デジタル
スマートフォン
2018/3/19 19:45

スマホのAIって何ができるの?LG「V30S ThinQ」からトレンドの一端を探る

AI関連機能はカメラと音声コマンド

さて、V30S ThinQでは、AI関連機能が追加されている。カメラアプリと「OK Google」を起点とする音声コマンドの2種類だ。カメラアプリに関連するAI機能には、「QLens」と「AI CAM」の2つがある。

 

↑「QLens」で被写体を画像検索

 

まず「QLens」は、被写体をカメラで認識し、インターネット上で画像検索する機能だ。主に「ビジュアルショッピング」「ビジョンサーチ」という2つの機能が重要になる。前者では、「Amazon.co.jp」などと連携し、オンラインショッピングが行える。後者では「Pinterest」などと連携し、画像検索が可能だ。

 

こうした画像検索機能は、Googleの画像検索などでは既に広く認知されているが、最近はスマホのカメラで撮影してそこから直接検索できるようになってきている。例えば、GoogleがPixelに限定して提供していた「Google Lens」は、Android端末向けに公開される(英語限定?)という話も出てきている。

 

また、サムスン電子のGalaxyシリーズでは「Bixby(ビクスビー)」というAI関連機能が既に搭載されている。こちらはカメラで読み込んだ画像を翻訳できる「Google翻訳」的な機能も新搭載すると発表しており、LGよりも先行して開発が進んでいる印象だ。

 

一方の「AI CAM」は、被写体を8つのカテゴリで認識し、最適なパラメータを自動で適用するというもの。HUAWEIの端末などにも、既にAIを活用した類似機能を搭載した端末が登場している。利用者側の感覚でいうと、デジタルカメラでいう「おまかせモード」のような撮影機能に近い。しかし、そもそもスマホは「おまかせ」で撮るのが基本だ。シーンをオートで認識する機能自体にユーザーが新鮮味を感じることはないだろう。

 

とは言え、AI CAMについては、画面上に映し出されるオブジェクトに対し、リアルタイムに認識した文字を表示する工夫が施されており、これがユニークでもある。「人」や「建物」「飲み物」など、被写体をリアルタイムに認識していると分かるので、「なるほど、いまAIが頑張ってくれているのか」、と利用者は想像しやすい。利便性の面でメリットがあるかどうかは分からないが、カメラを色んな被写体に向けて見たくなる楽しさがあった。

 

ちなみに、AIの名を冠したカメラ機能としては、ASUSのZenFoneシリーズが搭載を予告している「AIフォトラーニング」などもある。これは、好みの補正具合を学習するというもの。ユーザーの選択が蓄積されることで、利便性が向上するタイプの機能だ。今後こうした機能を搭載する機種が、続々と現れるのではないかと予想できる。

 

 

音声コマンドは「OK Google」を起点に

V30S ThinQの話に戻ろう。音声コマンドについては、Googleアシスタントと密に連携をとり、LG製の家電などを操作できる機能が追加された。「ThinQ」との連携はここで行われるようだ。

 

例えば、OK Googleを基点に、「エアコンをつけて」「オーブンの状態は?」など、直接的な操作コマンドが利用可能となる。LG家電との連携操作も実行でき、「OK Google, Ask LG to search stretching video on USB on TV.(意:オーケーグーグル、LGにテレビのUSBからストレッチのビデオを探して)」といった言い回しも使える。

 

↑MWC会場で実施されていたプレゼンテーションの様子

 

残念なのは、「LG ThinQ」が、まだ発表されてから日が浅く、まだ詳細が明らかになっていないということだ。特に日本のように対応家電が普及していない国もある。まずは韓国内での対応が優先される段階である。とは言え、家電メーカーとして強いボックボーンを持つLGだからこそ、こうしたAI連携の開発はアピールすべきポイントであることも理解できる。

 

家電連携の分野では、「Google Home」を始めとするスマートスピーカー勢も無視できないが、LGとしては「スピーカーよりもスマホのほうがよりパーソナルなデバイスである」と考えている。スマホのAI関連機能を強化することで、将来的により活用しやすい家電連携のプラットフォームを構築していく狙いだ。この点は、家電を取り扱うスマホメーカー各社の戦略に共通する部分だろう。

 

↑音声コマンドでスマホと連携できる家電は、今後もじわじわと増えるだろう

 

「AI(人工知能)」「機械学習」などのキーワードを聴くと、まるでSF作品に登場するような大それた機能を想像してしまう。しかし、カメラの例のように、実際にはインターネットブラウザやアプリなど、ほかのツールを通じて今まででも実行できる機能が多いことが分かる。それをスマホに標準搭載し、素早く行えるようにしていくのが、現状のスマホに搭載されるAI機能の実態だ。今後もこうした機能が増えていくと思うが、我々も身構えずに使っていけば、すぐに当たり前の機能として自然と受け入れられるはずだ。

  1. 1
  2. 2