YouTubeが3月から対応した、360°動画を皆様ご存知でしょうか。RICOH THETA などの360°カメラで撮影したパノラマ映像を、360度回転して見渡しながら再生できる、という機能です。
アップロードと再生には今のところPC用の Chrome ブラウザおよびAndroid版YouTubeアプリが必要。動作環境は限られていますが、ジワジワと話題になっているこの機能について、今回レポートします。
動画なのに、Google Earthのような操作感!
GoogleEarthといえば、誰もが知っているであろう、地図上を360°写真で見て回れるサービスです。建物のビジュアルに加えて名前も表示されるので、道に迷ったときのガイドとして、あるいは画面内で見知らぬ土地を旅して楽しむ……という使い方もできます。
なぜここでGoogle Earthを出したのかというと、「360°ムービーは動画版Google Earthだ!」 と筆者が思ったからなのです。というわけで、YouTubeの360°ムービーを見てみましょう。
こちらは、レッドブルのF1チームが、F1カーに360°カメラを搭載して撮影したムービー。動かしていただけると分かりますが、画面左上の十字ボタンで視野を自在に操作できます。UIは異なりますが、この視野を切り替える感覚、完全にGoogle Earthの“それ”です。UIこそ違いますが、操作感もそっくり。初めての視聴でも簡単に楽しむことが出来ました。
360°ムービーは映像の概念を変える!
360°ムービーは映像の概念を変える可能性を秘めていると筆者は考えています。普通の映像では視野をコントロールすることはできませんが、それ視聴者が決めることができるのです。同様の映像を見ているのに、その視聴“体験”は人によって異なるのですから。
先のF1のムービーを例にすれば、前方を見ている人は、「位置取りスゴい!」といったような感想を持つかもしれません。しかし、視野を横に向けて見れば、コース周囲の風景が目に入って別の感想を抱く……これって映像史的にスゴいことなんですよ!(大学で映像を専攻していた筆者、興奮してます)
ひとつの映像なのに、全く別のビジュアルが楽しめる、360°ムービー。編集部も撮影に挑戦しました!
田中 貴プロデュースのラーメン本「Ra:」に付属する
「きみとラーメン」のMVは360°撮影!
こちらは先月末より好評発売中のサニーデイ・サービス田中 貴プロデュースのラーメン本「Ra:」の付録で収録された楽曲「きみとラーメン」のミュージックビデオ。
コダックの360°アクションカメラ、SP360で撮影しました。レコーディングするアーティストの中心に設置したカメラが、彼らの表情を360°パノラマで映し出します。
気になるアーティストの表情に、視野を合わせて鑑賞することができる、画期的なミュージックビデオに仕上がりました。最近、ミュージックビデオもかなり多様化していて、すべて自撮り映像で構成したもの、視聴者の選択によりMVが変化するものなどさまざまですが、好きなアーティストにフォーカスして見れるMVは360°ムービーならでは。一度、ご覧になっていただければその魅力に気づいていただけるかと思います。