日本で人気のアジアンフードといえばタイ料理。首都バンコクの屋台の模様は、TVや観光ガイドなどでもよく見かけますが、なぜタイのフードの多くは屋台料理として紹介されるのでしょうか。そこで、ネイティブのスィリパイブーンさんに理由を聞いたところ、驚くべき答えが返ってきたので紹介したいと思います。
タンヤトーン・スィリパイブーンさん
バンコク出身。「ソムタム」という青パパイヤのサラダが好物とのこと。
そもそも家にキッチンどころか冷蔵庫もない?
その答えは意外すぎるものの、いたってシンプル。“家にキッチンがないから屋台で食べる”という理由でした。田舎の場合はそうでもないようですが、バンコクのような都会のアパートには、ほとんど冷蔵庫がないようです。ちなみに、イートインとテイクアウトはどっちのパターンもあるようですが、基本的に自炊はしないというかする環境がないというか……、いずれにせよ外食がメインとのこと。でも、なぜキッチンがないのでしょうか?
「キッチンがないのが当たり前だったから、ない理由を考えたことはないの。けど、もし自炊するとなったら、外食より高くついちゃうからってのが大きいのかな。あと、タイ料理を作ると強い香りが出るから、アパートの大家さんが嫌がるってのを聞いたことがあるわ」(スィリパイブーンさん)
タイ旅行に行った人ならご存知だと思いますが、屋台は価格が激安。料理にもよりますが、主食なら日本でいうと100~200円が中心とか。外食という習慣が身に付いているため、家庭では料理を作らないから冷蔵庫もほとんどないんだそうです。
ここでよく考えてみると、多くの国民が毎日外食というのはとっても楽しそう。ですが、現地の人たちはどんな店に行くのか気になりますよね。各人の好みや家庭によって、行きつけの店があったりするのでしょうか?
「家に近いとか好きな味だからとかの理由で、行きつけの店というのはあると思うわ。ただ屋台の場合は店ごとに専門性が異なるので、毎日同じ店に行くっていうのは私はないかな」(スィリパイブーンさん)
これは日本の縁日で出店している屋台のようなもの。麺類と米類を同じ屋台で提供するケースは少なく、たとえばスープ麺専門店、チキンライス(カオマンガイ)専門店、焼きそば(パッタイ)専門店といったように、ジャンルごとに分かれています。一方、数種のメニューを提供しているのは、オーナーが料理を作らずシェフを雇っている店。屋台ではなく、いわゆるレストランというわけです。
トムヤムクンはまったく日常食ではなかった!
ところで、タイを代表する料理といえばトムヤムクン。フランスのブイヤベース、ロシアのボルシチと並ぶ(諸説あり)「世界三大スープ」として知られていますが、これは日本でいう味噌汁のように日常的なのでしょうか? この質問に関しても、我々日本人のイメージとは違う答えが返ってきました。
「私は月に2回ぐらいかな。カレーや汁麺に比べるとそこまで食べないわ。日常的という人は、よっぽど好きじゃない限りいないんじゃないかしら。ちなみに、『トムジュー』という海苔入りのスープもトムヤムクンと同じぐらいなじみのあるスープよ。トムジューは酸味がないし、豆腐や野菜も入っているから、味噌汁に近いものを選ぶならこっちかしら」(スィリパイブーンさん)
ちなみに、世界三大スープと呼ばれていることについて、スィリパイブーンさんは一応知っているとのこと。「誇りには思っているわ。でも、タイにはもっとおいしい料理があると思うけどなぁ」と複雑な面持ち。
また、日本に来てカルチャーショックを受けたものを聞くと、やはり食事とのことでした。外食は高いので、レトルトやインスタント系ばかりになってしまうとか。料理を作らないことは、自炊の文化がある国では大変なようです。タイに限らず、外国人と接するときは食事面でも気を遣ってあげるといいかもしれませんね。
※この企画は、外国人留学生へのリサーチから得た知見をもとに、海外向けに日本企業のブランディングや商品PRのサポートを行う「LIFE PEPPER」とのコラボによるものです。