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2018/3/17 17:00

初代から雲泥の進化を遂げた、ワコムの新型液晶タブレット「Cintiq Pro」予約開始直前レビュー!

ワコムは同社の液晶タブレット「Cintiq」シリーズの最新モデル2機種と、液晶タブレットがPC不要で単独起動できるユニット「Wacom Ciniq Pro Engine」を発表しました。まもなく予約が開始するとのことで、実機レポートを行いたいと思います。

 

大画面にペンでそのまま描ける液晶タブレット

今回発表されたモデルは23.6型モニター搭載の「Wacom Cintiq Pro 24」と32型モニター搭載の「Wacom Cintiq Pro 27」の2モデルです。

↑「Wacom Cintiq Pro 24」

 

Cintiq Pro 24は解像度が4K(3840×2160ドット)の24インチモニターを搭載した高精細液晶ペンタブレットで、ハードウェアキャリブレーション(モニターの色味を調節する機能)にも対応した、まさにプロ仕様。ワコムと言えば、ハリウッドを始め、世界中のクリエイターがプロの現場で使用されているほど支持を得ているペンタブレットメーカーです。Cintiq  Pro 24もそんなクリエイターのニーズに応えたモデルと言えるでしょう。

 

Cintiq Pro 24には、「Wacom Pro Pen 2」によるペン入力に対応した「ペンモデル」とタッチ操作も可能な「ペン&タッチモデル」の2つのバリエーションがあり、直販価格はそれぞれ25万7040円(税込)と31万1040円(税込)となっております。双方とも3月20日から予約開始、3月29日発売予定。

 

また、32型の4Kモニター搭載の「Wacom Cintiq Pro 32」も年内には発売予定であることが明かされました。

 

↑「Wacom Cintiq Pro 32」

 

Cintiq Pro 24、32の双方に共通する特徴として、4Kの高精細なモニターに特殊なアンチグレア加工を施し、周囲の映り込みやペンの描き味などを紙に近づけています。また、8192段階の筆圧や、ペン先の位置と描画位置のズレ(遅延)を軽減させることに成功。最前線で活躍するプロのニーズに応えた仕様となっています。

 

↑サイドにはUSB3.0ポートも搭載

 

↑「Wacom Pro Pen 2」。ペン先は標準とフェルトの2種類

 

↑タッチホイールを搭載した「Express Key Remote」。ワイヤレス仕様なので左右どちらにも配置可能で利き腕を問わない

 

ドッキングさせるだけで液タブがパソコンと化す「Wacom Cintiq Pro Engine」

 

Cintiq Pro 24/32の背面には、今回新発売されるPCモジュール「Wacom Cintiq Pro Engine」をドッキングさせることが可能なスロットが搭載されています。通常、液晶タブレットはパソコンに接続して使いますが、Cintiq Pro Engineは、CPUやメモリを搭載したパソコンの本体のようなもので、これをCintiq Proにドッキングさせることで、液タブがオールインパソコンとして単独で動作するようになります。

 

Cintiq Pro EngineはCPUにIntel Core i5HQを搭載したモデルと、Intel XEONを搭載したモデルの2ラインナップ。直販価格は、Core i5HQモデルが31万1040円(税込)で、XEONモデルが39万7440円となっており、3月20日から予約が開始され、発売は3月29日の予定となっています。

 

 

↑Cintiq Proの背面にはこのようなスロットが……

 

↑ココにCintiq Pro Engineをドッキングさせます

 

また、液タブの高さや角度の調節が可能な「Wacom Ergo Stand」の発売も予定されています。このスタンドは、液タブをパソコンモニターとして使うときなどは立てたり、回転させて使用することも可能で、まさにスケッチブックやマンガの原稿用紙を回して作画するニーズにピッタリなスタンドとなっています。

 


↑「Wacom Ergo Stand」、発売日や価格などの詳細は未定

 

では、そのプロスペックとやらの描き味はいかに?

筆者は長年のWacomの板タブ(液晶がついていないペンタブレット)ユーザーでして、いつかは液晶タブレットに移行したいと考えていました。しかし、初代Cintiqが発売された当時、試し書きしたところ、とても動作がモッサリしており、描くペン先に描画が追いついてこないのです。ペン先が通り過ぎた後、送れて線が描画されるといった動作で、とても紙に描いている感覚とは言えませんでした。また、描いた線がペン先とズレて描画されてしまう、俗にいう「視差」と言うヤツにも残念な気持ちに。そんなこともあり、現在でも板タブを使用しております。

 

では、進化を果たしたという今回の新型Cintiqはどうでしょうか。

 

↑ペン入力デバイスのデモ機には必ずラクガキを描き逃げする筆者

 

まず、前述の「視差」はほぼナシと考えてOKです。これは、精密なイラストを描いたり、3DCGのデザイナーにはウエルカムな性能でしょう。次に、描画の遅延ですが多少あるものの初代に比べれば大幅に改善されていると感じました。初めて液晶タブレットを使う人には、多少違和感があるかもしれませんが、従来のCintiqユーザーであれば十分許容できるレベルに達したと言えます。

 

肝心の描き味ですが、標準のペン先は多少スベる気がします。最も、一日中ペンを握って描く職種の人にとっては、これぐらいのスベリのほうが疲労が低減するかもしれません。一方、フェルトペン先は、紙にサインペンで書いている感覚という先入観があったのですが、それほどひっかりもなく、こちらもスベリが良い感触。例えるなら、ホワイトボードにマーカーで描く感触に似ていると感じました。可能であれば、もう一段階、引っかかりが強めなペン先があると幅広いニーズに対応できると思います。

 

しかし、今回の新型Cintiq Proですが正直欲しくなりました。特に32インチモデルは、眼前一杯に広がるキャンバスのようで、素人な筆者でもプロ気分が味わえます。ただし、これをデスクに置いてしまうと、他の仕事ができなくなるので、イラスト専用のデスクを用意するか、Wacom Ergo Standのリリース待ちと言ったところでしょうか。ま、高額なので買えないんですけどね!

 

↑ゲットナビ非公式キャラクター「ナビ夫」