目です。これは、飼育に大量のエサや水を必要とする動物肉からの脱却であり、ヘルシー面でも評価を得ているもの。たとえば「ザ ベジタリアン ブッチャー デリバリー」は代替肉のハンバーガー店で、なおかつ配達専門のゴーストレストランです。
その5:都市型マイクロディスティラリー
ここ数年、東京23区内に小規模の醸造所が開業する動きが目立っています。ビールなら「クラフトロック ブリューパブ&ライブ」や「リオ ブルーイング コー 東京醸造所」、ワインなら「Book Road ~葡蔵人~」、日本酒なら「WAKAZE三軒茶屋醸造所」といった形。これらは醸造酒をつくるためのブリュワリーやワイナリーなのですが、蒸溜酒をつくるディスティラリーも先日誕生しました。
それが、JR秋葉原~御徒町駅間高架下の「SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE」に誕生した「常陸野ブルーイング 東京蒸溜所」。ここは常陸野ネストビールで有名な木内酒造が運営しており、ビールはもちろんジンやウイスキーをはじめとするスピリッツやリキュールも楽しむことができるのです。
免許の関係で、現在は本拠地の茨城・八郷蒸溜所のスピリッツですが、東京での蒸溜も後日スタートします。間近で施設を眺めながら堪能する、茨城のご馳走と自家製の美酒の数々。これは酒好きなら行くしかありません!