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2018/3/14 7:00

ファーウェイは日本市場をどう見ているのか? 日本のPC&タブレット市場への展望を聞く

HUAWEI(ファーウェイ)は、2月26日から3月1日(現地時間)にて開催されたMWC(モバイルワールドコングレス)にて、ノートPCやタブレットデバイスを発表しました。これらの新モデルは、日本でも発売されるのか。同会期中にファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏にグループインタビューする機会を得ましたので、その様子をお伝えいたします。

 

↑ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏

 

――MWCで発表された新製品について、日本国内での発売は決まっていますか?

「日本は、ファーストローンチの範囲に入っています。発売時期は第2四半期となります。“MateBook X Pro”、“MediaPad M5”シリーズは間違いなく発売されるでしょう」(呉波氏、以下同)

 

↑「MateBook X Pro」は、クラムシェルタイプのWindows 10搭載ノートPC。現行の「MateBook X」の上位機種に相当する。13.9インチかつ、画面占有率91%のベゼルレスなディスプレイと、キーボードに潜んだWebカメラが特徴的だ

 

↑「MediaPad M5」は8.4インチと10.8インチの2モデルを展開。「M5 Pro」は筆圧感知のスタイラスペンをサポートする

 

「2月24日には、ヨドバシカメラにて初のHUAWEIショップを開設いたしました。こちらのショップでは、パソコン、タブレット、スマートウフォン、Wi-Fiルーター、さらにウェアラブル製品が展示されます」

 

――ショップの出店についてはいつ頃から計画がありましたか?

「2016年の下期、確か8月ごろだったと思いますが、そのころから出店計画がスタートしていました。当時は出店するにあたって、ROIを試算したのですが、その結果がなかなか満足する数値にはならなかったんです。候補地としては、銀座の八丁目に100平米くらいのお店が上がっていました。ほかには、表参道の原宿との大きな十字路で、いまはアディダスがはいったところも候補でした。

 

しかし、そういった場所に出店すると、大きな赤字になってしまうことがわかったので、“出店するために出店する”のではなく、しっかりとした目的意識を持つことが重要だという考えに至りました。

 

今回、ヨドバシカメラのマルチメディアAkibaへ出店することになりましたが、いい機会になりました。もちろん今後新しく出店する際も、ROIを基準としていくことに変わりはありません。弊社としては、性急に大量のショップを展開して、最終的に採算が合わなくなる局面を避けたいと思っています。中国や日本以外の話ですが、他の中国メーカーで、一気に店舗を開設して、同年末に大量に店舗を閉鎖したところがありました。こういったことになるとブランディングという意味では失敗だと考えています」

 

―― MateBook X Proは競争力がある商品だと思いますが、どういう人に売っていきたいですか?

「今回のMateBook X Proでは、初めて本格的なPC市場に入り込んでいくと考えています。

 

MWCでも、たくさんの日本人のお客様を迎えたのですが、ご覧になったお客様たちの多くから、“自分も一台欲しい”という言葉を頂いています。各部材も選りすぐりのものを使っていますので、ぜひ“そろそろパソコンを買い換えたい”という人たちに手に取ってもらいたいです。

 

実はこのPC市場に参入して2年経ちますが、弊社はいままで保守的な販売戦略を取ってきました。まずはPC業界の関連企業――例えば、ディストリビューターや、リテーラー、サービスプロバイダーなど――との関係づくりに努めてきました。ここから徐々により市場にマッチした製品を提供していきたいと考えています。ですので、弊社のPC製品に関しては、短期間でどのくらいのシェアを取りたいとか、どのくらいの台数を売りたいとか、そういった目標を達成する段階ではないと認識しています。しばらくは様子を見ながら、販売戦略を決めていきたいと思います」

 

――2年間PCを投入してきて、手応えはどう?

「そうですね。過去2年間にわたり、業者およびユーザーから非常に良いフィードバックを頂いています。PC製品に対して、日本の消費者の皆さんからSNSに上がってきた意見などは、弊社の方で集めて、次世代にしっかり反映されるようにしています。

 

先ほど申し上げた通り、数値目標は定めていないのですが、自分なりに日本のPC市場について、いろいろ理解はしてきています。特徴的なのは、2つの“60%”という数値です。1つ目は15インチ以上のPCが全体の60%を占めているということ。そして、2つ目は全体の60%がBtoBの販路を通して販売されているということです。

 

しかし、弊社はいまでも14インチ以下の商品を集中して出していますし、BtoCの市場に注力しています。ですので、今後シェアを上げていくためには、どうしても主流となる15インチ以上のもの、そしてBtoB販路のものに寄せていかないといけないでしょう。とは言え、今の段階では、消費者のニーズの理解、そして業界との関係づくりに専念していきたいと思っています。

 

ちなみに、販売台数に関して言いますと、2017年の1月と比べた場合、30倍くらいに増えました。ですので、まずやるべきこと――例えば、ちゃんとした製品作り、販路の構築、企業との関係作り――を行って、そして口コミが着実に増えていくようにしておけば、自然と販売台数が増えていくのだと思っています」

 

――2 in 1パソコンとタブレット、今後どちらを重視していきますか?

「2 in 1というスタイルは、将来的に欠かせないものだと思っています。これはAndroidでもタブレットでも共通することです。既に展開している製品シリーズを、途絶えさせることは考えていません。2 in 1については、最も消費者の使用習慣にふさわしいものを探っていきたいと思っています。

 

こうした製品に関しては2つの用途があると考えています。1つは仕事用途、1つはエンタメ用途です。ですので、今後もこの2つの用途を中心に製品を展開していきます」

 

――「MediaPad M5」シリーズは2サイズを展開しますが、日本ではどちらにニーズがあると考えていますか?

「やはり、買う人と使う人によって決まると思いますね。実は、いまタブレットを購入しているエンドユーザーには“スマホを使っていない人”が多いことが分かっています。実際、フィーチャーフォンのユーザーが、Androidタブレットを自身にとっての初めてのスマート端末として購入されることが多くいらっしゃいます。

 

タブレットを買う消費者は50歳以上の人が多くて、ここはたまたまフィーチャーフォンを使っているユーザー層でもあります。この方たちは、タブレットをスマートフォンみたいに使われます。例えば、公園に行くと、こうしたユーザー層の方々が、タブレットをスマホの代わりにして写真を撮る光景を目にするでしょう。

 

こうした傾向とニーズを把握して、そのニーズにあったタブレットを弊社から出してきました。弊社のタブレットはiPadよりもカメラ機能が優れていると自負しています。こうしたことによって、日本市場に認めていただき、早いスピードで受け入れられてきたのだと思っています」

 

――Pシリーズの最新機「P20」の予告がありましたが、現行の「P10」ではどういう反響がありましたか?

「P10シリーズを昨年6月に発売して以来、その売れ行きは我々の予想を上回りました。販売数量に限らず、顧客満足度や人気度が多くのランキングで上位に入っています。中でも“P10 lite”が一番よく売れています。発売してから8か月が立ちましたが、今年に入ってから第二の盛況を迎えていて、最後のピークに達していると考えています。

 

Pシリーズが日本でこうした実績を出せたことは、われわれとしても非常に満足しています。ですので、今後も同シリーズについては、継続的に後継機種を展開していきたいと考えています。おかげさまで“~lite”というブランドが、代表的なセグメントとして普及してきて、他社様の製品にも“~lite”という名前を見かけるようになりました」

 

――「P20」シリーズも日本で発売されると期待していいですか?

「はい、必ず日本で発売します。第一次の販売国に含まれています」

 

↑バルセロナで見かけた「P20/P20 Pro」の広告

 

筆者が、MWC2018が開催されたバルセロナの街中を歩いている間にも、P20/P20 Proを予告する広告を各所で頻繁に見かけました。こちらは3月18日に改めて発表される予定。近い未来、ノートパソコン、タブレットと合わせて、日本で話題になりそう