デジタル
アプリ
2016/5/2 8:00

【西田宗千佳連載】アプリが弱くなる分を「Bot」がカバーする

「週刊GetNavi」Vol.42-2

nishidarensai1606-01

現在、Botが注目を集めているのは、スマホが生活の中に浸透し、そこで使われるアプリが「ソーシャルメディア系」に集中してきたからである。スマホアプリについての各種マーケティングデータを収集しているApp Annieによれば、2020年には、ユーザーがスマホを利用している時間のうちおよそ半分が、ソーシャルメディア系アプリで占められる、と予想されている。これは、自分たちの生活を振り返っても、そう違和感のある話ではないはずだ。確かにスマホでゲームもするし音楽も聴くが、暇なときにまず開くのはFacebookやTwitter、LINEといったアプリであるはずだ。今後どのSNSが勝つかは別問題として、今後の生活においても、我々は「スマホではまずソーシャルメディアを使う」ことに変わりはあるまい。

 

そうなると弱くなるのが「アプリ」だ。スマホが定着していくにつれ、スマホ1台あたりのアプリダウンロード数は減っている。初期にはアプリを試すこと自体がエンターテインメント性をもっていたが、アプリでできることの幅が見えてくると、アプリの「定番化」が進んでいく。ダウンロードはするものの、普段使うアプリはソーシャルメディア系を中心としたいくつかに限られて来る。ゲームやビジネスツールなど、アプリを売る企業はまず、直接的にダメージを被ることになるが、同様に、「コンシューマを相手にするほとんどの企業」も、ゆるやかにダメージを受け続ける。なぜなら、顧客との接点であるウェブやアプリへの導線が弱くなっていくからだ。そこで、ソーシャルメディア上での活動、いわゆる「公式アカウント」などが大切になっていくが、それだけではカバーできないことも多い。例えば、顧客からの注文やユーザーサポートといった、顧客一人一人に対して反応が必要なものは、公式アカウントとは本来相性が悪い。正確にいえば、それらの役割(特に、クレーム対応やユーザーサポート)を公式アカウントが受け持ってしまうことは多いが、そうなると本来の役割を果たしづらくなる。

 

そこで出てくるのがBot だ。

 

注文やサポートのためのBotアカウントを用意し、ユーザーにはそれをフォローしてもらうようにすれば、普段から使っているソーシャルメディア系・メッセージング系アプリで、顧客との直接的な対話が可能になる。アプリという導線の代わりに機能するわけだ。しかも、アプリだとそれぞれ使い方を覚えないといけないが、チャットならば普段からやっている「メッセージを送る」という動作で済むため、ユーザー側の負担も小さい。

 

では、本当にBotはいいことずくめなのか? どのくらい信頼できるものなのか? その辺は次回のVol.42-3にて。

 

Vol.42-3は5月9日(月)ごろ配信予定です。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら