では、そのプロスペックとやらの描き味はいかに?
筆者は長年のWacomの板タブ(液晶がついていないペンタブレット)ユーザーでして、いつかは液晶タブレットに移行したいと考えていました。しかし、初代Cintiqが発売された当時、試し書きしたところ、とても動作がモッサリしており、描くペン先に描画が追いついてこないのです。ペン先が通り過ぎた後、送れて線が描画されるといった動作で、とても紙に描いている感覚とは言えませんでした。また、描いた線がペン先とズレて描画されてしまう、俗にいう「視差」と言うヤツにも残念な気持ちに。そんなこともあり、現在でも板タブを使用しております。
では、進化を果たしたという今回の新型Cintiqはどうでしょうか。
まず、前述の「視差」はほぼナシと考えてOKです。これは、精密なイラストを描いたり、3DCGのデザイナーにはウエルカムな性能でしょう。次に、描画の遅延ですが多少あるものの初代に比べれば大幅に改善されていると感じました。初めて液晶タブレットを使う人には、多少違和感があるかもしれませんが、従来のCintiqユーザーであれば十分許容できるレベルに達したと言えます。
肝心の描き味ですが、標準のペン先は多少スベる気がします。最も、一日中ペンを握って描く職種の人にとっては、これぐらいのスベリのほうが疲労が低減するかもしれません。一方、フェルトペン先は、紙にサインペンで書いている感覚という先入観があったのですが、それほどひっかりもなく、こちらもスベリが良い感触。例えるなら、ホワイトボードにマーカーで描く感触に似ていると感じました。可能であれば、もう一段階、引っかかりが強めなペン先があると幅広いニーズに対応できると思います。
しかし、今回の新型Cintiq Proですが正直欲しくなりました。特に32インチモデルは、眼前一杯に広がるキャンバスのようで、素人な筆者でもプロ気分が味わえます。ただし、これをデスクに置いてしまうと、他の仕事ができなくなるので、イラスト専用のデスクを用意するか、Wacom Ergo Standのリリース待ちと言ったところでしょうか。ま、高額なので買えないんですけどね!