「若者のFacebook離れ」、空港にいるアピールをする「エアポート投稿Facebookおじさん」、「InstagramはもはやおばさんのSNS」など、SNSは日々、若く感度の高い人々によって移り変わりが起きています。
めまぐるしく流行は変わっていきますが、実はいま知っておくと「おっ!」と思われるSNSは、たったひとつの特徴をおさえておくだけで把握できます。
人気急上昇のリップシンク動画SNS「Tik Tok」
10代を中心に今もっとも注目を集めているSNSが「Tik Tok(ティックトック)」。最長15秒の動画を投稿できるサービスで、楽曲に合わせて口パクを行う「リップシンク動画」SNSです。
Tik Tokを起動すると、いきなり動画の再生が始まります。音楽に合わせて口パクしたり、ダンスをしたりしている様子が、画面を上にフリックするだけで次々に閲覧できます。動画は自動的にループする方式で、早送りやスローなどの演出を簡単に入れられます。顔には動物の耳などをあしらったフィルターや美顔効果を施すこともできます。
リップシンク動画といえば、2014年にスタートした「musical.ly」をご存じでしょうか。アメリカのティーンエイジャーを中心に爆発的な人気があり、日本でも女子高生を中心に流行っていたのです。2016年にサービスを開始したTik Tokは後発にあたるのですが、2017年Bytedanceにより買収され、今後2つのサービスは統合されていく予定です。
調査データを見ていきましょう。GMOメディアが運営する「プリキャンティーンズラボ」が2018年5月に発表した「女子中高生と動画サービスに関する調査」によると、「動画を視聴したことのあるSNS」として、中学生の46.8%、高校生の25.5%がTik Tokを挙げています。これは、LINEのタイムライン、Twitter、Instagramに次いで第4位の割合です。
Tik Tokでは、流行っている曲とダンスを「やってみた」感じで投稿されていることが多く、自宅や学校などで気軽にチャレンジしている様子が見受けられます。撮影した動画には、その名前をハッシュタグで付けます。2018年7月現在で流行している「#いい波乗ってんね~」は、ファッキングラビッツの「イイ波のってん☆Night」という楽曲のサビの部分に合わせて手を波のようにゆらゆらと動かすダンスです。その派生で生まれた「#いいアゴ乗ってんね」など、少しずつアレンジをしてオリジナル性を出すことで「いいね」が集められています。
10代ばかりが出演しているかと思いきや、そのお母さんやおじいちゃんが登場して一緒に踊っていることもあります。短いダンスですぐ覚えられること、基本的には真似すればいいという手軽さが投稿のハードルを下げているのでしょう。SNSは人気が高くなると若者以外のユーザーへ浸透していくのですが、まさにその過渡期にさしかかっている印象です。
さらに、芸能人の投稿も増え始め、流行りのダンスに楽しく挑戦している姿を見ることができます。短い音楽に合わせたダンスは、以前流行ったパラパラダンスなどを思い起こさせるのですが、「ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー」で有名な「あやまんJAPAN」もTik Tokへ投稿していました。
双子ダンスを生み出した日本発の動画コミュニティ「MixChannel」
「MixChannel」は、ミクチャと呼ばれる動画SNSです。そっくりな服装で同じ振り付けをする「双子ダンス」や、お祝い用オリジナル動画の作成など、様々なカルチャーを生み出しています。
MixChannnelの動画は10秒。Tik Tok同様、「いい波乗ってんね~」などのリップシンク動画も多数投稿されています。「ムービー」カテゴリは「顔出し」、「おもしろ」、「ツインズ」などジャンルに分かれていて、プリクラやSNOWの写真を音楽と歌詞付きで動画にしているパターンが多く見られます。最近では、ライブ配信にも力を入れており、人気の「ライバー」には「ファン」が付き、ポイントの交換でレベルが上がる仕組みになっています。
いち早くショートムービーに目を付けた「Instagram」
「インスタ映え」ですっかり有名になった「Instagram」は、画像から動画のSNSへと進化しています。2016年にスタートしたInstagramのショートムービー機能「ストーリー」は、24時間で自動消滅する気軽さ、そして顔に動物のフィルターを施せるなど、写真共有アプリ「Snapchat」で人気の機能をサポートしました。その後、Snapchatのユーザー数を超え、現在では世界におけるDAU(一日あたりのアクティブユーザー数)が4億人と、快進撃を続けています。
国内でも、芸能人の渡辺直美さんを初めとし、積極的に活用されています。取材で会う女子高生たちも「わざわざ盛らなくてもいいし、写真を投稿してもそのうち消えるから便利。コメントからそのままメッセージを交わせるのもいい」と、写真共有とは異なる新たな使い方をしているようです。前述の「女子中高生と動画サービスに関する調査」でも、「最も頻繁に動画を投稿するSNS」として、高校生の41.7%、中学生の21.2%がInstagramを挙げています。
また、Instagramは2018年6月に新たなサービス「IGTV」をリリースしました。もともと投稿では1分、ストーリーでは15秒という時間制限がありましたが、IGTVは最大60分の動画を共有できます。つまり、YouTubeの対抗となり得るわけです。
とはいえ、検索して動画を見るのではなく、フォローしているユーザーが投稿したムービーをスワイプして次々に見ていく点は、ショートムービーアプリの使い勝手と同じです。10代はYouTubeが大好きで、音楽やメイク動画、ゲーム実況などを見ていますが、YouTubeほどの長い動画となると投稿ではなく閲覧がメインになります。IGTVはどう受け入れられていくのか、これからが楽しみですね。