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Apple
2017/9/20 5:30

実はこっちもすごい進化してるんです! 使ってわかったiPhone 8/8 Plusの真の実力とは

Appleは9月22日に、「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」を発売します。同機は従来シリーズの操作感を活かしつつ、高性能化を図った正統派の後継機。ホームボタンを廃止した「iPhone X」ばかりに注目して、8/8 Plusの真価を見逃してはなりません。

 

同機の概要については速報でも取り上げていますので、本記事では速報では紹介しきれなかったiPhone 8/8 Plusの魅力を、実機のレビュー形式でお伝えします。

 

10周年というタイミングに、大きくデザインを変更したiPhone Xは私たちに強烈な印象を残しました。筆者も欲しいと思っています。しかし、一方で、使い慣れた操作感を変えたくないという人が一定数存在するのも事実。ホームボタンを残しつつ進化したiPhone 8/8 Plusは、そんな人が選ぶべき機種なのです。

↑iPhone 8
↑iPhone 8

 

意識しておいて欲しいのは、8/8 Plusは「7/7 Plus」よりも確実に進化しているということ。Xで搭載される「有機ELディスプレイ」や「TrueDepthカメラ」のような派手な変化こそありませんが、デザインも変わり、性能も堅実にアップしています。

 

背面のガラス & 側面のアルミの上品なデザイン

筆者はこれまでiPhone 7のシルバーモデルを使用していました。同機のボディは7000シリーズのアルミニウムが採用されており、背面から側面にかけて継ぎ目のない構造が特徴的。つまり、前面はガラス、背面はアルミに分かれていたわけです。

↑従来機iPhone 7(シルバー)の側面&背面
↑従来機iPhone 7(シルバー)の側面&背面

 

一方、8/8 Plusでは、背面にガラス素材を採用。アルミが見えるのは側面だけになりました。カラーバリエーションは「ゴールド」「シルバー」「スペースグレイ」の3色展開。どれも7層のカラー処理が施されています。背面には、ガラス特有の鋭い光沢感がありますが、色味自体は非常に柔らか。そこに側面のアルミニウムが輝くことで、良いアクセントになっています。派手過ぎない上品さが好印象です。

↑新モデルiPhone 8(シルバー)の側面&背面
↑新モデルiPhone 8(シルバー)の側面&背面

 

細部の違いに言及すると、アンテナ部のデザインにも違いがありました。7/7 Plusでは側面から背面にかけて「U」字型の線が入っていましたが、8/8 Plusでは側面に横線が見えるだけとなっており、よりスッキリした印象に変わりました。

↑アンテナ部の比較。下がiPhone 7、上がiPhone 8
↑アンテナ部の比較。下がiPhone 7、上がiPhone 8

 

アルミニウム背面とガラス背面では、手に持った感触も異なります。アルミニウムはサラサラとした触り心地が気持ち良いのが特徴。しかし、冬に手が乾燥している時には、表面が滑ってしまい、危うく落としそうになることもありますよね。

 

一方、ガラスはしっとりと指に吸い付きます。ディスプレイを触っている感覚とほぼ同じですので、従来機をお持ちの方は表裏をひっくり返すと、ガラス背面の触り心地を体験できるでしょう。ちなみに、8/8 Plusのガラスには、同社が「スマートフォン史上最も耐久性の高い」と表現する高耐久素材が使用されています。

 

ワイヤレス充電への対応は、私たちのライフスタイルを変える

さて、ガラス背面のデザインを採用したことで、iPhone 8/8 Plusではシリーズ初となる「ワイヤレス充電」をサポートしました。これは、我々のライフスタイルを大きく変えるきっかけになるのではないか、と注目しています。同機が対応するワイヤレス充電規格は「Qi(チー)」と言います。これはWPC(ワイヤレス・パワー・コンソーシアム)が策定した国際的な標準規格です。

↑Belkinの「Boost↑Up Wireless Charging Pad」(9月15日発売予定)は最大7.5Wの充電が可能。厚さ3mmまでのケースを装着したまま利用できる
↑Belkinの「Boost↑Up Wireless Charging Pad」(9月15日発売予定)は最大7.5Wの充電が可能。厚さ3mmまでのケースを装着したまま利用できる

 

使用方法はいたって簡単。電源に接続した状態の充電パットの上に、iPhoneを乗せるだけ。特にこれといった操作をすることなく、自動で充電が開始されます。シンプルゆえに、だれもがシーンを問わず、快適に利用できるでしょう。

 

例えば、筆者は事務所のデスクにiPhone充電用のLightningケーブルを配備しています。しかし、外出の度にケーブルを抜き差ししたり、ケーブルが机の上で邪魔にならないよう片づけたりするのはかなり面倒でした。また、もし運悪くケーブルを挿し忘れると、帰宅時の電車ではバッテリー残量を心配しながら使うはめになります。

↑ワイヤレス充電の環境を整えれば、デスク周りがスッキリしそうだ
↑ワイヤレス充電の環境を整えれば、デスク周りがスッキリしそうだ

 

ワイヤレス充電を使ってみると、こういった問題は一気に解消されました。端末を定位置に置くだけでいいので、頻繁にケーブルを抜き差しするストレスから解放されたのです。仕事の効率も上がるのではないかと期待しています。

 

しかし、使っていると「Apple Watchも一緒に充電できれば良いのに……」と欲が出てきました。まさにこうした消費者心理を先読みし、「AirPower」を発表したのは、さすがAppleだなと感じます。ユーザーの生活がどう変わるか具体的にイメージしているからこそできる芸当です。こちらは2018年に発売予定とのこと。登場が待ち遠しいですね。

 

なお、「ワイヤレス充電だと、ベッドやソファーに横になりながら使えないじゃないか」なんて声も聴こえてきそうですが、従来通りLightningケーブル経由の充電もできるので、心配する必要はありません。

 

ちなみに、ワイヤレス充電をしながらでも端末は操作できます。特に、iPhone 8のステレオスピーカーの音量は、iPhone 7よりも25%もアップしているので、動画や楽曲の再生に適しているでしょう。

↑ワイヤレス充電をしながら音楽を再生。スペシャルイベントのプレイリストが筆者の最近のお気に入りだ
↑ワイヤレス充電をしながら音楽を再生。スペシャルイベントのプレイリストが筆者の最近のお気に入りだ

 

例えば、iPhone 7をリビングルームの真んなかに置いて、音量をマックスにしても、部屋全体に音が響くほど迫力はありませんでした。しかし、iPhone 8では、部屋中にサウンドが行き渡ります。下手なBluetoothスピーカーは不要になるかもしれません。「HomePod」が登場するまで、しばらくの間はiPhone 8をSiri対応のスピーカーとして代用できそうです。

 

8 Plusなら「ポートレイトライティング」でカメラマン気分に

カメラの新機能として最も注目されたのは、iPhone Xおよび8 Plusで使える「ポートレイトライティング」機能でしょう。元々「ポートレイト」モードはiPhone 7 Plusで搭載された機能です。背景をぼかして被写体を際立たせることが可能。望遠カメラを使用するため、新機種では8 PlusとXのみが対応します。

↑iPhone 8 Plusのカメラは「ポートレイト」モードおよび「ポートレイトライティング」に対応
↑iPhone 8 Plusのカメラは「ポートレイト」モードおよび「ポートレイトライティング」に対応

 

「ポートレイトライティング」は今回初搭載される機能。「ポートレイト」モードで撮影した写真に対して、ライティングのエフェクトを追加できます。現状はβ版という扱いですが、端末発売のタイミングから使用可能となります。

↑ポートレイトライティングを使用した作例。左は「ポートレート」をオフにし、「自然光」を選択。右は「ポートレート」をオンにし、「スタジオ照明」を選択した状態。ライティングに注目すると、右の方が、被写体はより明るく映っているのがわかる
↑ポートレイトライティングを使用した作例。左は「ポートレート」をオフにし、「自然光」を選択。右は「ポートレート」をオンにし、「スタジオ照明」を選択した状態。ライティングに注目すると、右の方が、被写体はより明るく映っているのがわかる

 

撮影時の画面でリアルタイムに効果を確認できるほか、写真の編集画面からも効果を調整できるのが特徴。まるでプロのカメラマンがスタジオで撮影しているかのように、被写体のライティングを調整できます。撮影後の編集が可能なのは、あくまで「ポートレイト」が有効の状態で撮影された画像に限ります。

 

ちなみに、撮影後の編集で「ポートレート」のぼかしのみをオフにすることもできました。つまり、背景ぼかしなし+ライティングあり、という組み合わせが可能です。

↑写真アプリで画像を表示し、右上の「編集」をタップするとこの画面が表示される。上部の「ポートレート」で、ぼかしのオン・オフ切り替え、下部の5つのエフェクト選択で被写体に対するライティング効果の切り替えが可能
↑写真アプリで画像を表示し、右上の「編集」をタップするとこの画面が表示される。上部の「ポートレート」で、ぼかしのオン・オフ切り替え、下部の5つのエフェクト選択で被写体に対するライティング効果の切り替えが可能

 

この写真も筆者が数枚パシャパシャと撮ったうちの一つ。カメラの素人が何気なく撮影しても、プロが撮影したかのような雰囲気に仕上げられました。もはや自分の写真が上達した気になって、どんどん撮影したくなりました。

↑ポートレイトライティングで「ステージ照明」を選択すると背景部分が黒くなり、被写体にスポットライトが当たったように加工されるのも面白い
↑ポートレイトライティングで「ステージ照明」を選択すると背景部分が黒くなり、被写体にスポットライトが当たったように加工されるのも面白い

 

なお、技術的には、機械学習によって画像を分析していることがポイント。A11 Bionicチップに内蔵されたニューラルエンジンが貢献しています。

 

iPhone 8のカメラも進化していた

では、「ポートレイト」が使えないiPhone 8ではカメラは楽しめないのかというと、そういうわけではありません。iPhone 8/8 Plusでは新たにアップルが独自設計したISP(画像処理プロセッサ)を搭載し、暗所でのオートフォーカスを高速化。また、帯域ごとにノイズ処理を行う仕組みも実装しています。

↑iPhone 8のカメラ
↑iPhone 8のカメラ

 

とはいえ、小難しい話をしてもわかりにくいので、iPhone 7と8で撮った写真を見比べてみましょう。iPhone 8で撮影した方が、色味がより鮮やかになっているのがわかると思います。

↑iPhone 7で撮影(左)、iPhone 8で撮影(右)
↑iPhone 7で撮影(左)、iPhone 8で撮影(右)

 

特に「赤」と「白」の写り方が変化しているのがわかるでしょうか。iPhone 8の方が赤やピンクの花ビラがより鮮やかに再現されています。また、やや青みがかっていた白も、ほんのりと暖色に寄っています。白飛びも起こりにくくなっているようでした。

 

8/8 Plusか、それともXか

最後に、iPhone 8/8 Plusのポイントをまとめておきましょう。

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iPhone 8/8 Plusは従来機のデザインを踏襲しているため、ホームボタンが健在です。しかし、背面デザインはガラスに変わり、それによってワイヤレス充電に対応。日々の充電をより手軽に行えるようになったことは大きな魅力です。

 

カメラが好きな人は、8 Plusの「ポートレートライティング」を使うと、より一層撮影を楽しめるようになるでしょう。一方の、iPhone 8のカメラも実はいろいろと進化しています。ユーザーにとって一番分かりやすい変化は、より鮮やかな写真が撮れるようになったことだと思います。

 

先に発売を迎えるiPhone 8/8 Plusを買うべきか、それともiPhone Xを待つか。どちらも魅力的な端末ゆえに、悩むことは必至ですね。