「週刊GetNavi」Vol.70-1
日本での人気爆発が期待される戦略モデル
8月28日に、日本マイクロソフトは「Surface Go」を発売する。本製品は、マイクロソフト「Surfaceシリーズ」の最新モデルであり、久々の低価格モデルでもある。同社は、今回の製品は、特に「日本で売れる」と期待している。他国では行わなかった発表会を日本でだけは行い、米本社からはエクゼクティブも来日した。それだけ力を入れているのだ。とはいえ、発売に関してはアメリカより3週間ほど遅く、若干待たされての投入となる。
Surface Goは「iPad Proキラー」とも言われている。10インチクラスのディスプレイを持っており、サイズも質量もほとんど同じ。どちらも専用キーボードを装着可能で、ペンも使える。価格帯も近い。日本ではマイクロソフト・オフィスがバンドルされるためにやや割高な印象を受けるが、少なくともアメリカの価格で比較すれば、「iPad Proキラー」の呼び声にふさわしいコストパフォーマンスを誇る。
そもそも、Surfaceというブランドは、ある意味で「タブレットキラー」として生まれた側面がある。iPadやAndroidタブレットが普及し始めた2012年10月、Windows 8とともに、「PCでありつつタブレットの価値を享受できる」製品として登場したのが、初代「Surface」だった。最初に出た、通称「Surface RT」はCPUにx86系を採用せず、一般的なPC用ソフトを使えなかったため不評だったが、2013年2月に発表された「Surface Pro」は、コンパクトかつお買い得なモバイルPCとして人気に。タブレットにもキーボード重視のPCにもなる「2 in 1」と呼ばれるジャンルの定着に大きな役割を果たした。
一方で、Surfaceはこだわった設計であるがゆえに「若干高価」という宿命も担っている。モバイルPCとしては価格相応なのだが、PCとして満足いく性能を求めると、どうしてもタブレット的な価格からは外れやすかった。「Pro」でない低価格路線の「Surface」は、他社から出ていた低価格PCとしての2 in 1と同様、どうしてもCPUやメモリで妥協せねばならず、性能的に満足できる製品になりづらかった。OSの構造が違うiPadやAndroidタブレットに比べ、Windowsを使っている時点で不利だったのだ。
だが、Surface Goは、性能面での不満がかなり解消されている。CPUが、低価格PCで使われることの多い「Atom」から、「Pentium Gold」になっているからだ。Pentium GoldはCore iシリーズほど速くはないが、Atomよりは「PC処理」に向くCPU速度面での不利が小さい。ラインナップ的には、メモリが8GB位モデルを強くおすすめするが、下位モデルも悪くない。PCして十分に完成度が高く、そのうえでiPad Proに適度なサイズ感とペン入力対応といったメリットもあるのが美点である。
ただし、PCにおける「タブレット化」の流れは鈍化傾向にある。それはどういう意味なのか? PC化するiPad Proとの競合はどうか? その点を次回のVol.70-2以降で解説する。
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