もともとはラーメン店の職人のまかない食だったつけ麺とまぜそば。いまやラーメン店の定番メニューとなっただけでなく、つけ麺やまぜそばの専門店まで登場しています。GetNavi webでは、様々な性格の街で営業する実力店を紹介してきましたが、本稿ではあらためてそれらの店をプレイバック。気温が下がってくるこれからの季節に向けて、つけ麺&まぜそばの実力店を復習しておきましょう!
町田汁場 塩らーめん 進化/町田
店主の関口信太郎氏は、「せたが屋」グループの塩専門店「ひるがお 新宿御苑前店(現在は閉店)」出身。その経験を生かした塩ラーメンを提供してくれます。しかし、同氏は醤油のセンスも抜群で、濃厚でコクと甘みのある愛知・七福醸造の白醤油を使ったつけ麺も人気です。
出汁には甲州地方の地鶏ガラや岡山県の山水地鶏を使用し、魚介系を合わせています。また、豚ゲンコツも使っていますが、動物臭さはなくやさしくもキレのある味です。ちなみに、スープの表面に浮く黒七味は、香り付けをするために振りかけられたもの。全体的にあっさりとした味わいながら、繊細な仕事が随所に光っています。
らぁ麺 すぎ本/鷺ノ宮
店主の杉本康介氏は、“ラーメンの鬼”として知られる、故・佐野 実氏の「支那そばや」で3年半修業し、2013年に独立。中野・鷺ノ宮駅近くで、洗練されたラーメンとつけ麺を提供しています。出汁に使う岡山の山水地鶏は、佐野氏の代名詞的な素材。一度冷蔵庫で寝かせてコクとまろやかさを出すなど、丁寧な仕事は実直そのもの。加えて、「支那そばや」ゆずりの優れたバランス感覚が、重層的な味を生み出しています。
そんな同店で人気の「塩つけめん」は、エッジの効いた清湯スープの塩ダレが決め手。麺には全粒粉が使用されており、しなやかな細さとも相まって、香りと食感が抜群です。また、彩りある肩ロースと鶏ムネ肉のレアチャーシューは、清湯系つけ汁の味を引き立てるために塩味で仕上げています。さっぱり感のあとに余韻が残るような複雑な味付けが、この店最大の魅力なのです。
啜磨専科(すすりませんか)/上大岡
「啜磨専科」は、横浜を訪れた際には絶対に立ち寄りたい名店のひとつ。上大岡駅で降り、7~8分ほど歩くと、「啜磨専科」の四文字が目に入ります。「すすりませんか?」と誘われるがままに店内に入ると、風味豊かな香りとともに元気なスタッフが迎えてくれるのです。
この店の看板麺は、2013年に「東京 ラーメン・オブ・ザ・イヤー新人賞 つけ麺部門」で1位を獲得した「ザ・しおつけ麺」。出汁は豚と鶏がベースで1:1になるように調合し、絶妙なとろみをプラスするために豚皮のゼラチン質も加えています。うどんのようにツルツルシコシコした麺には、ベトナムの海中結晶塩が盛られ、それだけ付けて食べても十分のウマさ。さらに皿の底には少量の鰹出汁スープが入っているので、風味も格別です。
中華そば専門 多賀野/荏原中延
「中華そば専門 多賀野」は創業より約20年間、荏原中延駅前で常に行列が絶えない繁盛店です。スープは比内と大山2種の鶏と、豚、鴨、魚介で出汁をとって鴨油を投入。これに塩ダレ、醤油ダレ、そして辛ダレのなかから選んで使用しています。同店で最もベーシックなのは醤油ダレの「中華そば」ですが、沖縄産の塩をベースにした「粟国の塩つけそば」も人気メニューのひとつです。
色の澄んだつけ汁には、胡麻やネギ、刻みチャーシューが入り、その他の具材は別皿で提供。スープはすべて飲み干せるほどすっきりしていますが、うまみが凝縮されています。一方、海草(布海苔)を練り込んだ自家製麺は、名物店主・髙野多賀子氏の故郷・新潟のへぎそばを参考にしたもの。弾力があり、温かいスープにつけるとしなやかな喉越しになるのが特徴です。
東京駅 斑鳩(いかるが)/東京
代表の坂井保臣氏が、九段下に「斑鳩」を開店したのは2000年(現在は九段南に移転)。瞬く間に人気店となり、その後2011年に、有名店が凌ぎを削る東京ラーメンストリートに2号店として「東京駅 斑鳩」をオープンしました。定番メニューはつけ麺やラーメンですが、「三種のチー ズまぜそば」もインパクトがあり人気です。
幅の広さが異なる3種の麺と、3種のチーズ(レッドチェダー、パルミジャーノ、もう1種は秘密)を使用した濃厚な味がクセになります。生卵を落としてかき混ぜ、すき焼き風に食べるのもオススメ。なお、まぜそばにも自慢の豚骨魚介スープを使っているので、ベースの部分では「斑鳩」の味をしっかりと踏襲しています。卓上にある調味料で、自分好みの味に変化させながら食べ進めてください。
※価格やメニューは変更になっている場合があります。