デジタル
2018/9/6 20:00

手のひらにプリンターを。「iNSPiC」で撮って、印刷して、貼ってみた。

キヤノンから、スマホ写真を手軽に印刷できるモバイルプリンター「iNSPiC PV-123」が新たに登場した。同社の小型プリンターといえば、これまでに「SELPHY」シリーズが発売されているが、今回の製品は主に女性や若年層をターゲットに、より軽量コンパクトで、いっそうカジュアルな用途を想定したモデルになっている。どんなふうに使ってどんなプリントができるのか、さっそく試してみた。

↑スマホ専用ミニフォトプリンター「iNSPiC PV-123」。実売価格は1万7150円。写真のブルーのほか、ピンクとゴールドのカラーバリエーションが用意されている

 

手軽に持ち運べる薄型軽量ボディ

まずはiNSPiC PV-123の基本スペックを確認しておこう。外形寸法は縦118×横82×高さ19mmで、バッテリー込みの重量は160g。手のひらに収まるくらい小さくて薄く、持ち運びの負担は少ない。

↑気軽に持ち運べるサイズと重量。パーティやイベントの盛り上げグッズとしてもうってつけだ

 

バッテリーは内蔵式のリチウムイオン充電池。インターフェースにはBluetooth 4.0を搭載。使用する際は、スマホとBluetooth接続し、専用アプリ「Canon Mini Print」を使って印刷を行う。1つ注意すべきなのは、カメラやPCとの接続はできず、スマホ専用になっている点だ。一眼レフやミラーレスカメラを使う写真愛好家向けというよりは、主にスマホのカメラで写真を楽しむライトユーザー向けと考えていいだろう。

 

筆者の場合、ふだんはスマホよりもデジタルカメラで撮ることが多いので、最初はスマホ専用という仕様に少々物足りなさを覚えた。ただよくよく考えてみれば、最近のカメラはスマホへの無線接続が当たり前なので、実用上の問題はあまりないだろう。特に今回使ったEOS Kiss Mは、撮影と並行して写真をスマホに自動転送できるので、撮影から転送、印刷までがスムーズに行えた。

↑キヤノン製品では、「EOS Kiss M」のほか「PowerShot SX740 HS」などがスマホへの自動転送に対応。他社製品の場合でも、スマホやタブレットに自動または手動で写真をコピーできるなら、iNSPiC PV-123で印刷が楽しめるだろう

 

また、スマホに保存した写真だけでなく、FacebookやInstagram、Google Drive、Dropboxから写真を読み込むことも可能だ。

シンプルな見ためどおりの簡単操作

プリント方式には、ZINK社のZero Ink Technologyを採用。インクカートリッジは使わず、シアン/マゼンタ/イエローのインクが配合された専用の感熱紙を使用し、そこに熱を加えることで色を作り出す仕組みだ。用紙は防水性のある光沢仕上げで、用紙サイズは5×7.6cmとなる。

↑キヤノン用ZINKフォトペーパーは、20枚入り(実売価格972円)と50枚入り(実売価格2320円)を用意。全面フチなしの光沢カラープリントに仕上げられる

 

↑本体側面に電源ボタンを搭載。ほかにボタン類は特にないシンプルな構造であり、操作はすべてアプリから行う

 

↑ストラップホールの横に、バッテリー充電用のマイクロUSB端子を装備。フル充電での印刷可能枚数は20枚

 

↑用紙をセットする際は、まず本体カバーをスライドして取り外す

 

↑用紙のパッケージには、用紙のほかのブルーシートが1枚入っているので、それを用紙の下に置いてセットする。そして本体の電源を入れるとブルーシートが読み取られ、キヤノンiNSPiCに最適化された色で印刷できるようになる

 

↑スマホアプリ「Canon Mini Print」から写真を選び、印刷を開始すると、最短約50秒でプリントが出力される

 

公称の印刷時間は1枚約50秒とやや長め。実測でも最短50秒で印刷できたが、写真の絵柄によっては100秒程度かかる場合もあった。焦らずのんびりと待つのがいい。1枚ずつではなく、異なる複数の写真をまとめて印刷することも可能だ。

 

光沢感のある仕上がりが魅力! アプリを使って加工もラクラク

プリントは、色鮮やかで光沢感のある仕上がりが得られた。特に明るい屋外で撮影した写真は見栄えのいい色に仕上がった。室内や夜間などの光量が乏しい場所で撮った写真は暗部がつぶれやすいので注意したい。印刷アプリCanon Mini Printの機能を使って明るめに補正してから出力するのもいいだろう。

 

本製品の見どころのひとつは、アプリを使って写真にさまざまな補正や加工を適用できること。具体的には、明るさ補正のほか、コントラストやカラーバランスの調整、回転、反転、ペイントなどに対応する。文字やクリップアート、フレームを合成したり、多彩なフィルターを適用したりすることも可能だ。さらにカメラ機能があり、自撮りアプリ「SNOW」のように、顔のパーツをリアルタイムで補正したり、顔にイラストを重ねたりしながら撮影もできる。

↑Canon Mini Printを使って写真にクリップアートを合成してみた

 

↑用紙は、耐水性があって破れにくいうえに、裏面はシールになっている。手帳に貼ったり、スマホケースをデコったり、アイデア次第でいろいろと楽しめるだろう

 

使用感としては、非常に手軽かつ簡単であり、印刷のハードルが低く感じられた。インクジェットプリンターによる写真印刷とはまったく異なり、ゲームセンターにあるプリントシール機で遊ぶ感覚に近い。あるいは、ラベルライターの写真版といってもいい。スマホやカメラ、PCなどの画面表示だけで完結せず、撮った写真をプリントしてアナログ化することで、さらに撮ることが楽しくなる、そんなツールといえそうだ。

↑用紙サイズは小さいが、フチなし印刷ができることが特徴のひとつ。また、フチありやコラージュ印刷もできる