デジタル
2018/5/2 17:00

電卓はスマホに食われるか? 名作とともに振り返るカシオが考える「電卓の未来」

「誰にどう使ってもらうか」にこだわり抜いた多彩なカシオの電卓

――今日まで紆余曲折や時代ごとの挑戦があり、複合機、関数計算にも派生していったカシオの電卓ですが、現在の電卓にはどんなラインナップがありますか?

 

一般企業の経理、財務、簿記や金融機関をはじめとするプロのニーズを追求した電卓から、画面の角度を自由に調節できるチルト画面を採用したタイプ、個人のセンスで好きなボディカラーを選べるカラフル電卓など様々です。いずれも、買い替え需要を考慮してキー配置の大幅な変化は行わずに、細部にこだわって進化させています。

 

弊社は「誰にどう使っていただく電卓か」「誰がどの場面で使う電卓なのか」ということには徹底的にこだわり続けてきたメーカーだと自負しています。「売れている要素と、別の何かを兼ね備えさせれば良い」という考えではなく、あくまでも使う方にどういったメリットがあるかを重視して開発しています。特に経理や簿記など電卓のプロとも言える方のニーズに応える実務電卓の開発にあたっては、従来製品から継承するべき点と、進化させる点を明確にした上で、新製品開発にあたる必要があります。

 

――実務電卓の定番というと、どのモデルになりますか?

 

1983年から現在まで、モデルチェンジを繰り返しながら販売し続けているJS-20シリーズは、桁下げ、四捨五入などの実務に役立つ計算機能を初号機から一貫して搭載していて、まさに定番シリーズと言えます。太陽電池が遮られた際には内蔵電池がバックアップする機能、使い込んでも数字が消えない2色成型樹脂キー、指の動きを考えたキー形状の最適化、操作音をできるだけ抑えたキー、早打ち対応など、モデルチェンジを行いながら細部を進化させてきました。

 

2004年からは、桁数やサイズの異なる機種も含めて、これらの条件を全て満たした電卓を「本格実務電卓」と命名し、同年発売のJS-20WKはその一員となりました。

 

2015年には、本格実務電卓とは別の新シリーズをたちあげました。新シリーズは、従来機種の継承にこだわらない新デザインへのチャレンジを出発点に「電卓としての正当進化」を追求し、プレミアム電卓S100として発売しました。本格実務電卓がプロの方からご支持いただいている一方、プレミアム電卓は贈答用としても好評を博しております。

↑1983年発売の「JS-20」。カシオの実務電卓としてソーラーパワーを初採用したモデルで、その実務性によって信頼を獲得し、今日まで続く「JS-20」シリーズの源流となりました
↑「JS-20」をさらに進化させ本格実務電卓と位置づけた、2004年発売の「JS-20WK」

 

↑2015年には「JS-20」シリーズで培った実務電卓の要素を昇華させ、アルミ削りだしボディの採用など高い質感やデザイン性を追求したプレミアム電卓「S100」を発売。高価格でありながら、高い質感で人気を得ています

 

↑定番「JS-20」シリーズ用の皮ケースも登場。こちらは、本年4月24日に発売されました

 

 

ワリカン計算機の需要は減ったものの、根強い電卓支持の理由とは?

――どれだけスマートフォンで様々なことが出来ると言っても、やはり電卓は電卓として持っておきたい人が圧倒的に多いと思います。この理由はなんだと思いますか?

 

前編でお話した薄型、小型で発売したカードサイズの電卓というのは、わかりやすい用途例で言うと、「ワリカン計算」などで使われていたと思います。財布の中に入れておいて、飲食をした後に取り出して皆さんでワリカンの計算をする……というような。こういったケースではもちろん、スマートフォンで出来ますし、これくらいの機能でしたら、ガラケーの時代から電話にありましたよね。

 

ワリカン用として電卓を携帯するケースはレアになりましたが、これまで申したプロユースの分野、教育の分野においては、やはり電卓の需要はまだまだ強いですし、特に教育分野は今後も伸長の余地があると見ています。

 

世界的には、まだ関数電卓ご活用いただいていないエリアもありますので、こういったところを視野に、現場の方々の声を密にお聞きしながら、今後もより一層、電卓開発に力を注いでいきたいと考えています。

 

↑これら電卓の深く、アツい歴史は、ここ樫尾俊雄発明記念館で、実際に見学することができます

 

リレー式計算機からスタートし、電卓戦争を経て、今日まで電卓市場をリードし続けるカシオ計算機。足早ではありましたが、その深い歴史、本当に学びになりました。読んでくださった方が今使っている電卓に対する思いもまた変わるかも?

 

 

撮影/我妻慶一

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