暑くなると食欲がなくなってしまうという人も多いですよね。だからといって食べないでいると、さらに疲労感が増え回復に時間がかかってしまうことも。そんなときに選択肢の一つとしておすすめなのが、プロテイン。飲料でありながらタンパク質が摂取できる栄養補助食品として有効です。今回は、コンビニでも手軽に手に入るプロテインなども紹介していきます。
<識者紹介>
管理栄養士:佐藤樹里さん
フィットネスクラブにて水泳インストラクター兼管理栄養士として勤務後、海外留学を経て独立。現在は、ライター業やダイエットサポート、メディア出演などを行う。チャーハンを食べながら8kg減量した経験を持つ“チャーハン栄養士”としても活動中。
どうして夏バテになるのか?
夏バテとは、「体がダルい」「食欲がない」「疲れやすい」などの暑さによる体調不良全般のことを言います。そもそも、なぜ夏になると夏バテになるのでしょうか。これは主に、①自律神経の乱れ、②栄養不足の2つの原因があります。
1.自律神経の乱れ
夏バテは、自律神経の乱れが主な原因です。私たちの体は、高温多湿な環境や室内と室外の気温差のなかで体温を一定に保とうとエネルギーを消費します。その体温の調整をするのが自律神経になるのですが、自律神経に過度な負担がかかることで疲弊します。これにより自律神経の乱れを引き起こし、バランスが崩れることで、体調不良が起きやすくなるのです。
2.栄養不足
暑くなると食欲が落ちて、喉越しが良く食べやすいそうめんや冷麺などを好んで食べる方が多いかと思います。こういった食べやすい食事は炭水化物に偏りがちで、体に必要な栄養素が十分に摂ることができない可能性もあります。これらの自律神経の乱れと栄養不足などの原因から、疲労感を感じるようになってしまいます。
夏バテのとき、こんな食事には注意しよう
暑いと食欲が落ち、そうめんなどの麺類やアイスクリーム、ジュースなどの炭水化物が多く含まれるものばかりを食べてしまいがちになります。
その結果、免疫物質の材料となるタンパク質や疲労回復に必要なビタミンなどの栄養素が不足し、さらなる食欲不振・疲労感・倦怠感の原因になってしまいます。炭水化物メインの食事を単品で取るのではなく、主食・主菜・副菜・汁物を含む定食のようなバランスの良い食事を取るように心掛けましょう。
また、食欲がないときは、生姜やみょうがなどの香味野菜や、唐辛子やカレー粉などの食欲を刺激する香辛料を食事に取り入れてみるのもおすすめです。
夏バテ対策に必要な栄養素
では、実際にどんな栄養素が夏バテ対策には良いのでしょうか。栄養素を全体的にバランス良く摂取することが一番ではありますが、特にタンパク質・ビタミンB1・クエン酸・ビタミンC・カリウムなどのミネラル類が必須になります。
■タンパク質
タンパク質は筋肉や内臓だけでなく、体内の免疫物質やホルモンなどを作る働きがあり、体づくりにおいて欠かせない重要な栄養素です。不足すると免疫力の低下や内臓の働きが悪くなり夏バテを引き起こします。
・タンパク質は、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に含まれます。
■ビタミンB1
食事から摂取した糖質を体内でエネルギーに変える働きがあります。ビタミンB1は体内に蓄えておくことができず、汗とともに排出されやすい性質があります。そのため、炭水化物ばかりに偏った食事をしていると、発汗量の多い時期はビタミンB1が不足しがちになるのです。
・ビタミンB1は、豚肉・うなぎ・玄米・青のり・たらこなどに含まれます。
■クエン酸/ビタミンC
クエン酸やビタミンCには疲労回復作用があります。
・クエン酸は、梅・レモンなど酸っぱいものに含まれます。
・ビタミンCは、キウイなどの柑橘類・じゃがいも・ブロッコリーなどに含まれます。
■ミネラル類
カリウム・マグネシウム・鉄などのミネラルは、細胞などの働きや神経伝達など体の反応を円滑にするため欠かせない栄養素です。特に鉄は不足すると疲労感や倦怠感の原因にもなります。これらは、暑さで大量に発汗すると水分とともに失われてしまうので注意が必要です。
・カリウムは野菜や海藻類、マグネシウムは海藻類や魚介類、鉄はレバーや肉類、ほうれん草などに多く含まれます。
食欲がないときにプロテインがおすすめの理由
さまざまな食材から栄養素をしっかり摂ることが良いとはいうものの、夏バテでどうしても食べられないときはどうしたら良いのでしょうか。そんなときにまずは、喉越しの良い摂取できそうなものから取り入れていきましょう。
特におすすめなのがプロテインです。プロテインは液体状もしくはゼリー状で気軽に取ることができ、体づくりにおいても必須なタンパク質を摂取することができます。
プロテインの種類によっては、夏バテ対策に必要なビタミン・ミネラル類も摂取することができます。どうしても食べられないときなどに、食事にプラスして取ったり、間食にしたりと活用していきましょう。
コンビニ・ドラッグストアで購入できるプロテイン
プロテインは、最近ではコンビニやドラッグストアでも購入でき、飲みたいときに手軽に手に入るようになりました。その一方で、初めて購入するときはたくさんの種類が並んでいて、どれを選んだら良いのか迷ってしまうはず。そこで今回は、おすすめの商品を4つ紹介していきます。
【その1】明治/ザバス ミルクプロテイン
全国のコンビニで当たり前のように陳列されるようになったザバスのプロテイン。プロテインを飲んだことのない一般の方にも飲みやすい味となっています。1パック200mlでタンパク質量が15g含有されているのがうれしいところ。バナナ風味やミルク風味などいろいろな味も出ているのでお好みの味を選んでみてください。
【その2】森永乳業/inプロテイン
240mlにタンパク質が16g含有されています。甘すぎないさっぱりとした味付けなので、夏バテ気味のときにも飲みやすいです。持ち運びしやすいカップ容器タイプなのもうれしいところ。タンパク質の摂取を効率的にサポートすると言われている「Eルチン」というポリフェノールも配合されています。
【その3】明治/ザバス MILK PROTEIN のむヨーグルト
食欲がないときに、ヨーグルトの爽やかな味わいが口にしやすいという方もいるのではないでしょうか。そんなときにおすすめなのがザバスののむヨーグルトです。のむヨーグルトでありながらも、1パックにタンパク質が15g含有されています。
【その4】森永製菓/inゼリー プロテイン 15g
ゼリータイプで飲みやすいのが特徴です。タンパク質が、分子を小さくして吸収しやすくしたペプチドという形で配合されているので、より消化しやすくなっています。夏バテで胃腸の働きが低下しているときに特におすすめです。炭水化物・カルシウム・ビタミンB群も同時に補給できます。
夏バテとプロテインのまとめ
これからの蒸し暑い時期は、夏バテによる体調不良で食欲が低下することがあります。食べやすい食事ばかりしていると、炭水化物に偏ってしまいがちになり、栄養不足を招くことも。
そんなときに選択肢の一つとして、コンビニなどで手軽に手に入るプロテインでタンパク質などの栄養素を補うのがおすすめ。プロテインを上手に活用しながら栄養補給をして、暑い時期も元気に乗り切りましょう!
撮影/我妻慶一 文/佐藤樹里