「ある時に、当社のエンジニアが自分の席でぼんやりとPCのモニターを眺めていたことがあって、声を掛けてみました。すると『いま“ビルド”の時間に時間を取られているのだ」という答えが返ってきました。ビルドとは、エンジニアがプロブラミングしたソースコードをコンパイルした後から、最終的に実行可能なファイル形式にまで落とし込む作業のことです。ハイスペックなマシンを導入することでビルドにかかる時間が短縮できて、エンジニアたちの作業効率も上がるのであれば、iMac Proの導入は十分に費用対効果があると判断しました」と竹内氏。
ビルドが完了したソフトウェアをユーザーの実環境に近い“たたき台”にして、エンジニアやデザイナーはバグのチェックや改善点を見つけるための動作確認を行います。ところがここでも、例えばたった1文字を直すだけの小さなプログラム修正箇所が見つかると「ソースコードを直して>ビルドして>テストする」という作業の繰り返しが発生します。その1件ずつが数十秒~数分単位の作業だったとしても、毎日・1年間と積み重なってくればスタッフの作業を妨げる要因になることは明白です。
竹内氏は、思い切ってiMac Proを導入したところ、以前の作業環境と比べてビルドのための待機時間短縮に大幅な違いが現れたと強調しています。例えば同社プロダクトのひとつである「ビズリーチ・サクシード」のWebフロントのクリーンビルドでは、待機時間が100秒から15秒に、つまり約6.7倍も短くなったそうです。ほかにも「キャリトレ」のプラットフォームに公開するために、長さ約3分間の1080/60p画質の動画をレンダリング/エクスポートするために必要なアイドルタイムが、およそ3時間から10分へ劇的な“時短”を達成したというから驚きです。
「近頃はエンジニアやデザイナーなど技術職の優秀な人材を確保することが難しくなっています。ヒューマン・リソースが入れ替え可能であるという昔ながらの考え方が、今はもう通用する時代ではありません。自社に在籍する大事な人材を育てて、個人の能力を最大限に引き出せる環境を整えることが会社に求められています。これを実現することはまた企業経営の成功にもつながっていると考えます。当社は今回、iMac Proを一斉導入するために合計2億円前後になる投資を行いました。その負担は絶えず新たな人材を確保するための人的投資に比べれば軽微であると判断しました。」