「お店に行くと、そこではロボット店員が働いている。」
少し前までSF小説に書かれていただろう一節は、すでに街中で見かける風景です。本記事では、人型ロボットを使う“現場”を少しだけ紹介していきましょう。
有意義な待ち時間を提供するコンシェルジュ
みずほ銀行
受付番号でおみくじを引くことができます。また、保険の簡単な相談を受けて、詳細を窓口へ誘導することも。金融関連の小噺も聞かせてくれます。
制服ペッパーさんが日焼け止めを解説
ロフト
UVケア商品の情報をデータベースに搭載。おでこのカメラにバーコードをかざすと、商品を説明します。
「ネスカフェ」コーヒーマシンをご紹介
ネスレ
家電量販店のコーヒーマシン売り場で接客。商品特徴の紹介や、ニーズに合ったマシンの提案をおこないます。
[nextpage title=”道の駅で活躍するPepperくんも!”]
入口の受付付近で来館者をお出迎え
“渚の駅”たてやま
自治体としてPepper導入したのは館山市が初めて。入口にて、あいさつや日常会話で来館者をもてなします。
Pepperのプログラミングは簡単! 夏休みの自由研究としても人気
Pepper用のアプリは「Choregraphe(コレグラフ)」という開発用ソフトで作成します。命令を記入したBOXを繋げるだけなので、初心者でも簡単。7月に東京国際展示場で開催した「夏休み2015 宿題★自由研究大作戦」の体験コーナーには、多くの人が集まりました。
「イラッシャイマセ」はもう日常のひとコマになった。
人型のロボットを一家に一台持つ時代がすぐ近くまで迫ってきています。コミュニケーションに特化したロボット「Pepper(ペッパー)」が一般発売されたのは、本年6月のこと。毎月生産される1000台は、発売開始と同時に完売する状況です。各方面の企業も続々と導入を試みるなど注目度は高くなっています。
ロフトのPepper導入に関わった稲葉眞司氏(営業サポート部)は次のように語ります。
「単なる客寄せパンダではなく、“販売員〞としてなるべく自然に導入したいと考えていました。現在は、店舗のビューティーアドバイザーからヒアリングした内容を元に、UVケア関連アイテムの接客を担当させています。要する〝FAQ〞の対応ですね。海やプールなど、会話中のキーワードに反応するように設定しています。店頭では色んな雑音があるので、たまに聞き間違いで変なことを言ったりもしますが、それもご愛嬌。時期が夏だったこともあり、導入店舗の化粧品売上も通常平均の約2倍まで上昇しました。なかなか良い仕事をしていますよ」
また、コーヒーマシンの接客販売にPepperを利用するネスレでも、同様にFAQ対応を中心とした活用を試みています。こちらも集客やマシン購入促進の効果が確認できたそう。
「真面目に製品の特徴を説明するだけでなく、Pepperのユニークで愛らしいキャラクターを活かすことにこだわりました。導入により10%以上も売上が伸びた店舗があることから、中期的には1000台規模での導入も検討しています」(ネスレ広報室)。
データ収集や提案がさらなる普及のカギ
みずほ銀行では、受付番号でおみくじを引かせるなどPepperを活用したユニークな試みが目立ちます。導入に関わったみずほ銀行の井原氏は、その将来性についてこう述べています。
「予想以上に反響があって驚きました。将来的には、コンサルティング的なサービス提供もしたいと考えています。市場動向を踏まえ、最適な金融サービスを中立の立場から提案できたら面白いですね」
また、千葉県館山市にある「〝渚の駅〞たてやま」では、Pepperを使った情報発信を試みています。既に花火大会などを案内する機能はありますが、将来的にはより本格的な観光案内を目指すという。「どこからきたの?」といった質問を通して統計データを集め、それを観光誘致に活用することも、近い将来には実現するのでしょう。
ソフトバンク
Pepper
本体価格21万3840円
ソフトバンクロボティクスとアルデバランロボティクスが共同開発したロボット。「喜び」などの感情を疑似的に再現し、機嫌の善し悪しに反映します。
基本料と保険を合わせると、総費用は3年間で108万円(税別)。
SPEC
●プラットフォーム:NAOqiOS
●稼働時間:最長12時間以上
●ディスプレイ:10.1インチ
●通信方式:Wi-Fi・IEEE802.11a/b/g/n(2.4GHz/5GHz)/イーサネットポート×1(10/100/1000baseT)
●移動速度:最大2km/h
●移動可能段差:最大1.5cm
●サイズ/質量:W480×H1210×D425mm/29kg