最近、店頭などでも見かけるようになった携帯型の翻訳機。その実力はいかほどなのかを検証するため、翻訳機「Langie(ランジー)」を携えて、インドネシアのコーヒースタンドに突撃しました。
インドネシアの首都ジャカルタは、まさに発展中の街並みが広がっています。巨大な高層ビルが立ち並ぶ華やかな表通りが印象的ですが、裏通りに一歩入ると、露店が立ち並び、昔ながらの下町といった趣。その通りを進んでいくとテラス席付きのコーヒースタンドが現れます。
いきなり相手に翻訳機を見せて注文しても戸惑わせると思い、まずは「この機械を使って注文してもいいですか?」と表示。相手にOKをもらってから、「コーヒーを1つください」と注文しました。
無事伝わった様子ですが、問題は価格が分からないこと。ここはシンプルに「いくらですか」と質問。紙に価格を書いてもらい、無事価格を知ることができました。ちなみに価格は一杯3000ルピア。日本円にして約23円。安い!
インドネシアでコーヒーは粉を濾さない「トブロック」という飲み方が主流。細かく挽いた粉に砂糖を大量に入れてお湯をかけるだけのシンプルな淹れ方で、ドリップコーヒーの味を知っていると、驚くほど甘く感じます。
今回、翻訳機「Langie」を使っての感想は「実用的ではあるけど、まだまだ実力不足な部分もある」というものでした。声の聴き取りや、翻訳の精度に関しては申し分なし。旅行会話くらいなら問題なくこなせそうです。
ポケットに収まる縦長で、重さは125gと軽量。持ち運びやすさも及第点。大きなマイクを表裏の両面に備えており、相手の前に出したときに翻訳機だと分かりやすい、いかにもな見た目。雑踏の中でも聞こえる大音量のスピーカーも好印象です。
対応言語はオンライン翻訳で52言語(音声対応は35言語)、オフライン翻訳で12言語。インドネシア語はオン・オフ両方に対応していますが、今回はスマートフォンのテザリングに接続して、オンライン翻訳で利用しました。
気になったのは翻訳時のレスポンス。ボタンを押している間に話しかけると、その内容が翻訳されるというものですが、まずボタンを押してから認識可能になるまでのタイミングで1~3秒程度の待ち時間があります。
相手からの返答にあわせて翻訳ボタンを押そうとすると、間に合わないことが多く、瞬発的なコミュニケーションに使うのは厳しそう。実際にコーヒーを注文したときも、相手との会話では筆談や簡単な英語、身振り手振りを交えたものでした。
翻訳機を使う目的はコミュニケーションですから、挨拶やよく使う会話は、あらかじめ練習しておくと良いでしょう。筆者は渡航前に「スラマッパギ」(インドネシア語で『おはよう』)といった言葉を話しかけてみて、翻訳機に正しく認識されるかどうかで発音をチェックしていました。
Langieには翻訳だけでなく、数字の読み方や簡単な単語の学習機能なども備わっているので、併用するとより充実した練習ができそうです。
また、翻訳時以外の操作方法は独特。本体の円形ディスプレイはタッチパネルとなっていて、スマートフォンのように操作できます。OSもAndroidをベースとしたものですが、ホームボタンや戻るボタンがないため、使いこなすのには少し慣れが必要。いざ使おうと出したときにWi-Fi設定が済んでおらず、操作に手間取って時間を使ってしまう場面もありました。
ネイティブのようにコミュニケーションを取るには、現状の翻訳機はもう少し力不足な感がありますが、お店など限られたシーンでは十分役に立ってくれます。度胸と愛嬌に翻訳機を加えれば、充実した海外旅行になることでしょう。