渋谷といえば、東京都内でも最も流行に敏感な街でもある。そんな渋谷の街中のカフェがCBDビールという名前のビールを発売した。CBDとは、「Corona Break Days」の略。「コロナを壊す日々」といった意味だろうか。そんな勇ましい名前が話題となったのか、12月に売り出した初回生産分が完売。増産分を売り出し、好調な売れ行きを示しているとか。どのような理由で、この名前にしたのか、販売するカフェを訪ねた。
【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】
【CBDって何①】CBDの粉を含むことからCBDビールと名付けた
CBDビールを発売したのは株式会社LD&K。渋谷の「宇田川カフェ」などカフェ・レストランを中心にバーやスナック、炭火焼ジビエや火鍋専門店、ライブハウス、ゲストハウスなど全国で33店舗を展開している。
コロナ禍で同社も厳しい現状に直面してきた。そうしたなか、何とか明るく元気になればと思って発売したのが、CBDビールだった。
昨年の12月17日に発売を始めたところ、またたく間に用意した2100本が売り切れとなってしまう。宇田川カフェの店売り890円、直売価格が700円。また東急百貨店では490円、通販でも3本入り1800円(それぞれ税別)と、ビール(330ml/瓶売りのみ)としては高い印象であるのに関わらずだ。CBDビールには、チル(chill)&リラックス(relax)という、いわばサブタイトルのような名前がプラスされている。チル&リラックスは「落ち着いてリラックスする」という意味だろうか。
どのような内容のビールなのか深堀してみた。
CBDビールは通常のビールとは異なり、CBDの粉末と、レモンの皮成分が含まれている。CBDとはカンナビジオールのこと。最近は、コーヒーや化粧品、ハチミツなどにもこのCBDを含んだ製品が出されるようになっているので、流行に敏感な人たちの中には、この成分名をご存知の人もいるのではないだろうか。
とはいえ、カンナビジオールという成分名を聞いても、なかなかピンとは来ない。このCBDビールを発売する株式会社LD&Kの水野直人さんは次のように話す。
「『CBDと言ってもなかなか伝わらない。ならばコロナ・ブレイク・デイズとしてもおもしろいのでは』と言うスタッフがいたんです」。そうした言葉の遊びから商品名は「Corona Break Days(コロナ・ブレイク・デイズ)」となったようだ。
では、カンナビジオールとは何なのだろう。実は大麻草に含まれる天然成分だと言う。それって“やばくない”?
【CBDって何②】日本でも正式に認可された安全な天然成分
大麻草というと、ついすべてが不法なのではと考えてしまう。実は大麻草の成分の中ですべてが悪者というわけではない。陶酔感を引き起こす成分はテトラヒドロカンナビノール(THC)とされる。対してカンナビジオール(CBD)は、依存性がなく安全でさまざまな薬効成分が含まれ、医薬品にも使われている素材だ。
人間の体に悪さを仕掛けるTHCとCBDは全く別物を考えて良い。日本国内でCBDは正式に役所が認可した天然成分である。薬にも活かされている。また適度のリラックス効果などももたらすとされている。
振り返って日本の歴史をたどってみれば、大麻を含む麻は着物などにも使われ、暮らしに密着してきた。麻布など「麻」が付く地名もある。しめ縄や、神事で使われるおはらいは、実は大麻(おおぬさ)が使われているのだ。
【CBDって何③】少しばかりCBDビールを試飲させていただいた
それでは、ということでCBDビールを少しだが、試飲してみた。口に含むと地ビールに多いエールの味が薄く感じられる。筆者はどちらかといえば、エールがあまり得意ではないので、この味が薄れているのはうれしく感じられた。またレモンの皮成分が入っているそうで、フルーティな印象で軽やかさがあった。さて、CBDの効果は?
仕事上に飲んだということもあり、残念ながらリラックスとはいかなかった。渋谷では「宇田川カフェ」ほか、「宇田川カフェ別館」「cafe BOHEMIA」などで楽しむことができる。
このCBDビール、皆さんはどのように感じられるだろうか。ぜひ試していただきたい。