もしClovaが好きなキャラクターの声で反応してくれたら?
舛田氏は「これからClovaのここを強くしたい」ポイントとして、「音声認識・キャラクター・スキル」の3つを掲げました。スマートスピーカーは呼びかけてもいないのに起動すると、なんだかシラけてしまうどころか不気味ですよね。そんな誤反応が起きないように、音声認識のチューンアップを地道に鍛えてきて、現在は「ウェイクワードの誤認識率が発売時から1/3程度に減っています」と舛田氏は胸を張ります。スマートスピーカーでClovaを起動するときに声をかけるウェイクワードは「クローバ」のほかに「ねえ、クローバ」も追加されています。
LINEではClovaに「キャラクター性」を持たせていくことで、AIアシスタントに対する親しみやすさを高めていくことも戦略のひとつとしています。なぜかといえば「シンプルで無機質、画一的なAIアシスタントがキャラクター性を持てば、よりユーザーの生活に溶け込めるから」だと舛田氏が考えを説いています。
6月にはClova Friends miniのドラえもんコラボモデルが数量限定で発売されて、速攻で売り切れたことがLINEの仮説を証明しています。反響に気を良くしたのか、秋には「ミニオンズ」とのコラボモデルも追加されるそうです。舛田氏はこれからもキャラクターとのコラボ販売は積極的にやっていきたいとしています。
AIアシスタントやスマートスピーカーをキャラクター化できる要素は外観だけではありません。LINEが目をつけたのはAIアシスタントの「声」でした。「もし将来、好きなアイドルや声優、恋人や家族の声がスマートスピーカーにセットできたら愛着が湧いてきませんか?」という舛田氏の問いかけに、筆者も妙に納得させられました。もし自分が好きな声優の潘めぐみや桑島法子の声で話しかけてくれるスマートスピーカーがあったら迷わず買います。
Clovaの声はプロの声優を起用して、生声からの音声合成により膨大な声のデータベースを数百時間以上をかけて制作したそうです。毎度そんな手間がかかるようでは、もう他の声優を使って1から作り直してもきっとビジネス的にも割が合いません。そこでLINEは最新の「DNN TTS(ディープ・ニューラル・ネットワーク テキストtoスピーチ)」という技術を使って、夢を実現しようとしています。
簡単に言うと、今あるClovaに“声まね”をしてもらうための音声合成技術なのだとか。
その成果は、舛田氏が自分の声から「DNN TS」の技術を使って作ったという「マスダ・クローバ(仮称)」のデモンストレーションを撮影した動画をぜひ見て下さい。
AIアシスタントの「声で遊べる」ようになったらと思うと筆者もワクワクしてきました。スマートスピーカーがいよいよブレイクする引き金になると思います。