パイオニアのカロッツェリアから面白い製品が登場しました。「MVH-7500SC」というアイテムなのですが、これがカーナビとも単なるカーオーディオとも違う新ジャンル商品。
この商品を見つけて、私ヤマダ、閃きました。
「あ、これを使えば、クルマのなかでも、仕事できるんじゃない?」
というのも、「MVH-7500SC」はスマホを本体にセットすることで、スマホの地図をマップ代わりにして使えるうえ、電話もハンズフリーで受けられて、LINEなどの代表的なスマホアプリも車内で使いやすい状態で利用できるとのこと。最近は、新企画の打ち合わせに、編集部員の進捗管理や記事確認と、ほぼ内勤! でも、これって別に会社にいなくてもできる気が……。
そして、このカタログ情報を見て、私ヤマダ、もう一閃きありました。
「あ、これを上手く使えば、(支障が出ない程度に)仕事サボれるんじゃない?」
編集長という立場上、あまり「サボる」などと言っちゃいけませんが、若手時代に在籍していたクルマの編集部では、取材と称して最新のクルマでドライブを愉しんでいました。しかし、いまはそうした「取材名目の息抜き」も皆無。いやでも、これって、生活を豊かにするアイテムを紹介・解説する媒体のヘンシューチョーとしてどうよ?
ということで、「MVH-7500SC」を駆使すれば、各種レスポンスは通常通り行えて、サボりながら息抜きしながら、仕事を回せるのではないかという仮説を立ててレビューに臨む次第です。
【今回使った製品はコチラ】
カロッツェリア
MVH-7500SC
実売価格1万9000円前後
商品ジャンル的には「カーオーディオ」に分類される製品。ただ、本体中央にスマホをセットできるクレイドルを搭載し、スマホ地図アプリを使用することで、カーナビ的な使い方もできるガジェットです。専用アプリ「Pioneer Smart Sync」と連携させることで、乗車時でも安全で使いやすい専用UIを実現。例えば、地図は本体の物理キーからも操作でき、音声によるコントロールも可能です。もちろん、スマホ内の楽曲を聴くことができつつ、カロッツェリアらしい高音質のサウンドを愉しめます。
豊洲市場周辺を巡りながら、優雅な電話対応
前置きが長くなったので、さっさとサボりに息抜きしにいきましょう。取材日は平日。豊洲市場が開場したばかりだったので、周辺の様子をドライブしながら観察してみることにしました。ちなみに、会社のホワイトボードには「取材 TEL」というざっくりした行き先と時間だけに。
首都高・台場を降り、豊洲方面に向かうと、おぉ!さすがはGoogleマップ、豊洲市場の「棟」の名前まですでに反映されているじゃないですか。このあたりは、いつも使っている地図感があって、わかりやすい。
上の写真のような形で豊洲市場周辺を探索ドライブ。観光客もメディアも意外にいないなぁなど普通の感想を抱いていたら、早速かかってきました電話。
ゲットナビ営業マン「●●社の提案が来週明けになったのですが、企画案を早急に打ち合わせしたく」
ヤマダ「ちょっといま手が離せなくて(ハンドルから)、口頭でもいいですか?」
ゲットナビ営業員マン「お忙しいところすみません……」
いや、会社に行かず豊洲市場に行っているのは私。手が離せない理由はハンドルなのに、恐縮させてしまい、こちらが申し訳ない気持ちです。
ちなみに、電話の音質は非常にクリア。カロッツェリアのカーオーディオを経由して声が出てくるわけですから、当たり前といえば当たり前ですが、電話でこの音質はもったいない! パイオニアサウンドの無駄遣いと例えたらよいでしょうか。電話の相手に後から聞いたところ、普通に電話しているのと何ら変わりはなかったとのことでした。
シエスタを嗜みながらの音楽鑑賞
続いて、クルマメディア業界の聖地・潮風公園の駐車場へ。ここ、駐車場周辺で優雅に昼寝している人、多いんですよね。前から一度やってみたかったんです。というわけで、ここで音楽機能のレビューしつつのシエスタ~。
「MVH-7500SC」、対応する音楽アプリが本当に幅広い。Spotify、Google Play Music、LINE MUSICといった定番の定額制サービスはもちろん、インドの音楽配信サービス「Gaana」まで入っています。こちらも「Pioneer Smart Sync」で、オリジナルUIで表示されるので操作性がいいです!
対応サービスが多くて、操作性も高い! というのは専用に作られた機器だから当たり前といえば当たり前。ここで個人的に感じたのは、やっぱりいい音質。カーオーディオに触れたことがない人は、この「MVH-7500SC」が最適な機種であるということです。
カーオーディオの役割も果たすカーナビは最低でも5万円~ですが、「MVH-7500SC」は実売価格1万9000円前後。スピーカー、ウーファーなどのシステムを構築しないと意味がないという意見もあるでしょうが、まずアンダー2万円で、カーオーディオの世界の一端に触れられる――しかもいつものスマホを普段使いしながら。というのが重要なポイント。
そういった意味では、カーオーディオに触れたことがない人のなかでも、特にスマホヘビーユーザーにこそオススメしたい逸品です。といったことを七尾旅人を聴き、気持ちの良い眠りのなかで強く思いました。
読み上げ機能を駆使しながら、その合間に原稿を確認
さて、シエスタを堪能したところで、夕方ころからは部員が仕上げた原稿を確認したり、執筆者からの記事提案が飛び込んできたり、確認事が飛び交ったりする時間帯。ヤマダ不在時は原稿はメールで送付、急ぎの確認はFacebookのメッセンジャーやLINEのメッセージを飛ばす、または電話という編集部ルールがあり、これを「MVH-7500SC」を使ってオフィス同様にできるかを試してみました。
私の場合、メッセージだけのやりとりだと不明瞭な案件は電話で対応。そういった案件は資料や過去のメールを参照することになるので、フリーハンドで会話できると、スムーズに話が進みます。
個人的に通常常務に取り入れたいと思ったのが、メッセージの読み上げ機能。ウェブ記事はタイトルが重要なのですが、これを音声で読み上げるとまた違った印象が。堅苦しい日本語のものはやはり入ってきにくいし、音でスラっと入ってくるものは、文字にしても視界にサラッと入ってくる。声に出して読むってとても大事ですね。
読み上げの精度は抜群で、何十回か試したなかでは一度もミスはありませんでしたし、長文の読み上げにも対応してくれました。所謂、機械音声ですが、最近の人は機械音声に慣れているので、そのあたりも問題ないはず。
ヤマダの例は極端ですが、クルマ移動での移動が多い職種ではデスクで仕事しているのと変わらない能率を得られると思います。
表向きは「サボりガジェット」としての完成度。
でも真面目な分析もちょろっとだけ……
結論は、「MVH-7500SCは仕事をサボりつつも、会社と同じ対応ができるアイテム」です!
というのはリアルな声ですが、これだけだと言葉足らずな気もするので、真面目な側面にも少しだけ触れておきましょう。
カー用品というのは、「クルマ最適」のデザイン・UIを採用することが一般的です。クルマは凶器にもなるプロダクトなので、特に安全面を考慮し、機能が省略されたり、できる操作に制限がかかったりします。
つまり、車内と車外ではインターフェースが違っていて、壁があるというのが当たり前で、各社ともにその壁をいかに壊すかというとこに力を入れています。
この「MVH-7500SC」は、その壁をかなり破壊できていると感じました。いつもの地図を持ちこんで、いつものアプリを使って、いつものことが行える。シームレスでスマホが身体の一部になっている人でも違和感なく使えるレベル。
個人的には、Gmailなどのメールの読み上げに対応してくれたら最高! さらには、添付PDFのテキストの読み上げに対応したら完璧! 今後どんな風に車内と車外の垣根を取っ払っていってくれるのか、引き続きウォッチしていきたい製品です。