GetNavi webでは、定期的に外国の人が日本の食文化を辛口レビューする記事をお届けしていますが、今回からパワーアップ。日本では一般的だけど、海外ではまったく違う常識を掘り下げていきます。今回はグルメの国・フランスのパンについてレポート。日本でパンといえば、食パンがベーシックなパンとして思い浮かびますが、フランスでは事情が異なるようです。
ポールルー・ガンディ さん
フランス・ブザンソン出身。パンはフランスの伝統的なバゲットが好き。
フランス人にとって日本の「菓子パン」は「パン」ではなく菓子だった!
ガンディさんに聞いたのは、フランスのパン事情。まず、日本にはクロワッサンやコッペパンのブームがあるように、フランスにもパンの種類によってブームはあるのでしょうか?
「基本的にはないかな。僕らにとってパンは、日本人が『フランスパン』って呼んでいる『バゲット』がスタンダードでありマスターピース。個人差はあるかもしれないけど、バゲットを超えるパンはないと思いますよ。あと、パンに関しては海外から新しい味が入ってきたり、新しいジャンルが生まれたりってこともないデスネー」(ガンディさん)
さらに聞くと、日本人にとって“フランスパンは固い”という印象ですが、本場のバゲットはもっと固く、むしろ日本のバゲットは柔らかくてバゲットじゃないと思えるほどだそうです。でも、個人差となると、たとえばどのようなパンが人気なのでしょうか。
「ほかに定番なのはクロワッサンとかパンオショコラとかだけど、どちらもパンというよりはお菓子デスネ。あと、確か日本ではクイニーアマンも菓子パンとして人気かもしれないけど、バターたっぷりで高カロリーなので、日本人が思うほどフランス人は食べないかな」(ガンディさん)
どうやら、フランス人は日本人以上に食事パンと菓子パンの住み分けが明確。日本でカテゴライズされる菓子パンは、フランスではお菓子(ペストリー)でありパンではないという位置付けです。これがそもそものパン文化の違いなのかもしれません。そして、さらに驚きだったのが日本人にとって最も馴染み深い食パン。
「パンドミ(いわゆる食パン)は、『中身のパン』という意味で、パンの皮(耳)や固さを大切にする僕らは普段あんまり食べないんデス。特に日本人がよく食べている、そのまま焼いたトーストというのは本当に食べない。クロックムッシュやクロックマダムとかの生地として使うのがポピュラーかなー」(ガンディさん)
なお、サンドイッチにもバゲットを使い、フレンチトーストにも少し古くなったバゲットを使うのが普通とか。バゲットはフランス人にとって、日本人のご飯的な存在なのかもしれませんね。
バゲットのパン屋価格は約0.8ユーロで日本の半額以下!
次に、そのバゲットをはじめ、普段どうやってパンを入手するのか聞いてみました。日本ではホームベーカリーが普及し、自家製パンを作る人が増えていますが、やはりフランスではもっと手作りが多いのでしょうか?
「作る人もいるかもしれませんが、バゲットは長いし大変でしょう。作るのならパンドカンパーニュ(田舎風の大きいパン)のほうが多いな? でも、買うほうがもっと多いと思いますよ。フルサイズのバゲットで0.8ユーロくらいなので、日本より安いデスネ。クロワッサンやパンオショコラは約1.2ユーロで、少し高いぐらい。クイニーアマンは6個が1袋に入っていて10~15ユーロとかで売ってるケースが多いと思いマス」(ガンディさん)
2016年8月23日現在、1ユーロが113円なので0.8ユーロは約90円。日本でフルサイズのバゲットを買うと200~300円はする(例:アンデルセンの「シュタインメッツバゲット」は1本238円)ので、半額以下の安さなのは間違いないですね。
ちなみに、これらのパンはスーパーなどではなく、専門のパン屋で買うことがほとんどとか。ただ、日本ほどブランドに左右されることはなく、たとえば日本で人気のブーランジェリー(パン屋)「PAUL」はフランスにもありますが、本国ではあくまでもチェーン店のひとつ。おいしさよりも営業時間の長さなどがメリットであって、通常は古くからある近所の個人パン店に行くことのほうが多いそうです。
ここで聞いたフランスの食文化事情はまだ一部。次回も別の人に、違った切り口で聞いてみたいと思います。乞うご期待を!
※この企画は、外国人留学生へのリサーチから得た知見をもとに、海外向けに日本企業のブランディングや商品PRのサポートを行う「LIFE PEPPER」とのコラボによるものです。
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