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2020/1/11 18:00

タピオカティーの元祖「春水堂」は、今何を考えているのだろうか?

台湾カフェの上陸ラッシュ

筆者が前回書いた記事では、2013年に「春水堂」(ファーストウェーブ)が上陸した2年後に、「ゴンチャ」(セカンドウェーブ)や、かき氷の大行列店「アイスモンスター」といった台湾の有名カフェが上陸していることに触れています。その後は様々な台湾発祥ティーブランドが出店していますが、当初はなぜそこまで多くなかったのでしょうか。

 

↑「ゴンチャ」の日本1号店は2015年9月、原宿表参道にオープン。同店も、タピオカはあくまでアレンジのひとつであり、高品質なお茶の味と多彩なカスタムがウリです

 

「それまで、台湾発祥の飲食店では小籠包の名店『鼎泰豊(ディンタイフォン)』ぐらいしか大規模展開できているお店はなかったと思います。また、台湾ティーのカフェとなると成功事例がありませんでした。そこに挑んだのが『春水堂』です。もともと『春水堂』は台湾のなかでも有名でしたが、実は海外進出していませんでした。初進出先が日本ということもあり、その他の台湾ティーカフェは注目しながら当店に対する世間の反応を見ていたんだと思います」(木川さん)

 

「春水堂」の成功を機に、我も続けと他店が上陸を決めたとします。ただ、いざ海外から上陸となると、物件を見つけて交渉したり日本向けのマーケティングや準備をしたりで1年近く、またはそれ以上の時間を要すでしょう。それがファーストウェーブのときに、「春水堂」以外の台湾ティーカフェが上陸せず、セカンドウェーブまでに2年がかかった理由だと考えられます。

 

そしてその後はご存知の通り、レストランからコンビニやスーパーまでタピオカ商品が並び、2019年は垣根を超えて大ヒットしました。一方では加熱しすぎたために「タピオカ・ブームは曲がり角」などとささやかれていますが、この現象について木川さんはどう思っているのでしょうか。

 

「ブーム自体は台湾ティーではなく、タピオカが中心だと思いますが、その発祥の店として『春水堂』を知っていただく機会が増えたことに、大変うれしく思っています。これからは興味をもっていただいた方々に、いっそうタピオカティーのおいしさはもちろん、お茶やアレンジの楽しさを伝えていきたいと思っています」(木川さん)

 

そのために、何か新しい試みは行っているのでしょうか。

 

「台湾ティーブランドがたくさんあるいまだからこそ、選ばれるお店にならなければいけません。大前提として、品質、サービス、心地よい空間づくりを大切にしたいと気を引き締めています。また『春水堂』は伝統文化を守るとともにチャレンジングなDNAが宿っていますから、常に斬新なサービスを提供することに挑戦しています。最近ですとモバイルオーダー&ペイ『スマタピ』の導入。話題の『Uber Eats』の導入も、同業のなかでは当店がかなり早かったと思います」(木川さん)

 

↑インストール不要で、スマホやパソコンから注文し、指定の時間に行けば待たずに店舗で受け取れるサービス。「春水堂」「TP TEA」で導入が進められています
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