パソコン周辺機器大手のロジクールは、キーボードのフラグシップモデルとなる「KX1000s CRAFT」を発表。ロジクールといえばキーボードとマウスの販売台数で世界一を誇るメーカーで、世界中で支持される製品をリリースしています。今回発表されたCRAFTは、主にオフィスワークやクリエィティブシーン向けのフラグシップキーボードで、高機能なスペックをふんだんに搭載。そんな“最高級モデル”の実力を、キーボードには一家言ある筆者が実際に試してきました。
ワイヤレス搭載のフルサイズキーボード
CRAFTは、19mmのキーピッチを採用したアイソレーションキーボードで、キースイッチにはパンタグラフを採用。ストロークは1.8mmと浅め。入力が多いオフィスワークでも疲れにくい仕様となっています。
また、バッテリーを搭載したワイヤレス仕様であることも特徴の1つ。Bluetoothや同社オリジナルのUnifying(2.4GHz接続)など3種類の通信方式に対応し、3台のデバイスを切り替えて接続できるマルチデバイス対応となっています。
最高級キーボードの打鍵感をチェック!
さて、筆者は原稿執筆や時々行うプログラミングなどで、日々入力作業に追われております。なので、キーボードの打鍵感や配列には並々ならないコダワリがありまして、例え高機能なキーボードでも気に入らなければ使いません。
特に打鍵感に関しては、最小限の動作で入力できることを重視し、いかに入力作業をサボれるかどうかにこだわっています。好みは軽い打鍵感の浅いストローク(キーが沈み込む距離)です。つまり、スイッチはパンタグラフが最適解。今回のCRAFTは、高級キーボードにありがちなメカニカルスイッチや静電容量スイッチではなく、パンタグラフを採用しているとのことで、期待が持てます。
まず、指の形にフィットするように丸く凹んでいるキートップですが、筆者的にはここまで凹ませる必要を感じませんでした。ただ、打鍵感に大きく影響はしないというレベルです。次に、打鍵感ですが浅いストロークと押下圧(キーの重さ)は筆者好み。軽々押せます。ただし、底まで押したときのクリック感がもう少しほしいところ。
マット調の表面処理は、手触りがよくスベるようなこともありません。ただ、使い込んだときのテカりが気にならないかという懸念はあります。
最後にキーの配列ですが、最下段に多少のクセはありますが、フルサイズのキーボードなのでHomeやEnd、カーソルキーなどは独立しており、ノートPCにありがちなFnキー同時押しといった煩雑さはありません。
総合的な評価としては、パンタグラフ式キーボードがお好きな方はスムーズに使える仕様ではないかと思われます。
オフィスワークやクリエイティブシーンで大活躍のダイヤル?
さて、このCRAFTですが、もう1つ大きな特徴があります。そう、このペットボトルのキャップみたいな円筒形の物体……。このダイヤルは「クラウン」と呼ばれる入力デバイスで、「タッチ」「回転」「押下」の3種類の入力を受け付けるダイヤルです。
このクラウンには、MicrosoftのWordやExcel、AdobeのPhotoshopやIllustratorなどのCRAFT対応アプリケーションごとに、それぞれ独自の動作を割り当てることが可能となっています。
使い方としては例えば、横長になったExcelの表を編集する作業をしていて、画面から隠れているセルを表示させる場合は、カーソルキーをひたすら押し続けるか、スクロールバーをクリックするかの操作が必要でしたが、クラウンを回転させることで、高速横スクロールが可能になるなど、オフィスでの作業でがラクに。Illustratorでは線の太さをクラウンの回転で変更できるなど、クリエィティブシーンでも作業の手間を大幅に軽減する効果が期待されます。
また、このクラウンはヌルヌルと回転する「スムーズ」とカチカチとしたクリック感がある回転の「ラチェット」の2つのモードから動作を選択可能。筆者的には、ラチェットのカチカチ感が非常に好みで、原稿に行き詰まったときには意味もなく回してしまいそうな感触です。
このロジクールのCRAFTですが、2万円オーバーということで、キーボードとしては超高額な部類。ただ、クラウンを活用できるお仕事をしている人には出費のしがいのあるキーボードであることは間違いないので、一考の価値アリです。