「ゴンチャ」はコーヒー、フルーツビネガー、フード
次は2015年に日本上陸し、現在全国に75店舗(2020年8月19日時点)を展開する「ゴンチャ」。記者発表会に参加し、今後の戦略をうかがいました。日本法人の代表は、かつて日本マクドナルドなどの名だたる大企業でトップを務めていた原田泳幸さんです。
「ゴンチャ」の漢字表記は貢茶であり、そのDNAはお茶です。原田さん自身「当社の一丁目一番地はお茶であり、タピオカミルクティーです」と前置きしながらも、新メニューの開発手法は大胆。今年の6月にはコーヒーを商品化し、7月には韓国で生まれた100%果実発酵の飲むお酢「美酢」(ミチョ)とのコラボレーションで「フルーツビネガー」という新たなドリンクを生み出しました。
フレーバーは、甘酸っぱく華やかな味わいの「ざくろ」、柑橘の爽やかな酸味を楽しめる「カラマンシー」、トロピカルな味わいを楽しめる「パイナップル」の3種類をラインナップしています。味わってみると、フルーツ由来だからか酸っぱさに角がなくて飲みやすいテイスト。
個人的に斬新さを感じたのはミルクで、酸味と相まった味わいはまるでヨーグルトのようなやさしく爽やかなおいしさ。これら、お茶以外のメニューを開発した狙いを発表会後に原田さんから直接うかがうと、そこにはブランドイメージを変えたいという狙いがあると言います。
「『ゴンチャ』といえばタピオカミルクティーや若い女性のお店という、ニッチなブランドイメ―ジが定着しすぎていると思います。また、行列はありがたいことなのですが、一方で長時間待つという側面があります。私はアジアンカフェにはもっと大きなニーズがあると確信しており、より多くの方に来店いただくにはこれら課題をクリアしなければなりません。そこで、メニューやサービスの改善に取り組みました」(原田さん)
対策として打ったのが、お茶以外のメニューを導入することで幅広い層にアプローチする手法。一方、茶葉、量、甘さ、トッピングなどで2000種以上の多彩なアレンジができたカスタマイズのウリを見直し、絞り込むことでサービスレベルや提供スピードの向上をはかったとのこと。
「いままでのお客様を大切にしながら、20代以上の方や男性の方にも利用いただけるブランドに成長させていきたいと思っています。コーヒーも当初は立川限定で実験的にスタートしましたが、十分なニーズがあることがわかりました。これから一気に全国へ広げていきます」(原田さん)
また、フランチャイズを積極展開し、店舗数を拡大しているのも「ゴンチャ」の特徴です。そのうえで今後は居抜き物件や既存事業のキッチンを活用した初期投資の低い「ゴンチャ デリバリーキッチン」という宅配特化型のフランチャイズ店舗を拡充し、さらに顧客接点を増やしていくと原田さん。
「数年以内には最低400店舗以上に増やしていきたいですね。あとは、秋以降になると思いますがフードメニューも開発しています。とはいえ繰り返しますが『ゴンチャ』のコアメニューはタピオカミルクティーですし、4種の茶葉を基本としたティーメニューはなくなりません。核となるブランドは守りながらも攻めていきますので、ご注目ください」(原田さん)
実はスタバもティー業態に注目している
タピオカ・ブームが落ち着いたうえ、外食業界全体がウィズ/アフターコロナの時代を迎えたいま、ティーカフェは淘汰のフェーズを迎えたといえるでしょう。しかしそのなかでも「春水堂」「TP TEA」「ゴンチャ」のように次の手を打つブランドは数多く存在し、さらにお茶のカフェ業態に勝機を見出す有名店もあります。例えば、あのスターバックスもそのひとつ。
ドリンクメニューとして個人的に興味深いのは、「春水堂」はヨーグルトによる乳酸菌。「ゴンチャ」も果実酢とミルクでヨーグルトに近いフレーバーを開発した点です。「春水堂」の木川社長の話のなかで“健康”というキーワードが挙がりましたが、2020年下半期のティーカフェの最新トレンドは、健康フレーバーだといえるのではないでしょうか。
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